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「分からない」を馬鹿にされても困るんですが

「分からない」ことは恥なんでしょうか?

「なんでそんなことも分からないの?」

私自身、色んなところで、様々な場面で馬鹿にされてきた。
今も昔も変わらない。

そして、一番よくあるパターンが

「なんでそんなことも分からないの?」

である。

私の不勉強なのかもしれないが、私だって人間だから「分かる・分からない」には限度がある。

ただ何よりも、私は「分かる」ことよりも、「分からない」に価値を感じているため、

「なんでそんなことも分からないの?」

は全くと言っていいほど、心に響かない。

「分からない」は恥ではない

このような考え方の私になったのは、大学院で当時の指導教員の影響といっても過言ではないと思う。
彼は、常々、私に

「分からなくてもいいから、とりあえず考えていることを言ってみ」

と声をかけてくれた。

少なくとも、私は彼と出会うまでは、「分かる」ことに縛られていたように思う。
「分かる」ことにこそ意味がある。
だから「分からない」は恥ずかしいことなんだと。

にもかかわらず、「分からなくてもいい」と彼は言った。

大学で研究者として教鞭を執る彼は、世間的には誰よりも「分かっている」人のはずなのに。

さて、「分からなくてもいい」と言われると、思いのほか、思考が広範囲に及ぶものだ。
極端な話、「分からないくてもいい」のだから、恥を忍ばず思い切ったことも言えたりする。

そのため自分が何を言っているのかさえ分からなくなることも多々あったが、その右往左往した思考の中に「分かる」へのヒントがあったりもした。
彼はパニックになる私を否定しなかったし、時には面白がってさえくれた。

今思えば、「分からない」からこそ柔軟に考えられた。そして、「分からない」からこそ見える地平があったのだと思う。

だから、
「分からないこと」は恥なんかではない。
もはや歓迎されるべきことなのだろう。

「分からない」は「分かる」の先にある

このような感覚が確信に変わったのは、大学院の調査で広島平和記念資料館を訪れた時だった。

指導教員は当時

「分かった気になった時は、分からなくなるまで、本を読んだほうがいい」

とアドバイスをしてくれていた。だから、私は、これまでの自分では考えられないくらいの時間をかけて、できる限るの本や論文を読み漁った。

だからこそ、結果的に、「今の俺は、きっと誰よりも「分かる」状態のはずだ」という自惚れた自負すら持ってすらいたのである。

ただ、現場で調査を進めると、現場の実態は私がかき集めた「分かる」では理解しえないことばかりだったのだ。
その1つ1つの断片は、一流の研究者が必死の思いで見つけた「分かる」のはずなのに。

そして、同時に

「なんでこんなに分からないんだ」

というワクワクが止まらなかった。いうなれば、予想外の連発である。

「もしかして、この分からないを味わっているのは、この世界で自分だけなんじゃないか」

という高揚感さえあったのだ。

私はこのワクワクを超える感動と未だ出会っていない。
もしかしたら、人生でこの感動を超える経験はもう無いのではないかとさえ思っている。

「分からない」は「分かる」の先にあるのだ。

「分からない」を馬鹿にされても困るんですが

「分からない」は「分かる」の先にある

今やこれは私のポリシーともいえる考え方のひとつだ。

だからこそ、「分かる」こと以上に、「分からない」が私にとっては重要なのだ。

私は、分からないからこそ、ワクワクする。

私は、「分かる」自分を生ぬるく自画自賛するよりかは、「分からない」を全力で楽しめる自分でいたい。

そして、私は、他人の「分からない」を一緒に楽しめる自分でいたいのだ。

だからこそ、声を大にして言いたい。

「分からない」を馬鹿にされても困るんですが。

ーーー

私はこの「分からないからこそ、ワクワクする」という視点を持ってから、人生が非常に楽しくなりました。

なぜなら、当たり前かもしれないですが、世の中は「分からない」ことだらけだからです。

「分からない」の数だけ、自分の楽しみがあると思うと、それはそれは心は充実していくばかりなのです。

だからこそ、前職のパワハラ問題で

「なんで俺の言うことが分からないんだ」

と毎日詰問されたことは、苦痛以外の何物でもありませんでした。
これは「死ね」「殺す」といった発言と同じくらい、私には心が沈む発言でもありました。
というのも、私からすると、「分からない」を楽しもうとしているのに、その楽しみを頭から否定されたようなものだったからです。

だからこそ、もし「分からない」に悩む人が私の前に現れたなら、私も大学院の先生のように、

「分からなくてもいいから、考えていること言ってみ」

と声を掛けてあげたいなと思っています。

「分からないからこそ、ワクワクする」

という気づきをより多くの人に伝えたい今日この頃です。

というわけで本日はここまで!
お読みいただきましてありがとうございました!

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