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音楽は時に言語よりも雄弁である。第1話 音楽に助けられた

2018/05/11

僕は高校生の時代をとても暗く過ごした。
というか、自己顕示欲が強すぎたり
とにかくトンガリ過ぎていた。
その割に世界中の誰からも嫌われたくない、
と真剣に考えていたが、
逆に嫌われまくった。
周りに馴染めず所謂「常識」「普通」「一般的」
が全くわからなかった。

なぜみんな平気で人の言いなりになれるんだ?
スクールカーストが高いやつが
そんなに偉いのか?
なぜ人をいじめるんだ?
上昇したいという気持ちを大人に潰される。
自分の未来も不安になる。
クラスで尊敬できる友達は2人くらいだった。

今から思えば、随分と周りに迷惑をかけた。
しかし、今から考えても
「よくその価値観を貫いた、
ありがとう過去の自分。」
と思う部分も多々ある。

学校生活は荒み、人に嫌われたくないから
周りから頼まれたタスクを断る勇気もなく、
相談する相手もおらず、
本当に悲しい毎日を過ごしていた。
育ててくれた親に申し訳ないほどに。

そんな僕を救ってくれたのが音楽である。

高校一年生だったのは、
かれこれもう9年ほど前になる。
この頃から洋楽を聴き始めた。
それまではYUIとかBOAとかバンプなどしか聴いなかった。9mm などはうるさいと感じていた。

洋楽は、ボンジョビから始まり、
アヴリルラヴィーン、The offspring、
sum41、LINKINPARK、zebrahead
と、1ステップずつ激しさを増していった。

しばらくして、尊敬している先輩が、
slipknotが好きだと言っていたのを思い出し、
ここで人生で初めてメタルというものに触れる。

はっきり言って、
ノイズにしか聴こえなかった。
なにしろ9mmでウルサイと感じていた僕が、
slipknotなんて聴いた日にゃ、
ジェット機がすぐ横を
通ったぐらいにしか感じなかった。

しかし、あの先輩が好きなのだから
何かあるのだろう、と

1stアルバムの(sic)という曲を
連続で100回聴いた。

↓slipknot-(sic)liveなので聴き取りにくいがどんなバンドか伝わりやすいと思う。
https://youtu.be/g86xUpMpQHk

すると、次第に曲の構造がつかめてくる。
耳がどんどん音の速度に追いつく。
さらに音数に耳が対応していき、
ノイズにしか聞こえなかった音が
どんどん分解されて
理解できるようになる。

理解し始めるとslipknotに
ズップリのめり込んだ。

次々にメタルミュージックを聴いていく。
そして気付いた。

歌詞は英語だし、何言ってるかなんて理解不能
(そもそもデスボイスだから聞き取れない)
なのだが、
なぜかものすごく共感する。
はじめての感覚である。

悲しい時、イライラした時、不安な時、
妙にテンションが高い時など、
感情が大きく揺さぶられてる時に
特に聴きたくなる。

曲を聴いている時はその感情は増幅され、
曲を聴き終わる頃には、
爽快感が頭の中を馳け廻る。

学校の帰りにメタルを聴くと癒された。
ついには、メタル以外を聴いても癒され始めた。
メタルを聴けるようになってから、
ほかのジャンルの音楽に対しても
感じ方が変わり、
音楽そのものが僕を癒してくれるようになった。

心がバキバキに折れてる時でも、
まわりに助けを求めれなくても、
音楽は暗黒時代の僕を救ってくれた。

どんなに嫌なことがあって、
先が思いやられても、
帰りの電車で聴く音楽が
いつも立ち上がる力をくれる。

そして、ドロップアウトしかけていた僕は、
高3の春、大学受験を決意した。
偏差値28の6月である。
担任に何度受験をやめろと言われたことか。
大学の附属高校だったことから、
エスカレーターで上に上がれ、と。
僕はこのままでは自分が腐ってしまうと感じ
担任に抗い続けた。音楽とともに。
そして見事に大学受験にスベった。

予備校に入り、音楽をキッカケに
たくさん友達ができ、音楽とともに勉強し、
あの暗黒時代が嘘に思えるほどの
スーパーお調子者ハッピー野郎になっていた。
大学も無事合格した。 

 音楽にのめり込むまでは、自分がこんなに
明るくなるなんて考えてもいなかった。

いや、そもそもは明るい性格だったのだが、
明るい性格に戻れたことが驚きだった。

はっきり言って、高校時代は、
何度か死にたいと思ったことがあるし、
世の中を恨んでいたし世界が大嫌いだった。

そんな僕が、世界に感謝できるようになるなんて。
生きててよかったと思う日が来るなんて。

僕は音楽に助けられた。

この時はまだ、
自分が音楽で人に影響を与えるとは
考えもしていなかった。

第2話に続く。


ちなみにslipknotは
24歳の今でも1番好きなアーティストである。
(2番目はBABYMETAL)

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