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僕とGodspeed you! black emperorとの繋がり

こんにちは!

昨日、記事を書いた後にGodspeed you! black emperorのライブへ行って、All Tomorrow's Partiesの創業者DeborahさんとBarry Hoganさんに会って話しました。

今、All Tomorrow's Partiesはとてもスローだからフルタイムの仕事は与えられないけど、イベントをする際は手伝って欲しいということ、関連の仕事をしている人に紹介することはできるからCV(履歴書)を送ってほしいという話をしてもらえた。
凄く、嬉しい。

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僕にとって人生のターニングポイントになったイベントI'll be your mirror。
それを開催したAll Tomorrow's Partiesの創業者二人に話ができるとなって、僕の足は家を出る前から震い出し、顔に自然と出る引きつった笑いを消すのに必死だった。

二人と話した後に考えをまとめようと近くの図書館に入ってノートを開いた。
向かいに座る少年の胸に書かれたNIKEのスローガンが僕の背中を押してくれた。

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その後、Godspeed you! black emperorのライブを観に再び会場へ。
2時間前はもぬけの殻だった会場の前には長蛇の列。
ダフ屋まで出動している様子にGodspeed you! black emperorの人気を再認識する。

チケットは買ってたけど、Barryさんがバックステージパスをくれたので関係者入り口から入れさせてもらえた。
ステージ近くのシートに腰掛け、開場してどんどん埋まっていく会場の様子を眺めていた。

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オープニングアクトは2組。
始めはバイオリン一本でサンプラーを使って25分くらいの曲を一曲演奏する女性。
二組目はクラリネットを含めた(ポストハードコアっていうのかな)大御所感のあるタイトな演奏をするバンド。
どちらもとてもかっこよかった。

その間に、映像を作っているという隣のポルトガル人と仲良くなった。
「僕に今度音楽を作らせてよ」って言ったらニコッとかわされた。
トライだけはできるじゃない。

彼女の仕事の話はとても興味深かった。
映像作品だけでなく、アルツハイマーの老人の記憶を蘇らせるための音楽をセレクトする仕事をしたり、老人や家族の思い出をまとめる映像を作っているらしい。
ショーの合間も、彼女の話のおかげで少しも退屈する暇がなかった。

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そうしていると、Godspeed you! black emperorの演奏が始まる。

素晴らしかった。
僕はGodspeed you! black emperorのライブを観るのは4回目だけど、間違いなくベストギグだった。

ギター3本、ベース2本、ドラム2人、バイオリンに、新曲では管楽器も加わる。
メロディ隊7人でたったひとつの旋律を奏でる演奏は圧巻。
最早Godspeed you! black emperorっていうエンターテイメントだよこりゃ。

笑顔が止まらなくなったり、時間が止まったように感じた、あっという間の2時間だった。

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ライブが終わった後、撤収の様子を眺める。
物凄い数の人数が、物凄く大きなアンプやスピーカーやプロジェクターをテキパキ回収していく。
それを引っ張って行くのはメンバー本人。
バンドって、きっと大御所になればなるほど本当によく働いているんだろうと感じた。

ベースのMauroが僕に気づいてくれて手を振ってくれた。
ハグをして、外で機材車への搬出をしながら話す。

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僕は去年の夏にMontréalでMauroを訪ねて「Godspeed you! black emperorの来日の手伝いをしたい」という話をした。
それからメールでやり取りをしていたけれど途中から返信が来なくなったので、今日は彼とも直接話したいと思っていた。

でも、いざ話そうとすると何を話して良いか分からず、ニコニコ突っ立って、テキパキ機材車へ搬出を繰り返すMauroを眺めているだけだった。
Mauroがメンバーが来る度に僕を紹介してくれるけど、僕は気の利いたことも言えずにまたニコニコし続ける。

ついに機材の搬出が終わって、それでもこれ以上話すことがなくなって結局
「久しぶりに会えて嬉しかった。また日本のことで何かあったらいつでもメールして」
というありきたりの挨拶だけを残してその場を後にした。

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家に向かって歩き始めてすぐに情けなさと不甲斐なさがこみ上げて涙がブワッと溢れた。

2秒くらい泣いた後
「いや、こんなエモーショナルになってる場合じゃないよね」
とすぐに思い直す。

ポケットから取り出したiPhoneでVoice memoを立ち上げ、悔しい思いと何が悪かったのかをバーっと1分半くらいまくし立てて録音して再度ポケットに戻した。

途中ビールを買って家へ着く。
夕飯を食べると時間は午前2時に近づいていて、濃い一日で溜まった疲れに身を任せてベッドへ体を倒しすぐに深い眠りへ落ちた。

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明け方、眠りと現実の狭間で両親と、他界した祖母の夢を見た。
その夢は二つのことを僕に感じさせてくれた。
「家族が笑顔でいるなら僕は何を失っても怖くないかも」
ということと
「人はいつか死んでしまうからへこんでいる場合ではない」
ということ。

僕にはやることが沢山ある。
All Tomorrow's Partiesの二人に送るCVを作らなきゃ。
というか、二人にまずお礼のメールを送らなきゃ。
ポルトガル人のClaudiaにもお礼のメールを送らなきゃ。
昨日一昨日サボってしまったオンラインコースに復帰しなきゃ。

やることは沢山ある。
へこんで時間をただただ見送っている場合じゃない。
目の前のことを、とにかくひとつひとつやって行かないと。

その時に、違う方向からの気づきが、待てよと。
「ここで一度冷静に僕とGodspeed you! black emperorとの関係を振り返ってみよう」

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2006年-2010年
Hiroki大学生
Godspeed you! black emperorの音楽に出会う

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2011年 2月
I'll be your mirrorで初めての生Godspeed you! black emperor

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2014年12月
Hiroki Godspeed you! black emperorへ憧れMontréalへ

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2015年2月
Godspeed you! black emperorのメンバーがサポートしたライブで出待ち
ベースのThierryとFacebookを交換して翌週一緒にスポーツバーでアイスホッケーを観戦

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2016年4月
Godspeed you! black emperorの事務所の場所を知る
「何かがしたいんだ」という全く具体性のない思いを伝えるために何度も足を運ぶ

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2016年8月
Montréalでの生活が終わる日の朝、5回目の事務所訪問でMauroに会う
メールアドレスを交換して、彼らの来日をbetterにするために動いてみると約束

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2017年3月
Explosions in the skyのライブでたまたま会ったenvyのDairokuさんに相談
いくつかアドバイスを受けてMauroへ再度メールするも、返信が来なくなる

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2017年10月(昨日)
Godspeed you! black emperorのロンドン公演でMauroに再開
メンバーに紹介してもらう

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あれ、なんだろう。なんか全然悪くない気がする。
むしろGodspeed you! black emperorと僕が将来一緒に仕事ができる流れがどんどんできてきている気がする。

そういえば、僕は別に初めからGodspeed you! black emperorと仕事がしたいっていう思いがあったわけじゃなかったんだ。
ただ最初はGodspeed you! black emperorが好きで、憧れてMonréalへ行っただけなのに、それが気付いたらメンバーと知り合ってこんな形になっているんだ。

5年前、毎日仕事帰りにMoyaをiPodで聞いて心を震わせていた僕。
あの頃の僕が、今の自分を想像できたか。

ノートにGodspeed you! black emperorのバックステージパスを貼る日が来ることを想像できたか。

できなかったよ全然。
海外に行くことすら考えてなかったし。

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もしかしたらこのまま行くと、五年後の僕は茂木健一郎さんと仕事をしてるのかな。
いや、この流れを辿ると楽屋で話ができるできるくらいかな。
でもそれも楽しそうだな。

ってそんな妄想も良いけど今日やることを一つずつやって行かなくちゃ。
でも、僕は全く後退していない。
むしろ一本道の通った軌跡を歩いているみたい。

それと同時に、先述した通り昨日のライブでGodspeed you! black emperorが世界規模のバンドであることを再認識した。

そんな彼らと仕事をしたいなら、僕はもっともっと成長しなきゃ。
もっと英語を強くしなくちゃ。
英語だけじゃない、もっと色んなことを勉強しなくちゃ。
身をもって学ばなきゃいけないことは沢山ある。

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ここからは、少し昨日気付いた具体的な事を自分への備忘録を兼ねて書きます。

平日のHalloweenに1000人規模の会場を満員にするGodspeed you! black emperorが、日本での数百人の公演に不満を感じるのはとても自然だ。

僕は音楽業界の内側に入ったことはないけれど、日本の音楽市場は凄く大きいのにかなり特異なんじゃないかって感じる機会がとても多い。

例えば、Godspeed you! black emperorみたいなバンドが日本でライブをしたら、お客さんは僕みたいな「大学生の時Postrockが好きで」みたいな若い男性がほとんどだろう。

でも、昨日のお客さんは本当に老若男女多種多様だった。
高校生くらいの少年少女から、会社で重役のようなスーツを着た年配のサラリーマン、僕の母親くらいの年齢の女性二人組。
車椅子の人のためのスペースもきちんと用意されて、誰でも楽しめるような会場作りがされている。

ユニークなのは悪いことじゃない。
でも、日本の音楽にはもっと風通しの良さと多様性があって良いと僕はずっと思っている。

この二年で僕ができることは、コンサートの現場を沢山見て、根本的な違いを具体化して、日本にきちんと影響させること。
ただ真似るだけじゃなくて、きちんと日本ならではの形を見つけたい。
それができたら、きちんと僕が不満に思っていることへと近づける。

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最後に、一日の中でアップダウンを行ったり来たりした僕を冷静にさせてくれたのは最近どこかで聞いた
「うまく行った時に調子に乗らず、うまく行かない時にブレない」
という言葉でした。

あまりの緊張に、携帯に表示されるニュースアプリのnotificationの文字すらも頭に入らず、ニューヨークでのテロを今朝になって知りました。
悲しい現実がある反面、一人一人ができることも必ず存在する。
啓蒙活動や、自分自身が学ぶことも立派な一歩。

パレードの実行について僕は「不謹慎」と感じてしまう部分もある。
しかし、その結果こうして再度ニュースに上がり、人に気づきと考える機会を与えることができているのは素晴らしいと思う。
Rest in peace.
(この記事は2017年11月1日に 元ブログ へ掲載されたものと同内容を載せています)

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