Mei(メイ/明)・きらめきの小窓作家

日常の中にある小さなきらめき(=「きらめきの小窓」)を一緒に見つけたいという思いで、創…

Mei(メイ/明)・きらめきの小窓作家

日常の中にある小さなきらめき(=「きらめきの小窓」)を一緒に見つけたいという思いで、創作をしています。

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わたしのnote、ことはじめ。

拝啓、いくらか後のわたしへ。 いま私は部屋の一番日当たりのいいところ、南向きの窓際の机に座ってこの文章を書いています。 今日は風も少なくて日が照っているから、じりじりと部屋の片隅が焦がされている感じがします。一言でいえば、暑いのです。 でも夏の記憶とは違うのが、もう蝉の鳴き声は聞こえないこと。 耳を澄ませば、遠くに響く小鳥のさえずりと、たまに家の前を横切る小さい子のぱたぱた、という足音だけ(子どもの走る音ってほんとに「ぱたぱた」っていうんですよね、すんごく可愛い)が聞こえ

    • 【詩】【エッセイ】2022年の暮れに「聖夜」「安らかに」「真夏の氷の夢」

      聖夜 メリークリスマス、 きみはなにをしていますか。 どこで生きていますか、 たいせつなひとはできましたか。 あるいはあのときの言葉は変わらず、 愛はきみに触れることができないままですか。 硝子窓の向こうにはおごそかに降る雪、 たった一本の蝋燭が 音もなくわたしをみつめています。 この夜をきみと過ごしたことは とうとうないまま、 わたしはやっと、 きみの夢をみなくなりました。 かすかな炎の 最後のゆらめき。 安らかに キャンドルの炎がたなびくように、 蜜蝋が

      • 【詩】【エッセイ】わたしは幸せになる。「孤独なんか」「きみはきみ」「ウミ、かのひと」

        孤独なんか 孤独なんか愛してたまるか。 わたしは幸せになる。 この地を掴むのは私の足指、 足裏から踵へ 肌を赤くする血潮。 孤独のために死んでたまるか、 きみのために死んでたまるか。 きみはきみ きみがきみにならずに、 誰がきみになるのか。 胸に手を当てることを恐れるな、 誰もきみの心を侵せやしない。 安らぎに浸り目を閉じることを恐れるな、 誰もきみを喰らえやしない。 きみというものを侵し喰らうとしたら それはきみ、 なにかを恐れて 狂うきみ。 なにものにも

        • 【詩】【エッセイ】恋をみつめて「あの夏になりたい」「ぱっつん」「月齢」

          あの夏になりたい わたしは、あなたの現在ではなく、 永遠の過去になりたい。 そばにいたら、きっといつかわたしは あなたの気に入らないことをする。 あなたを傷つけるし、 あなたを怒らせる。 それですこしずつ私のスコアが減っていって いつかゼロになってしまうなら、 そんなことになるのなら。 記憶の海辺で、 堤防に座ってむこうを見つめている女になりたい。 麦わら帽子の下見え隠れする、憂うようなまつげ。 そうして思い出すたびに、 少しあなたがかなしくなって 一層うつくしかっ

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        • 5本
        • エッセイ
          35本
        • 小説
          8本

        記事

          暮らしの所感を綴った散文詩「ちくちくしない音楽」「プチ・ジレンマ」「インディゴブルーの夜に」

          ちくちくしない音楽 心の容量がいっぱいになってしまっていると、 あたらしい音楽を聴くのをどうも億劫に感じてしまう。 聴こうと思えば聴けるのだけれど、 その「あたらしさ」という名の彩りが やけに極彩色のように目には映って、 胸をちくちくと刺す。 敏感になった肌には 少しの刺激が痛く感じられる、 それとおなじようなことなのだろう。 そういうときは慣れ親しんだ歌に耳を委ねる。 そういえば、 わたしは日本で生まれた生粋の日本人であるのに、 たまに日本の曲調よりも 慣れ親しん

          暮らしの所感を綴った散文詩「ちくちくしない音楽」「プチ・ジレンマ」「インディゴブルーの夜に」

          つらい時間を過ごす、誰かのために。「たのしいってなんだっけ」「きみは、」「湿布」「凪に灯る」

          はじめに 今回の詩には、かなり暗い内容が含まれています。 自傷に似た行為や「消えたい」という思いなど、読むのを苦しく感じられる方がいらっしゃるかもしれない内容がありますので、 「読みたくない」と思われる方はこちらで引き返していただきますようお願いします。 構成としては、一つ目が苦しみの詩、二つ目と三つ目が救いのための詩、四つ目が小康の詩となっています。 たのしいってなんだっけ どこまで歩けば、 生きててもいいと思えるんだろうか。 私のほんとうにやりたいことに取り組めた

          つらい時間を過ごす、誰かのために。「たのしいってなんだっけ」「きみは、」「湿布」「凪に灯る」

          人生を迷い見つめた自由詩三篇【挿絵付】「何処かへつづく道なのなら」「翼と虹」「身体と銀河」

          何処かへつづく道なのなら 何処かへつづく道なのなら、 歩みを進めることができるのだろうか。 そのむこうに何かがあるのなら、 一歩をふみ出すことができるのだろうか。 今は闇に堕ちて蔦の茂る眼の前であっても、 その先に、 たとえただの「何か」に過ぎなくても「何か」、 「しあわせ」でも「繁栄」でなくても「何か」があるのなら、 この道を踏み外さずに、 ぱっくりと口を開ける側溝の闇に呑まれずに、 生きることができるのだろうか。 眼前彼方にぼんやりと光る遠き街、 きみが桃源郷では

          人生を迷い見つめた自由詩三篇【挿絵付】「何処かへつづく道なのなら」「翼と虹」「身体と銀河」

          詩のような短文三篇「シュワリと」「人生と星」「時代の川」

          シュワリと じぶんの外にあるものに生気を吸い取らせてはいけない。いけないんだよ。 そもそもじぶんで悩みを過大化させてるところもあるんだよ、 ほんとはそんなに大きな問題でもないんだよ… そう思いながらも、 大切ななにかが体からが零れていくのを感じる今日この頃。 人生と星 わたしの人生は殆ど星の瞬きのようなもので、静かに明滅をくり返している。 時にはその瞬間にはっきりとわかるほどに強く輝いたり真っ黒になったりするけれど、逆に、ふり返ってみてはじめて「あのときは輝いてい

          詩のような短文三篇「シュワリと」「人生と星」「時代の川」

          どうしたって自分を愛せないときには、ちいさな「愛するふり」を積み重ねることにした。 自分のために少し掃除をする、ご飯を作る、早く寝る準備をする。 そんな当たり前のことでも、自分のために「してあげる」うちに、いつか、「私はケアに値する人間なのだ」と思えるようになるのではないか。

          どうしたって自分を愛せないときには、ちいさな「愛するふり」を積み重ねることにした。 自分のために少し掃除をする、ご飯を作る、早く寝る準備をする。 そんな当たり前のことでも、自分のために「してあげる」うちに、いつか、「私はケアに値する人間なのだ」と思えるようになるのではないか。

          【イラスト】【エッセイ】ことばを想うこと、放つこと。

          意図せずに放ったことばが、誰かを傷つけることがある。 私の想うことばは、私の中にある。 その限りでは、私のこころもあたまも、どこまでも自由だ。 でも、私の身体を離れたことばは、私のものではなくなる。 誰かの心に着地したことばは、誰かのものになる。 * ものがたりとは、スリルやアクションのためにあるものではない。 少なくとも、私にとっては。 ものがたりとは、いつでもいつまでも、ひとの真心のためにあるはずだ。 ときどき、自分の器の限界を感じる。 ものがたりを作る者としての

          【イラスト】【エッセイ】ことばを想うこと、放つこと。

          【イラスト】【エッセイ】あの夜描いた星空を追いかけて

          「子どもは最高の芸術家である」といいます。 彼らは感動を生み出す天才であり、その豊かで自由な想像力に優るものはないのだと。 実際、今よりも幼かった頃の方が、自由に線を描き言葉を紡いでいたような気がする。そんな思いを抱かれる方も少なくないのではないでしょうか。 私自身もその一人です。 「何が上手いのか、何が下手なのか」ということはあまり考えすぎずに、ただ「面白い!これを作りたい!」と感じたものを表現していたような記憶。 もしかしたら、幼い頃にも「上手/下手」の葛藤はあった

          【イラスト】【エッセイ】あの夜描いた星空を追いかけて

          【イラスト】【エッセイ】大丈夫、きっと直せるよ

          「大丈夫じゃない日」が、最近続いていました。 起きている間にはずっと自責の念や後悔、悲しみが頭の中を駆け巡っていました。ふとしたことで涙が溢れては、泣き疲れて何も考えられなくなる日々。 苦しくない時間は寝ているときだけでした。 目が覚めていることがつらかったです。 自分の心が、このままでは保たなくなってしまう。 そう、どこかでは思っているのに、私自身の心は全く言うことを聞いてくれませんでした。ただ一筋に闇に向かって転がり落ちていって、ずっとその暗闇の中で泣いているのです。

          【イラスト】【エッセイ】大丈夫、きっと直せるよ

          【イラスト】金木犀の眠る墓【短編小説の挿絵】

          イラストを描きました。 以前に書いた超短編小説『金木犀の眠る墓』の挿絵です。 「誰かの叶わなかった想いが、天に昇りますように」という想いを込めて描きました。 つらいことや苦しいことの多い世の中です。 時には、前を向いて幸せを求めることすら苦しいと思ってしまう瞬間があります。 いつになったらこの暗闇が明けるのかと、絶望を感じてしまうこともあります。 「頑張り続ければ光が見える」とは言いません。私は言って欲しくなかったから。 ただ、つらい想いをしている誰か、もしかしたらあ

          【イラスト】金木犀の眠る墓【短編小説の挿絵】

          【SS】金木犀の眠る墓【短編小説】

          金木犀、私はお前が嫌いだ。 お前は秋になると必ず現れるから。新しい季節を告げる甘ったるい匂いとともに、あの日々の記憶を連れてくるから。 だから私はお前が嫌いだ。 私は今でも、お前の匂いが嗅げない。 * 思春期なんてなければよかったのに。 自分の高校時代を思い出すたび、私はそう思わざるを得ない。大人のふりをし始めるくせに心はまだまだ無防備な時代。 人間の成長段階にあんな時期があるから、私はあの男を心の奥深くにまで招き入れてしまったのだ。 空の写真が好きな男だった。 カ

          【SS】金木犀の眠る墓【短編小説】

          「これをやらなきゃ人生終わる」「だから、自分はどうなってもいいから、無理してでもやっちゃおう」の衝動(心配性?)はやめましょう。それやり続けるといつか息が出来なくなります。自分への教訓。

          「これをやらなきゃ人生終わる」「だから、自分はどうなってもいいから、無理してでもやっちゃおう」の衝動(心配性?)はやめましょう。それやり続けるといつか息が出来なくなります。自分への教訓。

          私じゃない「誰か」になりたくて (つれづれなる創作日記#4 )

          はじめにこの記事は、小説『鏡の中のレクイエム』の「あとがき」「備忘録」のようなものです。 記事・小説の両編とも独立したものとなっているので、どちらから読んでもお楽しみいただけます。 本題「可愛いね」が欲しかった青春 中高生時代、あまり「可愛い」ともてはやされる方ではありませんでした。 どちらかというと、面白いキャラ…とでもいうのでしょうか(笑)。ジョークを言ったりボケたりして、場を盛り上げるタイプでした。 中高生の間というのは概して、「みんなと一緒のもの」「みんなが良い

          私じゃない「誰か」になりたくて (つれづれなる創作日記#4 )