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つらい時間を過ごす、誰かのために。「たのしいってなんだっけ」「きみは、」「湿布」「凪に灯る」

はじめに

今回の詩には、かなり暗い内容が含まれています。
自傷に似た行為や「消えたい」という思いなど、読むのを苦しく感じられる方がいらっしゃるかもしれない内容がありますので、
「読みたくない」と思われる方はこちらで引き返していただきますようお願いします。
構成としては、一つ目が苦しみの詩、二つ目と三つ目が救いのための詩、四つ目が小康の詩となっています。


たのしいってなんだっけ

どこまで歩けば、
生きててもいいと思えるんだろうか。

私のほんとうにやりたいことに取り組めたら?
やりたいことが軌道に乗ったら?
実現できたら?

もしくは、
なんてことのない毎日の中にある
たった一粒の輝きに、
気づくことができたら?


数秒おきに押し寄せる、
自己嫌悪と衝動、
「消えたい」。

明日はないみたいで、
笑える明日はないみたいで、
電気を消した真っ暗な部屋、
深夜の闇に身体が沈んで
浮かんで来られない。


「たのしい」ってなんだっけ。


わたし、なんで、なんのために、
生きてるんだろう。


きみは、

きみは、
生きていていいんだよ。

泣いてもいいけど
笑っていいし、

美味しいご飯をおなかいっぱい食べていいし
すてきな服を着て街を歩いていいし
やわらかなおふとんで安らかに眠っていいし、

綺麗な景色を遠くまで見に行っていいし
こんどのお出かけを楽しみに夜を指折り数えていいし
友だちと大笑いしていいし
大切な人に寄りかかってもいいし

きみは、
すべてに値するひとだから。

だから、
じぶんをぶたないで。

きみは、
夜を怖れたり
目覚めを拒んだり
朝起きるたびに「消えたい」と願ったり
そんな毎日への恐怖に
つぶされていいひとじゃないんだ。

きみは、
きみは、

きみになるために
生きていていいんだよ。




湿布

何時だって湿布を貼ろう。
じぶんをぶって、出来たあざに。

もう一度ぶったら、
もう一度貼ろう。

もう一度ぶったら、もう一度、
何度ぶっても、何度でも。

わたしはぜったいに
わたしを見捨てはしないから。



凪に灯る


鉛のように重い心の波が過ぎた後の、
安らいだ凪のような時間が、
きらいじゃない。

下に深く沈んだぶん、
ほんの少し浮き上がって海面に顔を出せることが、
ありがたい。

ちりちりした、ちいさなちいさな火が灯って、
その火が消えないように手でやさしく囲って、
そっと見守っている。

からだの真ん中が、あたたかい。
そんな気がする。


さいごに


今回の詩は、いちばん苦しいとき、まさに真っ只中のその瞬間にあるときのじぶんのために書きました。

心がギュッと狭くなってしまうと、
じぶん自身が何にも値しない人間のように思えてしまうときがあります。

こんなじぶんが生きていて申し訳ないと思うし、
じぶんが幸せになることを許せなくなる。

もうその段階までいってしまうと、わたし自身には打つてはなくて、
ただ出来るだけ無理をしないでじっとして、衝動と絶望が過ぎ去るのを待つ。
それくらいしかないのです。

だけれど、わたしは過去のじぶんの言葉にいくらか救われたことが何度もありました。
ちいさな幸せな時間の言葉であっても悲しみの底からの呻きであっても、
切実なじぶん自身の過去の言葉が、心に届いた瞬間がありました。

なので、また絶望の海に沈んでしまったときの自分へのお手紙として、
こちらに四篇の詩を書き記しておこうと思います。

もしこれらの詩を読んで、誰かのいくらかの救いにもなるとしたら、
そんなにも嬉しいことはありません。

それでは、皆様の日常に一分一秒でも多くの平穏がありますよう。

最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございました。

Mei(メイ/明)


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