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根気より呑気でたのしむ外国語

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英語をはじめ、外国語のもつ “おかしさ”、“たのしさ”、“おもしろさ” について、のんびり気楽に書き留めていく。雑考。
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#翻訳

#107. ぼくもみんなも、誤訳に用心

#107. ぼくもみんなも、誤訳に用心

こちらの note でかなり更新を怠っているわりに、YouTube ではいまのところコンスタントに動画を上げている。怠惰なぼくでも続いているのは、「洋楽の和訳」というテーマが一つ、しっかりあるからだと思う。

以前洋楽の和訳について記事を書いたときにはたしか 100 もなかった登録者数も、いまではこの note のそれをも追い越して、いつの間に 3,500 を超えていた。数が増えるのは素直にうれし

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#58. 翻訳者という「裏切者」

#58. 翻訳者という「裏切者」

翻訳は、裏切りにも似た行為である。

そんなこと言ったら、本業の方に怒られてしまうだろうか。

だがこれはなにも、ぼくの個人的な意見ではない。

イタリア語に、次のような言葉があるのだ:

Traduttore, traditore.
翻訳者とは、裏切者だ。

イタリア語 traduttore は英語で言うところの translator(翻訳者,通訳者)で、traditore は英語の trait

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#19. 『天気の子』 の英訳について

#19. 『天気の子』 の英訳について

『天気の子』を観てきた。

個人的な鑑賞履歴としては、新海誠の作品では、『秒速 5 センチメートル』・『言の葉の庭』に続く 3 作目となる。

新海さんの作品はとても好きだし、今回のものを含めて上に挙げた 3 作は小説版もすべて読んでいるのだが、『天気の子』は「とある理由」により初めて、上映期間中に映画館に足を運んでまで観た。

■ 『天気の子』 だけが特別な理由

「とある理由」というのは、端的

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#15. 「恋」を英訳するとして

#15. 「恋」を英訳するとして

すこし前、BBC が英語に翻訳不可能な日本語の一つとして「恋の予感」を取り上げたことについて、短い記事を書いた(「翻訳のできない日本語『恋の予感』」)。

そもそも「恋」と「愛」すら分けない英語が、「恋の予感」という(恋よりも前の)かすかな感情を訳すのに難儀するのは、ある意味必然だと言える。

英語はまず、日本語の「恋」と「愛」の違いを理解するところからスタートしなければならない。



...

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#6. 翻訳のできない日本語「恋の予感」

#6. 翻訳のできない日本語「恋の予感」

英語にうまく訳すことのできない日本語はたくさんあるが、そのうちの一つに「恋の予感」がある。



今年の初めにイギリスの公共放送局 BBC が、"The 'untranslatable' Japanese phrase that predicts love"(恋を予見する「翻訳不可能」な日本語)というタイトルで約 2 分の動画付き記事を公開した。

動画の中では、日本にルーツを持つと思われる何名

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