『かぐや姫の物語』を読む② 『源氏物語』空蝉の引用
『かぐや姫の物語』において、帝がかぐや姫を女御に迎えたいと言っていると翁が姫に伝えるとき、機を織る姫が、蝉の抜け殻を手に取る場面があることに気が付いた。高畑勲は、決して意図なくこのような描写を行う演出家ではない。そこでまず蝉の抜け殻から確認していくと、蝉の抜け殻は「空蝉」と呼ばれている。蝉の抜け殻の様子は、古来から虚しい様を喩えとされているが、「空蝉」の語源は、「現(うつ)し人(おみ)」であり、つまり、現実世界に生きる人間のことである。仏教では、人間の生は儚く虚しいものとさ