百物語54話目「屋根裏の大蛇」(実話怪談)
前回、青大将にまつわる話を書いた。
今回も蛇の話だ。
蛇は家の守り神とされているところが多いと思う。(福岡周辺だけ?)
私が蛇の話を久留米でしたとき、そこの人が面白い話をしてくれた。
「うちも蛇を祀ってあるよ。朝と晩に生卵を供えるの」
一瞬、単にお供えをしているかと思うじゃん?
違うのよ。
お供えするのは、家の一番大きな梁のところで、そこには小さな穴が開いてるの。
そこから生きている蛇が出てきて、生卵を呑んで帰っていくそう。
「ええ!」と思うんだけど、その人は普通の主婦で嫁いでからは、嫁の仕事として、ずっとそのお供えをしているそうなのだ。ごく自然に話してくれたもん。
で、前回も話した福澤徹三選を受賞して本に載っている私の怪談「角打ちでのこと」のもうひとつの元になったエピソード。
角打ちとは立ち飲みの北九州地区の言い方なんだけど、厳密には違うかなあ。鉄の町の北九州は三交代制で労働者が働いていて、朝から開いている酒屋が量り売りで酒を飲ませてもいたわけ。長くは飲まずに、さっと飲んでは店を変えて、三軒くらいはしごするのが粋なのだ。
今は建て替えされつつある折尾駅(古い駅舎で、味わい深かった。レンガ積みの通路やルネッサンス式の本屋)から出て、小さな川沿いを歩くと、その角打ちの店は見えてくる。
小さな店が軒を並べる小道。風呂屋や本場中国の餃子屋などの古い店ばかりの前を歩き、辿りつくのが高橋酒店だ。
もしも折尾に寄られることがあったら、ぜひ立ち寄って欲しい。雰囲気のある角打ちの店が、そこにはある。
そして、この店の店主が教えてくれた。
「この店の屋根裏には大きな蛇が住んでいるんですよ。ときどき、ずるりずるりと動く音が聞こえますよ」
って。
前回とこの今回の話が合わさって、私がどんな怪談を書いたかは、下記の本を見て欲しい。いまだに「てのひら怪談」の印税は入ってくる。電子書籍もあるよ!
そして角打ちの店にも足を延ばしてくれると嬉しい。角打ちの店はどんどん消えていっている。怪談が消えていくように。まだ現存するうちに、行っておかないと、永遠に消えてしまうものだ。後は物語になって残るしかない。
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