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星時雨
2023年12月8日 20:01
白鍵と黒鍵とそれらがずらりと並ぶ八十八の玉座そして沈んだ鍵(けん)の窪みから人の姿に似た木が芽吹くピアノから生まれた木は母なるピアノに還るべく八十八の玉座を尋ねるその軌跡を律とし隠されたパターンを解き明かした時かの扉が開くのだそして浮かんだ鍵(けん)の頂から人の姿に似た木が還っていく私の耳に残った響きはその生命の旅路私の心に残った響きはその生命の循環
2024年1月18日 22:37
詩を考えれば考えるほど小学生の頃のあの授業に引き戻されるよくあるテーマただの授業の1コマそれが私にとっては生涯に渡って今も横たわっている大問題私の授業は終わっていないあれは50分経ったことを知らせただけのチャイムいつもいつまでも小学生の私がいる同じ疑問に今も首を傾げている呆けるまで居座り続けるだろうここに帰ってくるたびに思い出す書かねばと理解された
2023年12月23日 20:09
僕の手はちいさいから足元の砂を掬っては家やら山やら団子やら作ってははしゃぎ作ってはこわし作ってはひけらかし黄昏がうんと背伸びをするとみるみるうちに僕の姿は大人と呼ばれる形になって次第におおきくなっていく手はたくさん掴めるようになったからとついめいっぱい広げるものだから掬いたくないものまで握りしめて山も森も川も町も人も営みも節操なく根こそぎ掴み取