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きのう、なに読んだ?

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日々読んだ本や長文記事などの、読んだ部分について紹介と感想をメモします。
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#働き方

「最軽量のマネジメント」は、お花畑のユートピアじゃないのよ | きのう、なに読んだ?

「最軽量のマネジメント」は、お花畑のユートピアじゃないのよ | きのう、なに読んだ?

『最軽量のマネジメント』を読んだ。著者は、サイボウズ副社長の山田理さん。サイボウズはグループウェアを開発・提供する会社で、2019年「Asia's Best Workplacesベストカンパニー」に選出された。その組織や制度を作ってきたのが、山田さんだ。

山田さんとはこれまで何度かおしゃべりする機会を頂いてきた。例えばこちら。

他にも「長時間労働の原因は、日本独特の「助け合いの職場文化」にある

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働き方改革や生産性向上がほんとうに目指すべきは、フォードのライン生産級のイノベーション | きのう、なに読んだ?

働き方改革や生産性向上がほんとうに目指すべきは、フォードのライン生産級のイノベーション | きのう、なに読んだ?

ニューヨークタイムズに “5-Hour Workdays? 4-Day Workweeks? Yes, Please” (「5時間勤務?週4日?ぜひ、よろしく」)という論考が出ていた。副題は、”Sick of round-the-clock work emails and Slack messages? Here’s some hope.” (24時間来るメールやSlack にうんざりしてませんか

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社会は「慣習の束」でできている (『日本社会のしくみ』)| きのう、なに読んだ?

社会は「慣習の束」でできている (『日本社会のしくみ』)| きのう、なに読んだ?

『1940年体制』を読んだ流れから『日本社会のしくみ』の前半と、いったん真ん中を飛ばして終章に目を通した。これは、大好きなタイプの本だわー。Kindleでハイライトしてたら、終章なんてほとんどハイライトになってしまったじゃないか。

本書の狙いは、ざっくり言うと、こういうことだ。

本書が検証しているのは、雇用、教育、社会保障、政治、アイデンティティ、ライフスタイルまでを規定している「社会のしくみ

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稀な人(『岩田さん』) | きのう、なに読んだ?

稀な人(『岩田さん』) | きのう、なに読んだ?

「岩田さん」とは、任天堂前社長の岩田聡さんのことだ。4年前、胆管腫瘍のため55歳の若さで亡くなった。

本書は、岩田さんが生前、「ほぼ日刊イトイ新聞」に登場したコンテンツと任天堂社の「社長が訊く」から、岩田さんの語ったものを抜粋し編集したものだ。だから、内容だけで言えば、今もウェブで無料で読める。でも、この本にはお金を出す価値があるし、ウェブ記事より長く読み継がれる可能性もある。「編集」が本書の価

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『1940年体制』 ー 働きかたのアップデートは、戦時体制からの脱却

『1940年体制』 ー 働きかたのアップデートは、戦時体制からの脱却

『1940年体制』は1995年出版。2010年に最後の11章が加筆された。1995年時点での金融制度、経済官庁の体制や税制、企業の仕組みは、どれも1940年前後につくられた戦時体制をそのまま踏襲していることを、シンプルかつ丁寧に論じた本だ。

増補版の前書きに、こうある。

刊行時から日本社会は大きく変貌した。経済体制についても、大きな変化が生じた。したがって、これらについて述べた本文中の記述は、

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