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【前編】ブランディングとは何を構築する活動なのか?歴史的経緯から解説する(採用ブランディング講座:vol05)

「ブランディングってよく分からない」

そう思わせてしまう要因として、
人によってブランドの理論が異なる点にあります。

ある人は
広告に纏わるブランドの話をしているが、
違う人は
自社のブランドはこうあるべきという話をしている…
人によっては
ブランド理論のどこを説明しているのか?
良く分からないものまで存在します。

「それで結局、何が正しいの?」

そのように混乱させてしまい、
理解の妨げになっているのです。

そこで、今回は以前少しだけご紹介した
ブランドの歴史をもう少し深堀りして、
各理論は何を目的にしていて、
使うべきフレームワークは何なのか?
すべて掘り起こしていきたいと思います。


1.ブランドの歴史

ブランドとは、広告におけるイメージである
という考え方から、各ブランド理論を経て
現代はパーパスであると定義されています。

これらの内容は過去の記事をご参照ください。

ただ、それなら…
過去の理論なんて不要ではないのか?
という疑問が出てくると思います。

答えは「No」です。
全部必要な要素であり、以下の5つの概念は
すべて理解する必要があるのです。

①ブランド・イメージ
②ブランド・エクイティ(無形資産)
③ブランド・アイデンティティ(らしさ)
④ブランド・エクスペリエンス(体験)
⑤ブランド・パーパス(存在意義)

この講座は理論を体系的に理解することが
目的となっていますので、提唱者の詳細等
本件と話が逸れる部分は割愛します。
(多分、知りたい所ではないと思うので)

その中で、前編では上記の②~④について、
なるべく分かり易く解説していきます。


2.ブランド・エクイティ


ブランドエクイティには
アーカーモデル」と「ケラーモデル」の
2つのモデルがありますが、
代表的な「アーカーモデル」から解説します。

アーカーモデル
提唱者:デビット・アーカー氏
代表著書:Managing Brand Equity(1991年)

構成要素

  1. ブランド認知(Brand Awareness)

  2. ブランド連想(Brand Associations)

  3. 知覚品質(Perceived Quality)

  4. ブランドロイヤルティ(Brand Loyalty)

  5. その他のブランド資産(Brand Assets)

ブランド認知:知名度理解度
ブランド連想:名前から連想する要素・イメージ
知覚品質:ブランドに対する(主観的)評価
ブランドロイヤルティ:忠誠心愛着度
ブランド資産:無形資産(特許、ノウハウなど)

ブランド・エクイティとは
ブランドは「無形の資産価値」と定義されます。

フレームワークに関しては以下をご確認ください。

こちらは、直観的に分かり易い
ケラーモデル」を使用しますので、
「アーカーモデル」でいう所のどの部分かも
補足したピラミッドでイメージを共有します。

ケラーモデル
提唱者:ケビン・レーン・ケラー氏
代表著書:ケラーの戦略的ブランディング(2003年)

ケラーモデルの特徴は、
左側が機能的理解(合理的判断に基づく理解)
右側が情緒的理解(感情的な判断に基づく理解)
という点が特徴です。


また、ブランド・エクイティは過去でご紹介の通り
プレファレンス」の構成要素の一つであり、
顧客に選んでもらえるようになることを重視した
理論と言えるでしょう。


3.ブランド・アイデンティティ


提唱者:デビット・アーカー氏
代表著書:ブランド優位の戦略(1997年)
     ブランド論(2014年)

構成要素

1.製品としてのブランド
2.組織としてのブランド
3.人としてのブランド
4.シンボルとしてのブランド

製品としてのブランド
:製品分野、製品属性、品質/価値、用途、
 ユーザー、原産国
 例)ダイソン
  「吸引力が落ちないただ一つの掃除機」

組織としてのブランド
:組織属性
 例)リクルート
   「自由闊達な起業家精神」

人としてのブランド
:パーソナリティ、ブランドと顧客との関係
 例)Apple
   スティーブジョブスの「革新的なイメージ」

シンボルとしてのブランド
:ビジュアル・イメージ、メタファー、伝統
 例)ヤマト運輸
   「クロネコヤマトのネコマーク」

この理論は一言でいうと以下の定義となります。

自社のブランドを
顧客にどう思ってもらいたいのか
 =「〇〇らしさ
として明確にすることです。

フレームワークに関しては
以下の「ブランド・アイデンティティ・プリズム
が有名です。

提唱者:ジャン・ノエル・カプフェレ氏

このフレームワークの特徴は
縦軸が自社顧客、横軸が内的外的に分かれ、
そして、中央にはロゴ等、シンボルが入ります。

このようにフレームワークに従って
自社のブランドはどうあるべきか?
考えることによって、ブランドに対して
統一感を持たせることができます。


4.ブランド・エクスペリエンス


提唱者:B・J・バインⅡ氏
    J・H・ギルモア氏
代表著書:経験経済

ブランド・エクスペリエンス
(以下「ブランド体験」)
が求められる背景から説明します。

前回の記事でも冒頭で触れていますが、
生活者」=消費者の価値観の変化があります。

【生活者の価値観の変化】
消費スタイル:
モノ消費」→「コト消費」
購入プロセス:
認知、購入モデル」→「プロセスモデル」
メディア:
マスメディア」→「ソーシャルメディア
ブランドの位置づけ:
市場」→「社会

このような背景から、
ブランドの価値提供のデザインにも
発想の転換が必要となってきました。

生活者の考え方:
 ブランドの「所有」から「利用」へ
提供価値の考え方:
 ブランドの「商品価値」→「体験価値」へ
組織の捉え方:
 「機能分化×効率性」→「結合×体験の創造」へ

そして、フレームワークとしては
みなさんもよくご存じである
カスタマージャーニー」を用います。

引用元:https://www.gpol.co.jp/blog/36/

企業側が提供するブランド価値によって
生活者の意識・態度変容を各プロセス別に
顧客の心の動きをマトリクスで表にします。

具体的には生活者の意識の変化を列に、
(AIDMA、AISASなど)
項目=行は、以下の4つを主に使います。

①タッチポイント
②行動
③思考・心情
④感情曲線


如何だったでしょうか?
概念的なお話ばかりで面白さには欠けていたと
思いますが、ブランディングを行う上で
大切な周辺知識なので細かく記載しました。

次回は、
ブランド・パーパス(存在意義)についてと
採用版のブランド体験とも呼べる
採用エクスペリエンス」をご紹介します。

続編はコチラ↓



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