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山手線の新駅から読み取れるこれからの“駅の在り方”[観察スケッチ]

3月14日に開業した山手線新駅、「高輪ゲートウェイ」
日本の“折り紙”をモチーフにしたという大空間に行ってきたのでさっそく観察スケッチと考察を行ってみました。

インスタグラムで観察スケッチのメイキング動画を発信しています。
こちらもよろしければご覧ください。

◾️線路の上に床と屋根が乗っているだけの“ハンバーガー構成”

外観の屋根にたくさん折り目がついていたり内部では鉄骨がいろんな方向に飛んでいて、パッと見ると複雑な建築に見えるけど、視界を遮る縦方向の「壁」が極端に少ない。

改札外のコンコースはガラスと柱で出来た透明な仕切りになっているし、ガラスが途中で切れて風が内部に入り込む場所もある。裏手の機能が入って見えなくなる場所も両端にあるが、線路と並行になっている面は反対側の街の景色が見えるくらい、透明性の高い空間が徹底して作られている。

この建築からガラスを抜くとほとんどが屋根や床になり、それらが線路の上に乗っているだけの構成になっていることが分かる。
床と屋根がハンバーガーのように重なっているだけのミニマルな構成は時間の管理が難しい駅の工事において様々な作業を同時に進めやすいメリットもあるんだそう。

この建築のデザインのキモは、工事のしやすさと街に対する透明性を作る“シンプルなハンバーガー構成”空間が質素になりすぎないように“鉄骨の飛ばし方や光の入りを複雑にするディテール”の二つの手法が対になってバランスを取り合っているところだと個人的に結論づけた。

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◾️街に対するこれからの“駅”の在り方

これからの駅の在り方として高輪ゲートウェイ駅のデザインで重要なのは複雑なディテールではなく、床と屋根とガラスで構成された透明性や開放性の方だと思った。車を持つ人が減る傾向にある最近の首都圏で、“駅”というのは街の中心になりつつある。ただ電車に乗るための場所ではなく、人が集まる公共の場として内部の賑わいが見えたり外気が通る気持ちの良い半屋外という特徴を持った高輪ゲートウェイ駅を先駆けとして、床や屋根という要素からアプローチを試みるようなデザインが増えていくのではないかと思えた。

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駅建築の形式として一つの到達点を見れた良い空間でした。

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