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【毒親】『親という傷 幼少期の心の傷をとりのぞけばあなたの人生は好転する』◇まとめ その2【トラウマ】

本書のまとめの2本目。ここでは「Part1 わたしたちのルーツ」の中にある
「Chapter1 過去が現在をつくっている」部分をまとめます。
全部の目次は,こちらの記事に記載しています。ご参考ください


Part1 わたしたちのルーツ


Chapter1 過去が現在をつくっている

「育った家庭を見つめ直すことには,時間を費やすだけの値打ちがある・・・・・・ただし簡単とはかぎらない(p.038)」

 ここでは,著者のクライアントで「ナターシャ(仮名)」という方の事例を紹介しながら,心の根元にある傷が,どのように生じて,クライアントがその傷に気づていくのかを,物語のように示しています。

 ナターシャが相談に来た理由は,「クライドという恋人を,一生の伴侶として,つまり結婚相手として選んでも大丈夫か」というものでした。

 彼女がクライドを結婚相手として決断できないことについて,彼女自身は「なんだか妙な感じ(p.033)」と捉えていました。

 著者はナターシャに,「家庭内で,何か不満を持ったことはあるか」と尋ねますが,彼女はこの質問に対し,「子どもの頃は幸せでした。当時を振り返っても無駄だと思います。(p.035)」と答えます。

 確かに,結婚相手の相談に来ているのに,自身の家庭のことを聞かれたら,面食らってしまいますよね。

 でも著者は「あらゆる問題の根底にあるのは,『家庭の問題』と『幼少期の傷』だ(p.035)」と断言します。

 そして,著者との粘り強いやり取りを続けて,ナターシャは「幸せだった」と言っていた幼少期について,次のことを思い出しました。

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 ナターシャが15歳の時,父親のパソコンに表示されていた不倫相手のメールを偶然見てしまい,それを父親に尋ねると,「母親には黙っていてくれ。もうやめると約束する」と言われたとのこと。そして,それ以降父との約束を守り,自分の胸の内にそのことを20年以上秘めていました。
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 その「父親の裏切り」という秘密は,ナターシャからすれば,当時の家族との良好な関係を守り,維持するための大きな重荷で,彼女はその重荷を背負うという役割をずっと続けてきたのです。「もし父の秘密を話してしまえば,自分の家族は崩壊する。」そのように感じるのも,15歳という年齢なら仕方なかったのかもしれません。

 しかし,ナターシャ自身はこのことを「もっとつらい目に遭った人がたくさんいるんだから(p.038)」と言って,それほど気に留めていませんでした。

 著者はこれらのナターシャの語りを聞いて次のように分析しました。

  • 1,「父親の秘密を守るという役割」が,「本来の自分らしさ(真正性)」を隠し,家族との「愛着(愛情)」の維持を選ぶことにつながり,この「真正性」と「愛着(愛情)」の交換が,彼女の自由や回復力を奪ってきたのではないか。

  • 2,「父親に不倫という秘密があったという事実」が,彼女にダメージを与えるとともに,他者と自分への疑いを生み,その「傷」が現在のクライドへの「結婚相手として選んでよいのか」という「不信感」につながっているのではないか。

 これらの分析を経て,著者は「過去が現在と未来への鍵(p.047)」と述べています。

―― ■ 以上が本書のまとめ。以下は私の感想文です ■ ――

 少しまとめが長くなってしまい,すみませんでした。

 私がこのChapter1を読んで感じたのは,日本の「三つ子の魂,百まで」ということわざの適切さです。

 私たちは今までに起こったことすべてを鮮明に思い出すことはできません。「1年前の今日,夕食に何を食べたか」なんて,記録でもつけていない限り,大抵の人は思い出せません。

 でも,私たちの身体は,1年前の夕食を,どこで何を食べたか,そこで誰と何を話したか,それをどのように感じたか」などを,思い出せなくても,覚えている。それが,文字通り「生まれたとき」からずっと続いている。

 そして,幼少期,自分の身に起こった一つ一つの出来事に対して「良いものだったか」「悪いものだったか」も,きちんと覚えていて,そのときできた「心の傷」も,ずっと残っているということ。

 ナターシャのように,家族の中で「家族が家族であり続けるために,本来の自分を隠して,『秘密を守る』という役割を演じてきたこと」が「心の根元にある傷」となり,「結婚相手との問題」という形に姿を変えて,その傷が気づいてもらうのを待っている

 私にも,思い出せなくても,意識できなくても,きっと幼少期の頃に負った「傷」があり,その傷を放置してきた結果が今現在の自分ということ。

 では,この「心の根元にある傷」を一体どうやって癒していくのか・・・。

 著者の言うように,決して簡単ではなさそうです。

 次回は「Chapter2 心の傷に名前をつける」をまとめていきます。

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