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契約更新をして気づいた、家への思い入れ。


先日、今住んでいる家の契約更新をした。
間取りを見るのが好きな私は、よく用もないのに賃貸物件のwebサイトを眺めたり、不思議な間取りばかり集めた本を読んだりする。



なんとなくそろそろ引っ越したいなという理由で、住む場所や家を変えることも少なくない。
そんな私だが、今回契約更新をして、この家が今まで住んだ賃貸物件の中で、一番長く住んでいる家だという事にふと気がついた。
珍しく私は、この家に結構愛着を持っているようだ。


この家に住み始めた時は、とある事情で急いで物件を決めねばならなかったのだが、偶然希望に適う条件の家が見つかり、特に不自由なく今まで暮らしてきた。

それまで結構ミニマムな生活を送ってきた反動だろうか。少し広めのこの部屋に引っ越してきた時、私はこれまで温めていた「こんな家具を置きたい、こんな家にしたい」という思いが、上京して初めて一人暮らしをした頃のようにまたしてもふつふつと湧き上がった。新しい家具を買ったり、もらいものや、昔からなんとなく持っていた古いものを捨てたり、色を塗ってアレンジを施したり。自分の理想の部屋に近づけるべく、徐々にインテリアにもこだわっていった。
あくまで自分の中でこだわっているだけで、ものすごくおしゃれな空間なのかと言われるとそれはよくわからない。
自分の趣味がヤバいかもしれないことはかなり前に学んでいる。
(ヤバい時代↓)


一人暮らしだというのに、いや一人暮らしだからか、誰かを招いたときのことを想定して、食器も数枚ずつそろえたり、鍋やたこ焼きプレート、卓上コンロなど、この家で誰かと楽しむようなものもどんどん増えていった。

もちろん一人暮らしのせいで困ったこともある。
深夜の謎の訪問者(宗教勧誘ではない)のチャイム連打に震えながら、玄関に行けず部屋の端っこでおろおろしたこともある。
ゴキブリと格闘したこともあるし、なんかバチバチ音がするなと思って上を見上げたら、知らない間に侵入していたカナブンが照明に延々とぶつかっているのを発見して絶望したこともある。
高い場所にある収納を使うために、わざわざ脚立も買った。
脚立を買うのは地味に虚しい気持ちになる。だって、自分の身長がもっと高ければ買う必要のないもの、まさにいらぬ出費だからだ。
悔しかったので、ただの脚立ではなくちょっと高めのお洒落に見える脚立を買ってやった。本末転倒である。


1人暮らしを始めてから今までの様々な暮らしの中で、生活の知恵がどんどん身につき、生きていくスキルも上がっていったと思う。
家はごはんを食べて寝るだけのところ、なんて思っていた時もあったが、いつしか私は、1人の、このお気に入りの空間にいる時間がとても大切なものになっていた。


いつかはここを引っ越す日がくるかもしれない。
1人ではなく、また誰かと共に生活をする時も来るかもしれない。
そんな妄想をしてみたり、それを楽しみにしている自分もいる。
けれどそんな想像をすればするほど、今のこの生活の充足感や、この家への愛着も同じくらい湧いてくるのだ。
ずっとこのままが良いなぁなんて思ったりもする。

家を見渡すと、そこかしこから今までこの部屋で起こったいろいろな体験や思い出が蘇る。ここに新しく置きたい物や、ここでしたい新しいこともぼーっと眺めていると、まだたくさん思いつく。
私だけの、誰にも邪魔されない特別な空間だ。
そして、ここではないどこかでの新しい生活も、頭の中でたまに思い描いたりもする。
どんな間取りの家がいいか、どんな設備を重要視するか、エリアはどのあたりがいいか。
そんな未来の住処への妄想は、どれも私の心を躍らせる。


私はもしかすると「家」や「暮らし」というもの自体が、ものすごく好きなのかもしれない。



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