「個人情報」「迷惑系ユーチューバー」/140字怪談4本


 2020年7月15日から17日にかけて、140字怪談を書いていた。1ツイートの中で起承転結がある怪談になってます。埋もれてしまっていたので再掲しておきます。

個人情報

 帰宅すると部屋の前に突然現れた見知らぬ男は狂気を宿した目で言った。
「あなたSNSで最寄り駅や窓から写る写真をツイートしてましたよね。情報を組み合わせれば住所を特定できるんですよ。おかしな男が特定してやって来たらどうするんですか。個人情報に繋がる情報の発信は危険ですよおおお」
迷惑系ユーチューバー

私は有名ユーチューバーに凸する迷惑系ユーチューバーが好きだった。いい気になってる連中が困惑する姿を見ると胸がすいた。ある日迷惑系ユーチューバーは言った。
「おれ気づいたんだ。安全圏で楽しんでる傍観者こそ一番いい気になってるって。今日はそいつらの中から一人選んで凸するから」
パワハラ相談

「パワハラ被害者と言うけど、貴方に問題があるんじゃないですか。上司は貴方のためを思って言ってるんですよ。そんな風だと誰も貴方を助けなくなりますよ。違う、そうじゃないんだって頑固だな。俺の助言を否定するなら、あらゆる手段を使ってお前を追い込んでやるからな。覚悟しておけよ」
間違った正義感

ネットで誹謗中傷を繰り返す人物を特定し、十人以上を殺害した男が逮捕された。男は自供で語った。
「『間違った正義感』が許せないんです。彼らは自分が正しいと信じ、自分の行為がただの誹謗中傷だと気づかないんですよ」
「お前はその正義感が『間違った正義感』だとは思わなかったのか?」
「あ」

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