ひなごろう

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最近の記事

楕円を描くように

 自分の中にはいろいろと相反する考えや価値が同居していて、様々な場面でどうするのが正しいのか悩む。あれこれと考えた結果、中庸が大事、という結論にだいたいいつも至る。  それは何となく、やじろべえのようなイメージだった。バランスをとり続けるみたいな。  しかし最近ある人と話していて、楕円形のイメージという考え方を聞いた。楕円とは、「平面上のある2定点からの距離の和が一定となるような点の集合から作られる曲線」らしい。相反する二つの考え、物事の両極端は固定されていて、それぞれから

    • 「望ましい社会の萌芽」

       酒井隆史さんが毎日新聞のインタビューに出ていた。今年4月に出た新著『賢人と奴隷とバカ』にまつわる話。本出てたの知らなくて即注文して昨日届いた。こんなに読むのが楽しみな本があるのは本当に久しぶりな気がする。 いやでもそういえば西加奈子の新著もあったし(めっちゃよかった)ハンチバックも早く読みたいしなんやかんやいろいろあるわ。  酒井隆史さんといえばグレーバーが急逝した時の『世界』への寄稿がとても素敵で何度も読み返した。  「別の世界は可能だ」。そのヒントを『負債論』『官僚

      • 社会人3年目に入った

         年明けぐらいから、降ってくる仕事を思考停止でこなすだけの毎日で虚無なうえに忙しくて疲弊していた。けどそういう時に、お世話になった人と数年ぶりに連絡を取れたり、自分の役割を再確認させられる出来事に遭遇したりするので不思議です。おかげでもうちょっと踏ん張れそう。  とはいえ仕事をしながら、これを書いて何になるんだろうと思うことも多い。業界の斜陽ぶり以上に、人口減少とか災害とか政治的無関心とか差別とか不平等とか、そういう現実に触れるたびに虚無に陥る。  そんな時にいつも読み返

        • ジェンダーとか女性差別とか

           同業者が集まるジェンダーの学習会に参加した。諸々学びにはなったけど、モヤモヤする会でもあった。男性中心の社会や家父長制を批判する人たちの作り出す空間が、きわめて同質的かつ排他的だったからだ。自分たちにとって不快な主張や相容れない他者の意見を「分かってない」「もっと勉強しろ」と断じ、話を聞こうともしない姿勢は、彼女たちの嫌う「おっさん」たちの振る舞いと何ら変わらない。標榜する正義が異なるだけで、構造的には同じではないか、と思った。  上記は是枝監督がエッセーに記した、カンヌ

        楕円を描くように

        マガジン

        • 毎日投稿チャレンジ(毎日投稿ではない)
          8本

        記事

          「そういうもの」について

           「そういうもの」というのが昔から苦手。働き始めてからもそれは変わらず、自分が納得できないことはやりたくない。会社員なので基本的には従うけど、意味あるんかこれとか思いながら、ずっと文句を言いながらやっているし、時々やらない。  今一緒に仕事してる先輩は私とは正反対で、求められたものを早く正確にこなすのにものすごく長けている。「粛々と」というのはこういうことかと見ていて思う。やりたいこともやりたくないことも特にないらしく、それゆえにどんな仕事でも一定の成果を出し続けているのです

          「そういうもの」について

          安倍元首相銃撃に関して

          言葉も出ないとはこういう状態を言うのかと痛感しながら昨日今日と過ごした。大きな事件があったすぐ後にあれこれ書いてもあまりろくなことにはならないと思いつつ、やはりこれほどの出来事を前にすると、今感じたこと考えたことを記しておきたくなった。  新聞各紙やテレビは、言論封殺だ民主主義の危機だと報じたけど、今回の事件をそう位置づけるのは違和感がある。これは多くの人が感じているところではないかと思うけれども。  現代日本で白昼堂々、人が銃撃されたこと/撃たれたのが政治家であったこと

          安倍元首相銃撃に関して

          「僕の走れるスピードで、一時も休むことなく走り抜いた」

           ミスターヴォルティス・岩尾憲。移籍に際してのコメントがとても良かった。似たようなのをなんかで読んだなと、ずっと思い出せなかったけどやっと見つけた。  絶えず自分の「素質」に限界を感じながらも、ずっと努力を続けてきたからこそできた実績に、ささやかなプライドを持っているというのが健全な大人の典型的な姿ではないかと私は思っています。――西林克彦『あなたの勉強法はどこがいけないのか?』  能力とか環境とか全部ひっくるめて、生まれ持ったものに埋めがたい差があることをいろんな場面で

          「僕の走れるスピードで、一時も休むことなく走り抜いた」

          「君は永遠にそいつらより若い」

           偉い(とされる)おじさんになめられて上から物を言われてむかついたけど、こいつもどうせ私よりも先に死ぬと思うとあんまりカッカする必要もないような気がしてきた。老害という言葉は好きではないけど、自分のことを平気で踏みにじってくる想像力の乏しいじじばば共はみんなそのうちいなくなるのだ。  君を侵害する連中は年をとって弱っていくが、君は永遠にそいつらより若い、その調子だ ――津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』  現代社会に合わせて人生設計を立てるなんて、ばかだ。社会という

          「君は永遠にそいつらより若い」

          I was born

           8月が終わる。8月中に終わらせたかったことは全く終わらなかったのに8月は終わる。To be continued なんだなあと、大学卒業間際によく飲んでた友達が言っていたのをしみじみ思い出す。望もうが望むまいが、生活は続くのです。時の流れには抗えず、とことんまで受身形。  言うまでもなく、I was born から想起したのだと思うけど、吉野弘の例の詩に関して、『詩のこころを読む』にこんな記述があった。 受身形で与えられた生を、今度は、はっきり自分の生として引き受け、主体

          月1投稿を目指す

           なぜだか分からんけど忙しい。忙しいわりに何一つ成果があがっていなくて余計に疲れる。5,6月に比べてやらなきゃいけないことが増えてきたというのもあるけど、いろいろ手抜いてたのがバレて怒られたのでびびってちゃんとやるようにした結果忙しくなってしまった感じ。  とはいえ言われたことをそれなりに、及第点レベルではこなせるようになってきた。そうなるとそこに安住してしまいそうになる。言われた通りにやるのは面倒くさいし腹立つし面白くもなくてしんどいけど、上手くいかなくても言い訳できるし波

          月1投稿を目指す

          毎日投稿チャレンジとは何だったのか

           働き始めて2か月過ぎて、ようやくペースをつかんできたのに、来月から平日休みに変わると聞いて萎えている。とはいえ週休2日はちゃんとあるし、土日勤務は基本暇なので、今より仕事は楽になるような気がする。平穏だったら土日出勤してもやることないし、ちゃんと計画立てて勉強する時間に充てよう。前向き。

          毎日投稿チャレンジとは何だったのか

          毎日投稿チャレンジ再開

           働いている。ここ数日仕事がクソおもんないのは慣れてきた証拠かもしれないので良しとしましょう。  環境の変化が苦手で、新しい場所をはじめから楽しめるタイプではないので夏が終わる頃まではしんどいだろうなと覚悟していましたが、意外となんとかなっている。よく食べてよく寝て遊びにも行って、心身ともに学生時代よりも格段に健康な気がします。でもどうせまたすぐつらくなる。良い時も悪い時もあるのは当然なので小さな波にいちいち振り回されたくないけどしょうがない。  いつまでたっても自分のことで

          毎日投稿チャレンジ再開

          自然災害と人類のゆくえ

           2リットルの天然水を数本常備していて、米を炊くときなどに使っています。昨日ストックがなくなったから買いに行ったけど、地震があったから買いに来た奴みたいになってちょっと嫌だった。(めんどくさ)(誰も見てない)  ここ10年あまりで、大きな自然災害が本当にたくさん起こっている。「何十年、何百年に一度」という規模の台風なんかが毎年のように来るのはやはり異常としか言いようがなく、そのたびに寺田寅彦の言葉を思い出します。  しかしここで一つ考えなければならないことで、しかもいつも

          自然災害と人類のゆくえ

          「自粛要請」と「自主勉」

           気づけばウィズコロナもはや1年である。ウィズコロナってなんだよ。改めて言及するまでもないほど、この1年で新しい言葉をたくさん聞いた。しかしやはり、「自粛要請」のおかしさには言及しておきたい。  「自粛」を「要請」され始めた1回目の緊急事態宣言の頃から、その言葉のおかしさについてはたびたび指摘されていた。「強制ボランティア」と同じくらい矛盾している、という指摘をネットで見たけど、全くその通りだと思う。  それに関連して、どうしても想起せずにはいられないのが、小学校時代の「自

          「自粛要請」と「自主勉」

          「永訣は日々のなかにある。」

           学生の身分でいられるのも残り2ヶ月、東京生活は残り3週間ということで、物思いにふける日々です。最近は完全に昼夜逆転で、深夜に起きているせいで余計に感傷的になっている気がする。しかし、感慨深く思い出すほど、学生生活も東京生活も一生懸命だったわけでは全くない。けっこういい加減に、ぐうたらぼんやり過ごしていた。無気力すぎて定期を作らなかった期間すらあったくせに、「学生の身分でいられるのも残り2ヶ月、東京生活は残り3週間」とかどの口が言ってるの。  タイトルは、茨木のり子さんのエ

          「永訣は日々のなかにある。」

          普通にしんどいって言わせてくれ

           NHKの『逆転人生「貧困の連鎖を断て!西成高校の挑戦」』を見た。以下番組HPより引用。 親から子への「貧困の連鎖」が問題となっている大阪・西成。この地域の子どもが多く通う府立西成高等学校はいま、学びを守ろうとする先生たちの取り組みが熱い注目を集める。その名も「反貧困学習」。生徒が貧困と向き合い、そこから抜け出すための具体的な術を学ぶ特別授業だ。深刻な教育困難校だった西成高校は、この授業をきっかけに非行や中退が激減し生まれ変わった。驚きの授業風景、そして先生と生徒の涙の逆転

          普通にしんどいって言わせてくれ