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大切な言葉ほど言えないし、消えやすい。

人はどうして大切な言葉をどんどん言えなくなってしまうんだろう。
それが大切な人であればあるほど、不思議なことに言葉は消えていく。
しまいには言えていないことにすら気づかないようになって、まるで封印された呪文のように上手く外に出せなくなってしまう。

はずかしい。くやしい。めんどくさい。きっと伝わっているはず。
そんな自分になのか、相手になのかわからない少しの甘えのような気持ちで、大切な言葉たちはどんどん心の奥の方に引っ込んでいく。
そのかわり、"代わり"にもならない鋭い言葉たちだけがつい口から外に出ていってしまう。


犬のようにしっぽがあれば、鳥のように羽があれば
子どものように素直になれば、大人のように...大人になれば?
素直を少し手放して大人になったはずなのに、大人になれない私たちは年を重ねてもつい失敗を繰り返す。

あの時こうしていれば、ちゃんと向き合っていれば、きちんと伝えていれば、もっと大切にしていれば。
後悔したはずなのにどうしてその気持ちもだんだんと薄らいでわからなくなってしまうんだろう。

「うれしい」
「かなしい」
「ありがとう」
「ごめんね」

言わないうちに膨れ上がり、知らないうちに風船のように大きくなって、そのうちうまく口から出せなくなってしまうのかな。
もっと小さいうちにいっぱい伝えれば、ぽんぽんと外に出せたのかな。


そう思って携帯を持つと、着信が鳴ったりする。
そう思いながら相手を見つめてみると、同じような目をしてこちらを見ていたりする。
私たちはそんなことを繰り返しながら、許したり許されたり、時々ちょっとごまかしたり、ぶつかり合ったりしながら、また繋がり合っていく。


大切な言葉は、大切なくせに案外すぐに薄れてしまうから
こまめに、いつも、何度でも。

明日が来なくなる前に、明日が来なくなるまで。

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