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トピックス(小説・作品)

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素敵なクリエイターさんたちのノート(小説・作品)をまとめています。
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2022年11月の記事一覧

長編執筆はフルマラソンだと思った話

お久しぶりです。 長編の執筆がつらすぎて、noteを書くどころではなかった朱野です。 昨年の秋に小説を書けなくなって、休むことにして、今年の春ごろに短編が書けるようになったのだけど、その結果、取り戻したのは「小説書くのがつらい」という感覚だった。 書けない間は「書けるようにならなきゃ」って危機感でいっぱいで、「書く」っていう行為が美化されてて、楽しいものように錯覚していたのですよね。でも短編を書き出して「つらさ」を思い出してしまった。久しぶりに800メートル走ってゼイゼイす

知れば知るほど気になっちゃう!「送水口」を探して町を歩いてみた

突然ですが、、「送水口」ってご存知ですか? (わたしも「送水口」という言葉を知ったのは、つい最近なのですが…) こちらです。 きっと皆さまも「見たこと」はあるけど、「気にしたこと」はなかったのではないでしょうか? わたしもそうでした。少し前までは…! 誰にも注目されず、じっと静かに町に溶け込む送水口。 彼らにふと目を向けてみたら、色や形がさまざまで、いろんな顔を持っていることに気が付きました。 そんなことを発見してから、最近のわたしは送水口のことがどんどん気になるよ

2022年の自己紹介(2022年は充実感のある年にすると決めた話など)

自己紹介が苦手なのだけど(自分のどこをピックアップしたらいいのか分からないんですよね…)、あるコミュニティに参加することになり、今の私の自己紹介を書いたから、せっかくなのでnoteにも転載しておきます◎ 【目次】 1.今の自分について 2.今後について 1.今の自分について 新卒では、書店で営業事務のお仕事をしていたのですが、「命燃やして生きたい!」「生きてるって感じたい!」と一念発起し、写真の道を進むことにしました。独立したのが2012年なので今年はちょうど10年のア

【第7話】 今夜、ご自愛させていただきます。

<第1話はこちらから> <第2話はこちらから> <第3話はこちらから> <第4話はこちらから> <第5話はこちらから> <第6話はこちらから> 口に入れたローストビーフは想像以上に柔らかく、思わず「うわ、美味しい」と声が出た。すぐ隣で明日香が「私もとってこよう」と気合を入れている。赤ワインとのマリアージュを楽しみながら、目の前で盛り上がっている懐かしい顔ぶれを眺める。 今日は高校の同窓会だ。一流ホテルの大広間は活気に満ちている。スーツやドレスに身を包んだかつての

前夜未明

雨が降る。 制服を着た私が、消えろと叫んだ街に。 雨が降る。 ドレスを着た私が、綺麗と嘯いた街に。 雨が降る。 この夜の中、私はここから一歩も動けずに、ただ茫然と濡れた壁面に映り過ぎゆくヘッドライトを見つめていた。それは鯱のように鋭く、流れ星のように一瞬で、儚い人生の一幕と同義であり、そのように何もかもを陰鬱なものに結びつけてしまう自分に嫌気がさして、窓を閉めた。 雨粒達がトタン屋根の上躍っていた。 くぐもった足音と、冬を知らせる冷たい風が部屋の中まで滑り込んで来た。身震

【ショートショート】男子・男子・男子#毎週ショートショートnote

 会場の明かりがつくと、自然と拍手が収まった。15分間の休憩を知らせるアナウンスが流れる。 「ちょっとトイレ行ってくるね」  わたしは彼に声をかけると、会場の外へ向かう流れに従った。トイレの表示を見つけると、人の間を縫うように進む。  トイレは廊下までずらりと並んでいた。15分では間に合いそうに無い。もう少し遠くのトイレへ行けば人も少ないだろう。  駆け足で廊下を進む。が、こちらも行列。最後尾に並びながら、そわそわと腕時計を確認する。あと11分。出かける前にコーヒーな

おすすめハラスメント_本棚編(お茶代11月ジユー課題)

このたびは本棚を使って合法的ハラスメントができるというので、悩みに悩んで悩み抜きましたが、「おすすめ」という規範上、やはり手に取って読んでいただきたいので、比較的簡単に購入できる本に絞って紹介したいと思います。 博学なダツ氏においては、すでに読んでいるものも多くあるかと思いますが、私はダツ氏を通じてお茶代ストの皆様に訴えかけているので悪しからず。 拙著の中で病院系の設定や描写、死生観的なテーマが多いのは、完全にこれらの影響です。 小川洋子「薬指の標本」「刺繡する少女」「夜明

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“Bregret”(英国の後悔)でBrexitの見直しとなるか?

11月20日付のサンデー・タイムズ紙に英国が欧州連合(EU)との「スイス型の関係」を検討しているという衝撃的な記事が掲載された。どう解釈すべきだろうか。 結論として言えるのは、このようなことが起こる可能性は極めて低いと考えられる。実際、政府はこの案にすぐに冷や水を浴びせたし、そもそも、EUとの関係見直しには、EUへの予算支払い、移動の自由の受け入れ、欧州司法裁判所によるある程度の監督権、というEUからの要求事項を英国が飲む必要があり、それなしに、摩擦のない貿易というスイス型

家とnoteとクリエイター様にありがとう

みなさん、こんにちは。禧螺です。 今日もnoteをご覧いただき、ありがとうございます。 病状は、大分落ち着いて来ました。 おふとんの上でぐったりしながら、ちょっとずつ、みなさんのnote読むのが今の楽しみ。 少し鼻がやられてる感がありますが、日常生活に戻せつつある。 それでも、家族で同じ時期に、一斉に寝込んでしまったのは、この数年間では経験のなかったことです。 家が機能していることで、どれだけ心身の安全・安心を確保していただけているか、というのも感じました。 そ

【小説】小野寺ひかり「昼下がりの人妻たち」文学フリマ特別号

 堪え性のない膀胱なんですよ、とパンツにもらしたわずかな尿に溜息をつく。それはトイレのドアを開けた瞬間だったような気もするし、便座をあげたときでもあり、ズボンをおろした時には確実で。つまり、あ、と思ったときには漏らしているようなものですよ、と誰に言い訳するわけじゃないけど言い訳してしまう。  パート先で用をすませてくればいいのだけど、あいにく潔癖症なんですよ。あの店の裏手でぽつんとした、寒々しいトイレにはいるのは嫌なんですよ。だからといって、尿をもらすのは許されるのかしらん、

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200

荒療治

1週間前位から、スマホの充電器が使えなくなった。 仕方なく旧式の家に眠ってた充電器を使い始めた。 もちろん、応急処置的にである。 まぁ、めっちゃくちゃ時間がかかる。 (昔はふつーに使ってたの?進歩の早さって慣れるのね) しかしこれが私には合っていた。 充電してるから、電池減ったらまた充電に時間とるから 隙間時間の携帯なんとなく見るタイムが劇的に減った。 移動時間も本を開くようになった。 SNSや携帯への意識もかなり軽減された。 決めた。 年内は新しい充電器を買うのはやめ

洗濯とティッシュ

松永爆睡(水墨画風のイントネーションで読んで欲しい)の二つ名を持つわたしだけれど 最近は、ほんとうによく寝る。 仕事から帰って、といっても 働いている時間は、7時間前後くらいなので全然長くない。 長くないのに、帰ってきたらもう全然だめで それって眠いだけなのか、頭痛なのか、持病なのか、やる気が起きないだけなのかもうわからない。 とにかく少し休んで、ばんごはんを食べて そうしたらもう動けない。 少しソファーに沈もうとかいうレベルじゃなくて、ベッドに倒れている。 そして朝。

文体から放たれるオーラ|【書評】辻仁成「海峡の光」

 小説だろうが詩だろうが、エッセイだろうが評論だろうが、すぐれた作品にはかならずある種の「オーラ」というものがただよっている。たとえそれが、あらすじさえ知らないままにはじめて繙読する作品であろうとも、冒頭の一行ないし数行に目にとめるだけで、これは、とこちらに思わせる一種異様な「佇まい」を感じさせる作品というのが、確かにあるのです。  第116回(1996年下半期)の芥川賞受賞作である辻仁成の「海峡の光」は、このような冒頭ではじまります。わたしは先に、「オーラ」とも「佇まい」

ボッティチェリの魅力

チラシやインターネットで次会期に開催される美術展をチェックして、 × …「これは行かなくてもいいかな」 △ …「機会があれば行きたいなぁ」 ◯ …「時間を作って行こう」 ◉ …「絶対に行くぞ!」 と 勝手にラベリングしています。 以前は西洋絵画=行く、日本画=行かない。 西洋絵画の中でも、オールドマスター=◉、近現代絵画=◯と単純な傾向がありました。 最近はカテゴリーではなく、感覚的に決めるようにしています。<岡本太郎展>も◉にして大成功でしたからね。 中には、開催予告を見