かつて煩悩は罪だと説かれたのは道徳的退廃を恐れてのことだろう。愛が何よりも気貴いと解れば、煩悩の否定すなわち禁欲は正道ではない。強いて愛を禁じるのは不自然なのである。愛は自由たる基盤の上にこそ成り立つ。古来、洋の東西を問わず、とりわけ【芸術】を介して語り継げられてきた真実である。