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著者と対話しながら読むこと(2019年3月に読んだ本まとめ)

「読書習慣がある」
褒めてもらえることが多いが、僕にとって読書とは「呼吸をする」のと同じ。決して誇れるものと思っていない。僕は要領が悪い人間なので、他人よりも多くの酸素(=インプット)を取り入れないと生きていけない。

「読書をしなくても良い」
要領の良い人間なら、生存のための読書は不要かもしれない。人生の要諦を掻い摘み続けることで、生存上必要な知識は得られるからだ。人間には24時間しか与えられていない。効率は大事です。

「それでも僕は読書をしたい」
例えば今回紹介した本に挙げた野村克也さん。言わずと知れた野球監督であるが、野村さんと直接話をする機会にはなかなか恵まれないだろう。(講演を聴く機会はあるかもしれないが)
だけど本は、著者と擬似的に対話をすることが可能だと思っていて。表面をなぞるだけだと「知識」に過ぎない。だから突っ込んでみることが大事だ。

・なぜ野村監督はこの考えに至ったのか
・当時の時代背景は現在とどう違うのか
・ビジネスの世界に生きている自分が、野村監督のエッセンスを取り入れるとしたらどんなアプローチが可能か
・今僕が力を入れている人材育成を野村監督が見ていたら、どんなアドバイスをいただけるだろうか

そんなことを想像しながら読むと、僕の中に眠っている野村克也さん的な人物がメッセージをくれる。「おいほりそう、能書き垂れすぎや。まずはお前が本気にならんと若手はついていかないで」なんてボヤかれているような。
傍から見ればそれは僕の思い込みだろう。実際そうなんだけど、1時間前の僕とは違う視点が混じっている。それが僕の気付きであり学びである

テレビでも良いかもしれない。
だけど本は再読ができる。自分のペースで精読もできる。人との対話が価値を持つためには、分かり合うために相応の時間が必要だと思っている。そう考えると、「本」というメディアは対話に近い役割を持ちうるのではないだろうか。

前段が長くなった。3月に僕が読んだ本は11冊だった。

平野啓一郎『ある男』はnoteでも書いた通り、文句なしに小説の中身を楽しむことができた。文体も好みだ。理論理屈をさりげない導入の仕方で説いてくるのは読者を選ぶと思うが、僕にはピッタリだった。

朝倉祐介『ファイナンス思考』は、僕が今年から経営ゼミに参加しているため、事業構築や企業経営などに関心を持ったところから読むに至った本だ。僕にはファイナンスの観点がほぼ無い状態だったため、難しいところもあったが腑に落ちるところもあった。
なかなか仕事やプライベートで触れづらい かつ 自分にとって大切なことへの学びを、優先的に深めていきたい。ミクシィを立て直した朝倉さんの「3ヶ月前は黒歴史」という信条にも刺激を受けた。

小原聖誉『凡人起業 35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。』もnoteに書いた。今日読んだツイートに小原さんの「凡人」たる気概が示されていると感じた。やりたいことより負けないこと。僕にとって、肝に銘じたい視点である。

野村克也『野村メモ』は、前田裕二さんのベストセラー『メモの魔力』に通ずるところがある。(奇しくも同時期に発売された本だ)
野村さんはメモの効用を以下のように説いている。

・記憶力を高める。経験や学びを忘れにくくする
・観察力、思考力(発想力)を高める

クリエイティブな効用をとりわけ喧伝した『メモの魔力』と比べると、質実剛健な野村さんらしい言い回しのように感じた。情報が素通りしてしまいがちな時代だからこそ、アナログに思える「メモ」という手段(発明)が再発見されているのではないだろうか。

まとめ(紹介した4作品)

・平野啓一郎『ある男』
・朝倉祐介『ファイナンス思考』
・小原聖誉『凡人起業 35歳で会社創業、3年後にイグジットしたぼくの方法。』
・野村克也『野村メモ』

個別に発信したnoteも、よろしければご笑覧ください。



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