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紙に書くことで、心の中に滞留する気持ちを少し手放す。


私には「書く」ということについて、ある強烈な思い出が1つ残っている。

小学生の頃、私はかなりのマイペース、マイワールド全開少女だった。
周りのことをあんまり見ていないし、気にしていない。
自分のことだけを考えて生きているような子どもだったと思う。
その結果、みんなで学校でお泊り会をしているというのに、謎に一人っきりで校長室に引きこもり(?)就寝するなど、今思うとかなりエキセントリックな思い出もある。


今思うと、というか今もさして変わっていないかもしれないが、私は昔から集団、特に女の子のかたまりがあまり得意ではなかった。

女の子自体が苦手なわけでも、特に何か違和感や恨みを持っていたわけでもない。しかし、同調圧力とまでは言わないが、男の子の集団と違って女の子の場合は「これ(みんなで)やろ!」「ここ(みんなで)いこ!」という流れに「いや、私はこっちをやるよ。」というのがあまりまかり通らないことに単純に不便を感じていた。
自分のやりたいこと、行きたいところであれば喜んで参加したが、そうではない場合は別の動きをしたかった。


そしてあの日もきっと、そんな感じだったのだろうと思う。
その頃私の一番仲のいい友達はケンちゃんという男の子だった。
ケンちゃんには姉と妹がいて、そのせいか「ケンはね」と自分のことを名前で呼び、男の子と遊ぶこともあったが女の子と遊ぶことも多いような子だった。しかし、周りも別にそんなケンちゃんのことを馬鹿にしたりからかったりはせず「ケンはそれが普通」とみんなから思われているような男の子だった。

そんなケンちゃんと私は、そのちょっと"みんな"とは違う感じの波長が合っていたのか、よく二人で遊んでいた。当時、私たちの中では学校が終わると校庭のブランコに乗りながら「靴飛ばし」をするのが流行っていた。


ある日、いつものように授業が終わってケンちゃんと校庭に行こうとすると「ねぇねぇ、ちょっと女子だけで話したいことがあるから来て〜。ケンちゃんはダメ〜。」と、私はクラスの女の子に呼ばれた。
ケンちゃんは「先行って場所とっとくね!」と言って校庭へ駆けていった。

私はわかった〜と言いながら、はて女子だけで話すこととはなんだろうかとその女の子について行き教室に戻った。
話していた内容は、掃除当番のメンツを女子のグループの中で変えたいというような、よくわからない話だった。
あまりよく内容を覚えていない理由は後述するのだが、そもそもまるでその話に興味がなかったし、私はその担当替えに特に関わる人ではなかった。

一刻も早くブランコに乗りたかった私。
「どうぞ勝手に決めてくれ、私はブランコに行く。」と言いたかったのだが、女の子達はなかなか私を解放してくれない。
なにやらああでもない、こうでもないと話をしている。

しびれを切らした私は、単細胞な小学生らしく「ごめんね、今日用事があって家に帰らないといけないからもう行くね。」と浅はかな嘘をついて教室を出た。
もちろん家になど帰らない。向かうところは校庭のブランコだ。
「じゃあしょうがないね。」と女の子たちは私のことを解放してくれた。


しかし、その後事件は起こる。
事件というか、まぁ当然の流れなのだが。
私はやっと終わったぜと急ぎ足で校庭へ駆けていき、約束どおりケンちゃんとブランコで靴飛ばしをして遊んだ。
すると、向こうの方に見える校舎の窓から「あー!帰ってないじゃん!」と叫ぶ声が聞こえた。

今考えても本当にアホである。丸見えの現行犯だ。
私はブランコで遊びたいがために、女の子たちに家に帰ると嘘をつき、そして案の定早々に家に帰らず遊んでいるところが見つかってしまった。

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