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晴海の大規模木造パビリオンを見て感じた、“都市木造”の可能性[観察スケッチ]

東京の晴海にある三菱地所設計+隈研吾建築都市設計事務所共同デザインのCLTpark Harumi に行って観察スケッチをやってみました。パビリオンの中の空間がすごいので、是非行ってみてください。

インスタグラムで観察スケッチのメイキング動画を発信しています。
こちらもよろしければご覧ください。

◾️木材パネルCLTの可能性を日本で広める為の場所

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CLT(Cross Laminate timber)とは、木の板を繊維方向が直角に交わるように接着した大判の木造パネルのこと。オーストリアを中心に90年代から発展してきた新しい建材で、日本での取り組みは2010年頃から本格的にスタート。従来の木材パネルよりも強度が安定しており、耐震性・断熱性・耐火性等にも優れ、低層の建物だけでなく、大型建築の構造にも使用できるため木材の可能性を広げる建材として注目されている。

大学の建築学科では主にRC(鉄筋コンクリート)造やS(鉄骨)造を学んできたので木造にはそこまで詳しくなかったのだけれど、CLTについて調べてみてまず感じたのは、日本は昔から法隆寺とか東大寺とか、木造の建築技術はトップレベルだと思っていたのに、いつの間にか他国に抜かされて現代における木造建築の後進国になってしまったのではないか?ということ。

こんなに木材を使ってる工事現場、日本ではみたことないかも。
内部空間の気持ちよさや地球環境的な視点で見ても海外の建築先進国は急速に木造ビルの開発に舵を切っている。
デザイナーズマンション・オフィスビルが新しいステータスや不動産価値になったように、“木造である”という点が空間の快適性や改築が容易であるメリットを生み、世界では新しいステータスや価値になりつつある。(今はまだ高級ビルに匹敵するステータスを持っている木造ビルは日本にはできていないだろう。)

今、日本でも日建設計や住友林業が行なっているプロジェクト“W350”では木造で超高層ビルを作るという計画が進んでいるが、これが実現して話題になれば一般のマンションやビルを建てようとするオーナーの人達が「木で建ててみたい!」と言ってくれるかもしれない。そうなった時に素敵な木造ビルの提案ができる建築士になっていたいと思う。

◾️ガラス・鉄骨・CLTを組み合わせた複雑な構造

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このパビリオンでは、通常パネル材として壁構造に用いられるCLTをあえて“梁材”として使用している。僕の身長よりも大きな木材パネルを斜め上に浮かせることでダイナミックな外観表情になるのも見ていて楽しいけど、実際の意図は通常とは違う用途で木材を使うことで建築材料としての汎用性もアピールしているのかな?と感じた。

もう一つの意外な特徴は、このパビリオンは木だけで組まれているのではなく、鉄骨やガラスと組み合わせて構造が成立しているところ。

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工場でCLTパネルに穴を開けて、現場で鉄骨とボルトを締めて上にどんどん組み上げていけるようになっている。コンクリートを打設して地面に固定しているわけではないので、後からボルトを緩めて解体して別の場所に移築することが簡単に出来る。

普段使っている材料(鉄骨やコンクリ)と混合で使える・解体して移築が可能。こうした機能をわざわざ披露したのは、日常の様々な場面でCLTが機能することをアピールしたかったからだろう。フェスやイベントで使う短期的な会場空間に木材が使われたら話題になるだろうし、居心地の良い空間になりそう。

ビルの増築とか仮設のイベント会場に木材が使われる未来がそう遠くないことを肌で体感して、勝手にワクワクさせてもらった良い場所でした。

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