草木の精霊と生命 〜 「色と糸と織と」 感想文その1、その時浮かんだ曲を添えて
とても惹かれるものがあったので、この本の章ごとの要約を✖︎音楽で書いてみようと思いました。
そもそも色とは何か。色の由来。起源。
今回は第1回目。何回かに分けて書いていきます。読書感想文のような感じです!
イメージした音楽も掲載しているので、聞きながら、お読みください!
草木の精霊
木霊(こだま)と聞いて何を想像するだろうか。すべての人に魂があるように、すべての草木にも魂があると考えればわかりやすいかもしれない。
先日思い立って、鎌倉を訪れた。自然のチカラを受け取りに。浜辺を歩いた後、山に向かった。人里離れた古寺には日常と違う空気が流れていた。見上げればどこまでも続く鬱蒼とした森。そこには圧倒的な自然があった。
そんな時にふと思った。
文明がない時代。人々は、この森の中に何を見ていたのか。おそらく、森の中の草木に精霊の姿を見ていたのかもしれない。我々の祖先は森羅万象の中に精霊を見出だし、それを崇め奉ってきたのだ。
そう考えれば、草木にも魂があるというのはうなずける。鎌倉の古寺。鬱蒼とした森の中に精霊が宿っている。その気配を感じた気がした。
衣服を形つくるのは、一本の糸。糸が織りなす色彩は草木からのいただきもの。
それは草木の生命を纏うこと。
草木の生命
書籍から一部分を引用する。古代の染師の間に語り伝えられていたという一説だ。
「草木は人間と同じく自然より作り出された生物である。染料となる草木は自分の命を人間のために捧げ、色彩となって、人間を悪霊より守ってくれるのである。だから、愛を持って取り扱い、感謝と木霊への祈りを持って染の業に専心すること。」
衣服を形作る糸は草木のチカラによって無限の色に染め上げられる。その糸によって作られた衣服を身に纏うということは、木霊を見に纏うことと同じだ。太古の人たちは、それをもって悪霊から身を守ったのだ。
色を染めると言う事は、草木が既にその身に抱いている色をいただくこと。どんな色が出るかは、草木次第。
春の芽吹きの準備をしている樹木からはみずみずしいエネルギーがほとばしり、若々しい色に染まる。
ただ、違う草木の色を一度に混ぜ合わせることはできないようだ。梅と桜を混ぜて新しい色を作ることができないと考えればわかりやすい。梅には梅の、桜には桜の生命があるからだ。
化学染料は人間が主体で作り上げた。自由に混ぜ合わせることができる。個人的には、これ自体を否定するものではない。
でも、ちょっとだけこんな風に考えてみたい。
植物染料は自然が主。我々が纏ってきた衣服は草木の生命をいただいている。自然のチカラ。我々はたくさんの恩恵に与ってきた。
そのような自然への感謝の気持ちや、畏敬の念を忘れずにいたい。
色と衣服に関心が向いているこの頃。鎌倉の古寺にて、こんなことを考えた。