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スペインのチェロ奏者は民謡「鳥の歌」に何を託したのか 〜 パブロ・カザルス 「鳥の歌」

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夏は、お盆という節目があるから何か特別な感じがします。また、終戦記念日という時期にもあたります。

お盆と終戦記念日が重なっている点は、とても興味深く、、

もともとは旧暦の7月15日がお盆であったわけでして、それが戦争直後の生活様式見直しの過程で24節気とも関連して1か月遅れの8月15日が慣例となっていったという理由があるようなんです。

でも、結果論とはいえ、お盆と終戦記念日が同じ日という偶然の一致には、何か人知を超えたものを感じてしまうわけですが。。

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夏という時期は、、

こういった偶然もあって、やはり、平和というものを改めて考えてみる機会になります。昭和20年の夏に起きたこと。もちろんそれ以前から続いていた戦争の終結タイミングの夏に起きたことに思いを馳せざるを得ません。

平和を願う心は、万国共通。

スペインのチェロ奏者、パブロ・カザルスも平和を祈った一人でした。

バルセロナのあるカタルーニャ地方の民謡には、「聖母の御子」のほかに「鳥の歌」という曲もあります。もともとはクリスマスキャロルで、キリスト生誕を祝う曲。

パブロ・カザルスは好んでこの曲を演奏しています。

1971年10月、世界国際平和デーに国連で演奏会を行った際にも演奏しています。その時のスピーチは、平和を愛した人らしく、、以下のようにこの曲に平和のメッセージをこめています。

私の生まれ故郷カタロニアの鳥は、ピース、ピース(peace,peace)と鳴くのです


また、彼はフランコが独裁政権下では亡命をし、フランコへの反対の姿勢、反ファシズムの姿勢を貫いたのだそうです。

そんな彼がケネディ大統領によってホワイトハウスに招かれ、演奏会を行ったライブ盤が存在しています。

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時は冷戦真っただ中、&フランコ独裁政権真っただ中。ラストに「鳥の歌」も演奏されました。

カザルスが、この演奏会のラストにカタルーニャ民謡「鳥の歌」を取り上げ続けたのは平和を願う心から。

彼の中には一貫して、内に燃えたぎるような情熱があったことは間違いなく、演奏においても感情がたっぷりとつまった聞き応えのあるものになっています。

メンデルスゾーンの愛惜の響き、「鳥の歌」のしみじみとした情感は、じっときいていると心にしみいってきます。じんわりと。

松尾芭蕉の以下の句が浮かんできます。

閑さや岩にしみ入る蝉の声

そんなやさしくも、情熱の詰まった音楽。冷戦下、スペインのカストロ独裁政権下という時代背景をふまえつつ聞いてみると、なんともいえない味わいを感じます。

このライブ盤を聞きながら、平和について思いを馳せてみるのが、夏の恒例となっています。

皆さんの周りの鳥は、今、どんなふうに歌っているのでしょう?

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