写真が語る、戦前・戦中・戦後

写真からは、時代の空気が感じ取れます。

 

安井仲治の作品は、戦前から戦中にいたる張りつめた空気が伝わってくるようです。

なかでも、日中戦争の翌年(1938)に撮られた「恐怖」は白眉と言えましょう。

安井は、太平洋戦争勃発の翌年(1942)、38歳で病死しています。

 

終戦(1945)直後の空気を知るには、林忠彦の作品が最適でしょう。

焼け野原の写真もさることながら、「日本劇場の屋上 銀座」のようなモダンな雰囲気が、1947年の時点に存在したということが印象的です。

林は、バーで撮影した太宰治の写真(1946)も有名ですね。

 

1950年代は、木村伊兵衛の作品から2点挙げたいと思います。

「本郷森川町」(1952)と「浅草・神谷バー」(1953)です。

どちらも人々の暮らしぶりが窺える、味わい深い写真ですね。

 

もちろん写真には、時代に還元できない魅力もありますが、何年に撮られたかを意識しながら見るのは面白いものです。

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