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きのう、なに読んだ?

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日々読んだ本や長文記事などの、読んだ部分について紹介と感想をメモします。
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#経営

25年前に見えていた資本主義の未来|「文化資本の経営」|きのう、なに読んだ?

25年前に見えていた資本主義の未来|「文化資本の経営」|きのう、なに読んだ?

『文化資本の経営』は1999年に世に出た本だ。著者の福原義春さんは、1997年まで10年間、資生堂の社長をつとめ、その後も同社の会長、名誉会長であった。本書は絶版になっていたが、このたび復刻出版された。(私も推薦の言葉を寄せた。)

25年前の経営者が書いた本にいま、私たちが注目すべき理由はなにか?

25年前に提言されていたパーパス、ESG、人的資本いま本書に注目すべき理由、それは、パーパス、E

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稀な人(『岩田さん』) | きのう、なに読んだ?

稀な人(『岩田さん』) | きのう、なに読んだ?

「岩田さん」とは、任天堂前社長の岩田聡さんのことだ。4年前、胆管腫瘍のため55歳の若さで亡くなった。

本書は、岩田さんが生前、「ほぼ日刊イトイ新聞」に登場したコンテンツと任天堂社の「社長が訊く」から、岩田さんの語ったものを抜粋し編集したものだ。だから、内容だけで言えば、今もウェブで無料で読める。でも、この本にはお金を出す価値があるし、ウェブ記事より長く読み継がれる可能性もある。「編集」が本書の価

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『1940年体制』 ー 働きかたのアップデートは、戦時体制からの脱却

『1940年体制』 ー 働きかたのアップデートは、戦時体制からの脱却

『1940年体制』は1995年出版。2010年に最後の11章が加筆された。1995年時点での金融制度、経済官庁の体制や税制、企業の仕組みは、どれも1940年前後につくられた戦時体制をそのまま踏襲していることを、シンプルかつ丁寧に論じた本だ。

増補版の前書きに、こうある。

刊行時から日本社会は大きく変貌した。経済体制についても、大きな変化が生じた。したがって、これらについて述べた本文中の記述は、

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