山本博幸

長崎を舞台にした小説や童話、短歌などを作っています。物語の舞台になった場所を思い浮かべ…

山本博幸

長崎を舞台にした小説や童話、短歌などを作っています。物語の舞台になった場所を思い浮かべて、読んでもらえれるとうれしいです。興味があるのは、千々石ミゲルと伊東静雄と野呂邦暢、諫早一揆、それに核兵器廃絶と世界平和。これからも作品をアップしていきますので、ご意見をお願いします。

最近の記事

俳句とエッセー㉒『 海山村Ⅱ - アフリカの切手 -新米 』 津 田 緋 沙 子

  ア フ リ カ の 切 手 新 米 や 塩 む す び し て 一 日 め 新 米 の よ き 名 並 び し 出 荷 か な み ど り ご の 初 お 目 見 え や 秋 祭 長 老 の 杖 の 指 揮 め く 秋 祭 百 年 を 変 は ら ぬ 里 や 松 手 入 ち ぎ れ 雲 秋 の ゆ き 交 ふ 交 差 点 ア フ リ

    • 俳句とエッセー㉑『 海山村Ⅱ - シンプルに -草刈 』 津 田 緋 沙 子

        シ ン プ ル に 草 刈 つ て 捨 田 の ー つ 現 れ し シ ン プ ル に 生 き む と 思 ふ 冷 奴 ご 苦 労 と お の れ 労 り 冷 奴 夏 空 や 合 宿 拠 点 の 大 食 堂 ス リ ッ パ は ロ コ コ 花 柄 夏 館 ひ つ そ り と 都 の 食 堂 水 中 花 ま だ 手 離 せ ぬ 亡

      • 短 歌 随 想 ⑿『 琉球王朝最後の王 尚 泰 』

          戦世や済まち           みるく世ややがて                 嘆くなよ臣下 命ど宝                               尚   泰                  琉球王朝最後の王の歌。  首里城を明け渡す日に王が民に呼び掛けた言葉。 「戦いの世は終わった。平和な弥勒の世がやってくる。嘆くな、皆の者よ。命こそ宝だ」と。  この歌が平成27年の沖縄全戦没者追悼式でよまれた若者の詩の中で蘇った。その会場には、

        • 俳句とエッセー⑳『 海山村Ⅱ - 青時雨 - 兼題「白靴」 』 津 田 緋 沙 子

            青 時 雨 お 出 か け の 一 家 と り ど り 夏 帽 子 子 は 父 の 麦 わ ら 帽 子 被 り た く 飼 育 科 の 生 徒 揃 ひ の 麦 藁 帽 新 し き 卒 塔 婆 を 濡 ら す 青 時 雨 白 靴 や フ ラ ン ク シ ナ ト ラ 風 の 人 白 靴 や 渓 の 吊 橋 渡 り 切 る カ タ

        俳句とエッセー㉒『 海山村Ⅱ - アフリカの切手 -新米 』 津 田 緋 沙 子

          俳句とエッセー⑲『 海山村Ⅱ - 種を蒔く - 小さな仏壇の話 』 津 田 緋 沙 子

            種 を 蒔 く 目 覚 ま し 時 計 胸 に 抱 き ゐ し 朝 寝 か な 種 蒔 や 育 苗 箱 の 長 き 列 遠 山 は む ら さ き 里 は 種 を 蒔 く 剪 定 の 鋏 の 音 や 二 人 ら し 風 船 の バ ス に 乗 り く る 日 曜 日 二 人 展 始 ま る 画 廊 夏 初 め 画 廊 よ り ひ

          俳句とエッセー⑲『 海山村Ⅱ - 種を蒔く - 小さな仏壇の話 』 津 田 緋 沙 子

          俳句とエッセー⑱『 海山村Ⅱ - 掌 の か た ち - 子 年 考 』 津 田 緋 沙 子

            掌 の か た ち 少 年 の ひ み つ 鳥 の 巣 見 つ け た る 鳥 の 巣 や 窪 め た る 掌 の か た ち し て 春 分 の 日 の ペ ン 先 の 影 淡 し 段 畑 の そ の 天 辺 の 揚 雲 雀 揚 雲 雀 ナ ナ ハ ン バ イ ク 疾 走 す 白 魚 を 食 べ て 散 り 散 り 赴 任

          俳句とエッセー⑱『 海山村Ⅱ - 掌 の か た ち - 子 年 考 』 津 田 緋 沙 子

          津 田 緋 沙 子 と い う 抒 情

          俳句とエッセー 津田緋沙子『海山村Ⅱ』              写真とキャプション 山本博幸   平 成 二 十 九 年 ①  巡 礼 の 旅 鉛 筆 も 子 の お さ が り や 春うらら 巡 礼 の 旅 の 終 は り の 薮 椿 聖 人 の 赦 し の 眼 致 命 祭 山 峡 の 秘 湯 卯 の 花 腐 し か な 青 嵐 白 鷺 は 樹 の 花 と な り 青

          津 田 緋 沙 子 と い う 抒 情

          崩 れ ゆ く 時 間 の 果 て に

          我等が町へようこそ。 あるいは「我らが町」という言い方は間違いかもしれない。 かつて我らのものだったこの町も今や君たちのものだ。 君たちが唯一の住人であり、君たちが法だ。 君たちはここへ何をしに来たのだろうか。 何を見に来たのだろうか。 何であるにせよ 君たちの好きなようにすればよい。 例え君がこの町に火をはなちもやし尽くそうとも誰も口出しはしない。 しかし君は何をしたとしても、すべてがうまくいくとは限らない。 この町にはある特有の時間が流れている。 君の行動はこの時間に左右

          崩 れ ゆ く 時 間 の 果 て に

          俳句とエッセー⑰『 海山村Ⅱ - 幸行のごとく-文字とは日本語とは 』 津 田 緋 沙 子

            行 幸 の ご と く 初 小 春 日 や ホ ー ム の 窓 の み な 開 き し 師 の 文 の 青 き イ ン ク 字 竜 の 玉 渓 流 の 鴛 鳶 追 う て ゆ く タ 日 行 幸 の ご と く 大 河 の 鴛 鴦 の 列 綿 虫 や 迷 ひ 込 み た る 坂 の 町 三 尺 の 寒 鯉 見 む と 着 ぶ く

          俳句とエッセー⑰『 海山村Ⅱ - 幸行のごとく-文字とは日本語とは 』 津 田 緋 沙 子

          短 歌 随 想 ⑾『 斎 藤 茂 吉 』

            わ が 病      や う や く 癒 え て 心 に 染(し) む               朝 の 経 よ む 穉(おさな) 等(ら) の こ ゑ     斎  藤   茂  吉    1920年、長崎医専教授だった茂吉はスペイン風邪にかかり、50日近く病に伏した。  日本でも38万人が死亡したが、第1次世界大戦の最中、特にドイツ軍で広がり、敗因の一つとなった。  パリ講和会議では、独り賠償金に反対していたウィルソン米大統領が、スペイン風邪

          短 歌 随 想 ⑾『 斎 藤 茂 吉 』

          俳句とエッセー⑯『 海 山 村 Ⅱ - 小 鳥 来 る 』 津 田 緋 沙 子

            小 鳥 来 る 初 秋 刀 魚 父 の 忌 日 の 近 づ き ぬ 大 釜 を 磨 く 媼 ら 小 鳥 来 る 小 鳥 来 る 開 け 放 た れ し 農 具 小 屋 渡 り 鳥 龍 の ご と く に 明 け の 空 草 刈 る 手 止 め て 見 送 る 渡 り 鳥 黒 板 に 広 が る 世 界 夜 学 生 帆 船 の 来 る 海 原 の 蝶 の ご と   父 と 私 と 秋 刀 魚  秋刀魚は子どもの頃よく食べた魚である。父の好物だったせい かも知

          俳句とエッセー⑯『 海 山 村 Ⅱ - 小 鳥 来 る 』 津 田 緋 沙 子

          俳句とエッセー⑮『 海 山 村 Ⅱ - 峡 の 空』 津 田 緋 沙 子

           峡  の  空 立 秋 に 届 き し 手 紙 手 漉 き 和 紙 鮭 の 身 の 立 つ ほ か ほ か の に ぎ り 飯 三 さ い の お て が み ご つ こ ほ う せ ん か 燕 帰 る そ の 日 を 記 し 農 暦 秋 燕 や 青 深 深 と 峡 の 空 燕 帰 る 幼 ひ と り の そ を 知 れ り 鈴 虫

          俳句とエッセー⑮『 海 山 村 Ⅱ - 峡 の 空』 津 田 緋 沙 子

          短 歌 随 想 ㈩『 松 下 竜 一 』

            泥のごとできそこないし豆腐投げ 怒れる夜の まだ明けざらん    松  下  

          短 歌 随 想 ㈩『 松 下 竜 一 』

          短 歌 随 想 ㈨『 与 謝 野 晶 子 』

            金 色 の ち ひ さ き 鳥 の か た ち し て                 銀 杏 ち る な り 夕 日 の 岡 に    与 謝 野  晶 子  一斉に黄葉する銀杏は、大樹ともなればその神

          短 歌 随 想 ㈨『 与 謝 野 晶 子 』

          俳句とエッセー⑭『 海 山 村 Ⅱ - あ れ や こ れ』 津 田 緋 沙 子

           あ れ や こ れ 若 竹 の 箸 の 香 れ り 山 の 飯 渓 谷 を 七 曲 り 来 る 鮎 の 川 古 里 の 川 に 父 と 子 鮎 を 釣 る 笹 芭 の 鮎 届 き た る 解 禁 日 金 魚 み な 名 前 で 呼 ば る 小 学 校 金 魚 屋 の 主 バ ッ ハ を 聴 く 青 年 空 蝉 や 子 の 残 し

          俳句とエッセー⑭『 海 山 村 Ⅱ - あ れ や こ れ』 津 田 緋 沙 子

          『 ウ ク ラ イ ナ 』

           論文の修正がやっとひと段落したところで、朝美からラインが届いた。〈また、ロシアが核兵器をちらつかせて、脅しをかけているわ。許せん!〉〈ほんと、ひどいね!狂気としか思えない〉 〈私たちも抗議の意思を示すべきだよ〉 〈会長に同感!何をやろうか?〉 〈そこなのよ、問題は。和葉の考えは?〉 〈うーん……ダメ。今は脳死状態だわ〉 〈微力だけど、無力じゃない……違う?〉 〈懐かしい。高校生の頃を思い出す〉 〈何か新しい取り組みができないかな、世界の人たちと一緒にさ〉 〈やっぱり、SNS

          『 ウ ク ラ イ ナ 』