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田園、清流、歴史。そして”天然”の炭焼きコーヒーを味わう列車 ~「SLばんえつ物語」~

一面に広がる新潟の田園風景。
渓谷を流れるエメラルドグリーンの清流。
そして雄大な磐梯山を眺めながら深い香りのコーヒーを、ごくり。

そんな体験をさせてくれるのが、"レトロだけど快適"な汽車の旅

今回は、新潟・福島間をのんびりゴトゴト走る臨時列車「SLばんえつ物語」をご紹介します!


◆「SLばんえつ物語」運転再開!


新潟県と福島県を結ぶJR東日本の磐越西線
昨年8月の豪雨被害で不通だったこちらの路線が今年の4月に全線再開したのに合わせ、7月に運行が再開されたのが臨時列車「SLばんえつ物語」です。


私がSLの始発駅である新潟県新津駅を訪れたのは、運行再開から間もない8月中旬のことでした。

新潟駅から乗車した列車を降りると、既にSL列車は向かいのホームに入線した後。普通列車とは違う凝ったデザインの客車が異彩を放っていました!

客車を引っ張る機関車は「C57 180
今年で喜寿(77歳)を迎えるそうで、前面には特別ヘッドマークが。
SLの煤煙や蒸気がもうもうと立ちこめるホームは、駅員さんたちがお祝いの横断幕を掲げるなどお祝いムード一色。

さぁて!
では早速私も祝杯をあげていきましょうか!!

祝い酒は、車内の売店で買った新潟限定ビール「風味爽快ニシテ

豪快な蒸気に負けじと、カシュ、プシュゥゥッと炭酸の汽笛を響かせる!

さっぱり鮮やかな味わいが、煤煙と暑気が満ちるホームに立つ私の体を芯から冷やしてくれました。

◆「母校」に挨拶

時刻は10時3分になり、汽笛とともにSLがゆるりと新津駅を出発しました。

ホームや沿線に立つ人々の見送りに、重厚で力強い走りと派手な煤煙で応えながら、列車はのんびり街を抜けていきます。

しばらくすると左手に小学校が見えてきました。
新津第一小学校です。
実は今走っている「C57 180」は、一度現役から退いた後、ここ新津第一小学校の敷地内で保存されていたものでした。

子どもたちと30年の時を過ごした後、「C57 180」はSLばんえつ物語の機関車として「卒業」。

以後小学校の傍を通過する際、入学式などの行事の日であれば汽笛を鳴らし、運動会の時には337拍子のリズムで応援したこともあるそう!

そんな「母校」の校舎に、今日も元気よく「行ってきます!」

◆田園と清流をバックに駅弁タイム


市街地を抜けた後は、米どころの新潟らしい田んぼが広がる風景が。
私の故郷滋賀県も全国有数の米の産地なこともあって、遠く離れた土地ながら、地元のような安心感に浸っていました。

SLはやがて阿賀野川に近づき、渓谷へと入っていきます。
時刻もそろそろお昼時。ここいらで駅弁をいただくとしましょう。

ちなみに駅弁を買ったのは、車内にあるこちらの売店。
駅弁の他にも地酒やソフトドリンク、オリジナルグッズを販売しています。

購入したのは「SL新津発ばんえつ物語弁当
新潟県産コシヒカリの醤油飯の上には、海の幸などの具材がぎっしり!

さぁて、ここで一緒に地酒タイムといっときましょうか!
いただくのは越後鶴亀さんの純米酒

う~~ん!
濃いめの味付けの駅弁を、辛口の地酒がさっぱり中和してくれます……!

やはり「その土地の食べ物にはその土地の酒」、です。

エメラルドグリーンの美しい清流を眺めながら、こんなおいしいものを味わえるなんて、なんと贅沢なこと。
SLの指定席料金が高級料亭のチャージ料金に思えてきました。

◆古いけど新しい


食事も景色もひと通り堪能した後は、車内を散策してみます。

パノラマ展望車 ※公式HPより画像引用

乗車中私が一番長く居座っていたのが、こちらのパノラマ展望車

天井まで届く大きな窓からは煤煙が空に向かって吹きあがっていく様子を見られるほか、窓の前には腰かけやソファーなどもあり、快適に景色を楽しめるようになっています。

パノラマ展望車にはこんなものも!

新津駅発便の先頭車両はキッズスペース&パノラマ展望室。
子ども向けの遊具があるほか、前面の展望スペースからは、SLの後姿を間近で観察できます。

新津駅発便の先頭車両 ※公式HPより画像引用
パノラマ展望窓からの眺め

車内を巡り、自席のある普通車に戻ってきました。

普通車指定席
窓は開閉式。このタイプのツマミが懐かしい!

もちろん窓を開けることができますが、トンネル内は煤煙が入ってくるので戸締まり注意。まぁ閉めてても煙と匂いが結構入ってきます(笑)

客車は昭和期のものをリニューアルしたもの。
しかし要所要所にきちんと「昔」を感じる要素があえて残されており、レトロな風情を快適に楽しむことができるうえ、約3時間半の旅がまったく苦ではありませんでした。

SLをライトに楽しみたいという方におすすめかもしれませんね!

◆”天然”の炭焼きコーヒーを味わう


福島県に入り、喜多方駅を過ぎたあたりで再び売店に赴き、コーヒーを注文します。

再び田園風景が広がっていき、やがて奥には雲がかかった磐梯山の姿が。

旅の終わりを実感しつつ、コーヒーをずずっとすすります。

あー、深い……。

車内に漂うかすかな煤煙の香りが、味わいに深みを加えてくれます。

たまに「炭焼き焙煎コーヒー」という言葉を聞きますが、今味わっているのはさながら”天然”の炭焼きコーヒーといったところ。

石炭燃やしてますからね。何も間違っちゃいない

列車はやがて会津若松市の街中へと入っていきます。
民家の窓や沿線から手を振る住民の方々に、時折手をふりかえします。

鉄道好きの人も、そうでない人も。
出会いは一期一会の一瞬なのに、こうして手を振りあうことで謎の一体感を味わえるのが、SL旅の醍醐味です。

コーヒーを飲み終わった頃、SLばんえつ物語は終点・会津若松駅に到着。
数時間後、折り返し新津駅に向かって出発していきました。
(※動画は下記リンク先にて)

喜寿になろうとまだまだ現役!
この機関車はこれからも元気よく、たくさんの「物語」を運び続けていくでしょう!

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