短 歌 随 想 ㈨『 与 謝 野 晶 子 』
金 色 の ち ひ さ き 鳥 の か た ち し て
銀 杏 ち る な り
夕 日 の 岡 に
与 謝 野 晶 子
一斉に黄葉する銀杏は、大樹ともなればその神々しさについ立ち止まり見とれてしまうが、この歌は散り落ちる金色の葉一枚の形をうたうことで銀杏の樹全体を読者に喚起させ、さらに近景の金色の銀杏が遠景の赤い夕日の中に鮮やかに立ち上がる。
そして、散り尽きた銀杏は冬空にその幹枝を惜しげもなく晒すが、今年の諫早短歌大会で「一葉もまとわぬ公孫樹の凛と立つこんな露になれるか我は」(岡本博)と出会った。
晶子の歌「自らが幸い君がさいはひのつゆも変わらぬものにてあれかし」を分かち合い、来年が穏やかで平和にならんことを願う。
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