天野久弥 (総合/ITコンサル)

コンサルティングファームのDirector。コンサルタントとして2000年代からアメリ…

天野久弥 (総合/ITコンサル)

コンサルティングファームのDirector。コンサルタントとして2000年代からアメリカで7年駐在した後、事業会社デジタル部門の部長職を経て現職。ERPやCRM導入での大規模グローバルプロジェクトを中心に、多様なテーマのプロジェクトをプログラム/プロジェクトマネージャとして経験。

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【プロマネ】プロジェクトって何? ITコンサルがプロマネになった時の話

コンサルタントになってしばらくした頃の話です。いつも週何回かは終電すら間に合わずタクシーで帰宅していました。 ある日、タクシーの車中で運転手さんと「お客さんお仕事ですか?何の仕事ですか?へぇ、コンサルタント・・、大変ですね。。コンサルの方もよく乗せますけどー、この時間は官僚も多いですね。役人さんも国家公務員の方は大変そうですよ」とかそんな話をし、車中で少し眠りたかったのですが、眠れずに自宅について、風呂に入り、湯船に浸かったら寝落ちして、プログラムのバグを解消した夢をみて、

    • 【英語】米駐在歴ありのコンサルが約10年ぶりにTOEICを受けた

      今年(2022年)の年始頃から準備を始め、3月20日にTOEIC L&Rテストを受けたところ、スコアが975でした。テストに対する所感と、どのような準備をしたかを書いていこうと思います。 久しぶりにTOEICを受けた結果 3月20日にTOEIC L&Rテストを受けて、その結果が先日TOEIC SQUAREという申込サイトにポストされていました。受験したことがある方はご存じの方も多いと思いますが、Webから申し込みをすると、公式認定証が発行される前に結果を教えてくれます。私

      • 【DX】ビッグデータと企業の変革について

        「ビッグデータ」という単語が2010年代、IT業界のトレンドとして席巻していました。定期的に出ては消えていくバズワードの一つとしてみる向きもあり、今日ではビジネスの会話で話題に上ることも減ってきたように感じます。 しかしビッグデータが指していた概念は、世間の興味とは別に、重要性はさらに増してきています。まずは、ビッグデータとは何か、一般的な定義で分かりづらいところ、あいまいなところは、私自身の解釈も交えながら説明していきます。 ビッグデータとは何か?ビッグデータはテクノロ

        • 【DX】デジタルは変革を起こす魔法の粉ではない

          DX = Digital Transformationも定義が定まっているようで定まっておらず、使っている人、使われ方によって揺れがあるように思います。その中でも、影響力があり、ある程度、信頼性がおける定義といえば、以下二つが代表的なものと考えられます。 「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を

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        【プロマネ】プロジェクトって何? ITコンサルがプロマネになった時の話

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        • SCMについての考察
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        • ビジネスに役立つ格言・名言
          2本
        • 企業分析のやり方
          3本
        • プロジェクトマネジメントの物語
          8本

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          【戦略】今日的な戦略と、破壊的なイノベーションへのアプローチ

          戦略とはなんでしょうか?あまり言葉遊びをしても仕方がないのですが、実は戦略という言葉の定義は、そこまでしっかりとは固まっていません。個人的には、それだけ、いろいろな含意があるからだとも理解しています。 元々は、「戦争に勝つために、戦場において巨視的な視点で、自軍の資源(兵、武器、糧食など)をどう配し、また作戦計画をたて、遂行していくかという方策」であったのではないかと理解しています。 私も含めてビジネスマンであれば、我々はビジネス上の経営戦略を単に戦略と呼び、その構成要素

          【戦略】今日的な戦略と、破壊的なイノベーションへのアプローチ

          【人事】戦略人事が企業変革を推し進めるキーワードである

          人事こそが、デジタルトランスフォーメーションをはじめとした、技術革新の波に対応する企業の変革を、ビジネスリーダーと一緒にリードするべき人たちだと考えています。 それ以外のファンクションの方も、人事に何を期待するべきなのかをご理解いただくのに有用な考察をいたしましたので、ご参考にしていただければ幸いです。 破壊的イノベーションと失われた30年「イノベーションのジレンマ」という1997年にクレイトン・クリステンセン(1952 - 2020)という経営学者が記した書籍があります

          【人事】戦略人事が企業変革を推し進めるキーワードである

          【SCM】ロジスティクスの基本概念を理解する

          ロジスティクスは元々、軍事用語から派生してビジネスに用いられるようになった言葉ですが、軍事用語としてのロジスティクスは武器、兵器、糧食などの調達、供給を管理する兵站(へいたん)術とその運営を指します。 この技術をビジネスに応用し、物資の流れをマネジメントする仕組みを、我々はビジネスのシーンでロジスティクスと呼んでいます。 私自身はロジスティクスの専門家ではなく、20代の若手の頃に営業支援や顧客情報管理といったCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)の仕事をし

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          【教訓・名言】人生の羅針盤となった稲盛和夫さんの言葉と、陽明学

          私はコンサルティングファームでの経験や、海外駐在歴などから、いわゆるエリート層とみられることもありますが、実態としてはまったくそんなことはありません。 友人には恵まれましたが、有名な大学を卒業しているわけではなく、キャリアのスタートもニッチな産業の優良企業ではありましたが、事業会社のサラリーマンがスタートです。そして、最初に受けたTOEIC試験のスコアは350でした。 人生を変えた稲盛和夫さんの言葉そもそも、中学・高校ぐらいまでひねくれていた頃までの自分は、あまり社会にで

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          【教訓・名言】多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない(カエサル)

          塩野七生さんの著書「ローマ人の物語」でユリウス・カエサルの言葉として紹介している言葉があります。 「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」 原文を直訳すると「人間は望むことを喜んで信じる」ということだそうですが、コンサルタントとして仕事をしていると、こういうことはよくあると感じます。 事実と現実の違い私たちの仕事であればファクト(事実)を抑えることは誰でも意識していると思いますが、ファクトに対しての解釈は多様

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          【ビジネススキル】数式なしで説明するビジネスに役立つゲーム理論

          コンサルティングファームで営業、プリセールス活動のトレーニングを担当したことがありましたが、そこで考え方の軸としていたのがゲーム理論でした。ここでは数学的な計算などは出来るだけ用いずに、その考え方、概念がわかるように書いていきます。 まず、ゲーム理論の説明をする前に、企業や人がビジネス上の意思決定を行う際の背景には、大きく3つの考え方があることを説明します。 まず一つは企業や人は「経済的に合理的な選択をする」ということを前提においた考え方です。ビジネススクール等で教えられ

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          【IT】SAP? Oracle? ERPとは何かを説明してみた

          企業にお勤めでERPとは何かを「聞いたことはあるけど何か分からない」とか、就職活動を控えている学生の方で「総合/IT系のコンサルファームでERP部門があるが、ERPって何だろう・・」という方でも参考になるようにと思い書いている記事です。 また、ERPのことは知っていて、実際に使っていたり、導入を検討されている企業の方や、ERPコンサル・エンジニアが読む読み物としては、基礎的なところに終始はしますが、プロでも整理できていないところもあると思いますので、共通理解を作る上も参考に

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          【企業分析】その企業は買いか?重要な指標からザックリ見てみる

          私たち人間一人一人に個性があるように、企業にもそれぞれ個性があります。企業に対して、財務諸表や会計指標を用いて、分析対象の企業の個性を見ていくことをキャラクター分析といいます。 その中で、貸借対照表(バランスシート)と損益計算書(プロフィット&ロス)を用いて分析については、過去2回の記事で説明してきました。 考え方を理解するうえで財務諸表から説明に入りましたが、実際には個人投資家として株式の購入・売却を考える時や、コンサルタントとして企業や業界・業種の置かれている状況を見

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          【企業分析】ここに着目!コンサルが見る財務諸表と重要KPI (P/Lを読む)

          こちらの記事では損益計算書(Profit & Loss Statement、略してP/L)について、会計・ファイナンスの専門家ではない方が、どういう風に数字を見ていけば企業の状況が浮かび上がるようになるのか説明します。 前の記事で財務三表のつながりと貸借対照表を説明しているので、そちらも読んでいただければと思いますが、この記事だけでも損益計算書については大づかみで理解できるのではないかと思います。 そして、大づかみな理解がほとんどの方にとっては十分なもので、これが読めれば

          【企業分析】ここに着目!コンサルが見る財務諸表と重要KPI (P/Lを読む)

          【企業分析】ここに着目!コンサルが見る財務諸表と重要KPI (全体像から貸借対照表まで)

          企業の財務分析は、投資やファイナンスのプロではなくても知っておいて損はない知識です。主な対象者は、就職を控える学生、転職を考える会社員、個人で老後資金の投資先として株の購入を考えている方などが該当するのではないでしょうか。 この記事は上記のような専門家以外の方を想定して書き始めていますが、今後の会計・ファイナンスのことを学んでみようという方にとって、専門的な書籍を読む前の前提知識としても役立つのではないかと思います。 数回に分けて書いていこうと思いますが、初回は全体像と、

          【企業分析】ここに着目!コンサルが見る財務諸表と重要KPI (全体像から貸借対照表まで)

          【DX】そのデジタルトランスフォーメーションは変革につながらない

          本稿ではデジタルを用いてのトランスフォーメーションとは何か、自身の考察を、一般的な捉え方との比較をしながら説明しています。 これまでのキャリアとデジタルとの関り私はプロフェッショナルとしてのキャリアを進めるうえで、何度か転職をしています。基本的に嫌になって辞めた会社はなく、人生のライフステージによるものであったり、キャリア上の選択として別の会社に移るということをしてきました。 そのため、所属していた企業には愛着や感謝はありますが、後ろ足で砂をかけるようなことはしたくありま

          【DX】そのデジタルトランスフォーメーションは変革につながらない

          【DX】事業会社でデジタル部のリーダーになった時の話

          日系の総合コンサルティングファームでアメリカ駐在から帰国した後、しばらくグローバル企業の事業会社にいました。事業会社ではグローバルプロジェクトのITプロジェクトマネージャからスタートし、プログラム全体を統括するようになり、最後はデジタル部(英語ではDigital Platform Team)の立上げをプロジェクトの主要メンバーと共に行いました。 そこで経験したエピソードに絡めて、プロジェクト/プログラム/ポートフォリオの違いを説明したのが以下のNoteになります。 具体的

          【DX】事業会社でデジタル部のリーダーになった時の話