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論語

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2021年5月の記事一覧

三軍も帥を奪うべきなり。匹夫も志を奪うべからざるなり。(論語 巻第五)

三軍も帥を奪うべきなり。匹夫も志を奪うべからざるなり。(論語 巻第五)

(意味)
 数万を率いる総大将でもその大将の身を奪うことはできるが、一人の男でも心の中にある志を奪うことは誰にもできない。

 ※ここで「三軍」とは大軍のこと、「べき」「べからざる」は、「可」、「不可」の意味です。

志とは
 さて、自分の中に芽生えた「志」は、誰も奪うことができないということですが、それは相当な覚悟を持った意志とも言えます。周囲から邪魔(時には思いやりだったとしても、その志からす

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論語のなかの「数」

論語のなかの「数」

ちょっとした発見論語の言葉には、数字を用いたものが多く出てくることに、ふと気づきました。

齋藤孝さんの「声に出して読みたい論語」には、百言が収録されていますが、そのうち実に十二の言葉に数字が象徴的に使われています。

吾れ十有五にして学に志す
一を聞きて十を知る
三たび思いて而る後に行う
一隅を挙げてこれに示し、三隅を以って反えらざれば、則復たせざるなり。
我三人行なえば必ず我が師を得。
二三子

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性、相近し、習い、相遠し (論語 陽貨篇)

性、相近し、習い、相遠し (論語 陽貨篇)

(意味) 人は産まれもった特質に大きな差異はない。だが、習慣や努力によって大きな差がつくものだ。

非常に簡潔な言葉の中に二つのメッセージを込めています。

性 孔子はまず、人間のスタートラインはさして変わらないものだ、と述べています。とはいえ、産まれた直後から自らの意志で生きてきたわけでもなく、環境に左右されながら、考え方や行動、習慣が形成されてきたことになります。
皆さんもこれまで生きてこられ

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止むは吾が止むなり。進は吾が往くなり。(論語 子罕篇 第九)

(意味)止めたのは自分のせいだ。進むのも自分で決めたのだ。(誰かの言い訳にしないで、全て自分の責任でやりなさい。)

心に刺さった。社会人で様々な経験してきて、あらためてグサッと刺さる言葉です。

 かつて私がある案件のリーダーを任されたときのこと。
何十人も関わるプロジェクトでした。
何年もかけて、経験が浅いながらみんなを引っ張ってすすめてきていました。

 しかし、そのプロジェクトは様々な理由

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学びて思わざるは則ちくらし。思いて学ばざれば則殆うし。 「論語」(為政篇)

学びて思わざるは則ちくらし。思いて学ばざれば則殆うし。 「論語」(為政篇)

意味
学んだことをそのまま鵜呑みにしてはいけない。内容を吟味し、咀嚼する。
 学ばずに独りよがりに考えるだけでは、危険な思想に偏る。つまり学びと考察は両方行うべきである、という意味です。

学びて思う 今私が学んでいる古典には現代でも参考になる原則がたくさん出てきます。原則であるが故に応用範囲は広いし、あのケース、このケースに当てはめてみると、こうだ、という置き換えをして考える事が必要になります。

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不憤不啓 不悱不発(憤せずんば啓せず、悱せずんば発せず) 「論語」(述而篇)

「啓発」の語源となる言葉。
「やる気」の無い人には何を無理矢理施しても仕方ない、という意味。やる気を出して勉強しなさい、と門下生に発破をかけている言葉である。

 仕事において、何を施さなくとも主体的に動く人と、やる気のかけらも見せない人がいる。それぞれの人たちには、そのような状態になる必然的な背景があるはずだと思う。生まれもった資質、これまで生きてきた経緯から、その人の傾きがちな方向はあるだろう

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訥言敏行(君子は言に訥して、行いに敏ならんことを欲す) 「論語」(里仁篇)

「論語」や「韓非子」で学んだことを自分の行動原理として定着させること、仕事に活用すること、これはnote始めてみようと思ったきっかけの一つです。

 これらの書物には現代を生きる私たちの生きる指針になる、いわゆる名言格言が並び、これを超訳されている解説書を読むわけです。私はよく守屋洋さんの解説書を拝読しています。数多く執筆されており、自然と守屋さんの書に触れることになりました。

さて、タイトルの

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