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いい感じに生きてくコツ。 -『リセットの習慣』読書感想文-


今、どんな境遇にいる人も、間違いなく今が一番若い。もし「何かを始めるタイミング」があるとしたら、今以上に適した瞬間はありません。

リセットの習慣(小林弘幸)


確かにそうだし、そうありたいとなんとなく思ってはいたが、本書に書かれていたこの一文を読み、私は改めて背中を押されたような気分になった。

私がこの秋読んだ一冊目の本はこれだ。



本をもともとそれほど読まない私は、なんとなく活字といえば小説などのような物語か、またはエッセイというイメージが強く、暮らしや健康、考え方などについて書かれている本を久しぶりに読んだ。
いや、正確に言うと久しぶりに読み切ることができた。かもしれない。


ジャンルで言うと実用書、自己啓発本、というのだろうか。
私はこれらの本に手を出すと、たまに読みきれずに途中で終わってしまうことがある。
それは、おそらく良くも悪くも「区切り」があるからだと思う。
小説などの物語にももちろん場面転換や章の区切りはあるものの、基本的には全て読みきることで話が最後までわかる。

しかしメソッドが書かれているような本の場合、最後まで読んだ方がいいのはわかっていつつも、自分で納得できたり「なるほど」と思えた時点で、最後まで読み終わらずに途中で脱落してしまうということがある。


けれど本書は違った。
それはもうするすると私の頭に入っていき「なるほど」を繰り返し思いながらも、書かれているリセット術を次々と読むのが楽しくて、あっという間に読み終えることができた。
99個ものポイントがとても明瞭完結に書かれていて、読めば読むほどもっと他も知りたくなるというか、とにかく「ふぅ」と息をつく暇もなく読んでしまった。

それくらい、本書には日常の中ですぐにでもやってみようと思えるようなリセットの習慣、方法が詰め込まれている。


特に私に響いたのはリセット17の「帰宅したら着替える前にどこか一カ所片づける」という習慣だ。
そして筆者はこれを8年間習慣として続けているという。
すごい...。すごすぎない…?
もう片づけるところなんてないのでは?とも思ってしまうような年数だが、それによって「そうか。それくらいコツコツというか、小さなことでいいのかも」と思えた。

私は毎日少しずつとか、ちょっと片付けるというのがどうもうまくできず、やるとなったら大掃除!になりがちだ。
掃除が苦手な人には結構そのタイプが多いのではないかと思う。そしてだからこそ、重い腰が上がらないのだ。
その割に「そんなちょっとだけ整理してもなぁ」なんて思って日々の整理整頓を怠ったりする。
「ま、休みの日に一気にやればすぐ終わるし」とか自分に言い訳をして。(で、結局休みの日には1ミリもやらない)

この流れを変えればよかったのだ。
できない人に限って大きな目標やプランを掲げて、結果やり切れなかったりする。
それなら「なんてことない」と思っているくらいのささやかなところから、日々コツコツとやっていけばよいのだ。

今までやれないくせに「そんな微々たるもん...」なんて逃げるような言い訳をして小さなお片付けをやってこなかった私は、これを読んで猛烈に反省するとともに、まずは一週間からでも、これ、やってみようと思った。
今まで足踏みをしていた私の気持ちを一新して「やってみよう」と思わせてくれるようなリセットの習慣だった。


また、読んでいて嬉しかったこともある。
あ、これ、できてるかも。リセットという意識はなかったけど、知らないうちに近しいことをやっていたかも。というようなことが本書から見つけられたのだ。


リセット78の「いわれたら「すぐに動く」と決めてしまう」の中に書かれていた「できるだけ機嫌の悪さを表に出さず、機嫌よくいることを心がける」という点がその1つだ。

私は"自分の好きなところ、いいところだと思う点は?"と聞かれると「割といつも機嫌がいいこと」というのを挙げる。
いい点だと思っているからには掲げ続けられるようにご機嫌な自分をキープしようと心がけている節もある。
私はそうしていることによって、無意識のうちに今までリセットに繋がるようなことができていたのかもしれない。
そう感じてなんだか嬉しくなった。

またリセット43の「フリーの時間を作る」というのも、近しいことができているかも...と思った1つだ。
これは先日投稿した「パトロール」の話にも似ているかもしれない。


私が今までなんとなくこうした方がいい気がする〜なんて漠然と思っていたことが、本書の中では医学的な見地はもちろん、今までの筆者の経験などを織り交ぜながらとてもわかりやすい言葉で説明されている。
「なんとなくやっていたけど、そっかこれもリセットの習慣なのかも」という点がいくつか見つけられて、読みながら1人ほくほくした気持ちになった。


そして全体を通して本書から感じたこと。
それは「縛られすぎない程度に自分の流れを変えるスイッチを自分で決めておくことが大切なのかも」ということだ。

必ずそれをやると意気込むのではなく、ぼけーっとしてしまったり悩んだりした時に思い出す指針のような、気持ちの置きどころ、心を整えるガイドラインとして「こういう時はこうする」と、ちょっとした緩い決まりを作ることで、悪い流れを断ち切れたり生活にハリが出るのかもしれないなと感じた。
「そうだそうだ、帰ってきたらどこか一カ所片付けるんだった」と思い出したり、テレビを永遠と見てしまう時、動かなきゃとわかってるのにダラダラしてしまう時の動き出すためのリマインダーのような感じ。

私のように気を抜くとすぐにのっぺりしてしまう人には、ちょっとゆるめの「自分ガイドライン」のようなものがあることで、いい流れに変えることができるのかもしれないし、それが本書で言うところの「リセット」なんだと思う。

また、縛られすぎるほど厳しくなくていいということが併せて書かれているのも安心する。
よしやるぞ!なんてその瞬間は決意しても、同じことの繰り返しではない毎日の中で、厳しいルールで自分を縛っているとそれがかえってプレッシャーになって辛くなる。


本書から得たさまざまなリセット術から、自分に合っていて楽しく実践できそうなものをこれから取り入れていこうと思う。
自律神経を整えるためにリセットの習慣を学ぶのはもちろん、辛いときには大丈夫と心を落ち着かせたり、楽しいときにはさらに前向きになれるような、定期的に読みたくなる本だった。


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