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塞翁が馬、佳き道へ。10
車椅子用の個室トイレに入り、私の手助けもなく用を足した母と処置室に戻ると 直ぐに看護師から声が掛かった。
「あっ荒川さん!担当した先生が着きましたのでこちらへどうぞ…」
カーテン越しにはおそらく私と同じ位の、親しみ有る表情の男性医師が待っていた。
「大変でしたね~一通り検査をさせて頂きましたので、結果を報告します」
いま冷静に振り返ると これから先は大変な異常事態が脳内などに起こっている可
塞翁が馬、佳き道へ。9
処置室の簡易ベッドのカーテンの向こうで母が薄い掛け物を掛けて横になっていた。
マスクをしていて一見、わからないが 鼻をぶつけて鼻血が多く出て、外見も腫れているようだ。
「いや~心配掛けてごめん、大変な目に遭ったわ…仕事は?」
「1件目の仕事は時間ギリギリだったから入らせてもらったけど、次の訪問は責任者に連絡をして急きょ代わってもらったわ」
訪問介護のような、自分ひとりで対象者宅に回りながら
塞翁が馬、佳き道へ。8
丘の上のその病院は 坂を上がりきって目の前に見えるが、入り口が反対側に有るのか、狭くて品の有る住宅街の道をぐるぐる回りながら正面入り口に到着した。
新・旧どちらかと言えば後者か、昔の作りによくある【天井の低い病院】であるため 少し圧迫感は有るが、嫌な感じはしない。
コロナ渦初期で有ったため、病院内でコロナ感染患者が出た件での詳細な説明ポスターが貼ってあった。
こんな、多くの病院が混乱している
塞翁が馬、佳き道へ。7
二子玉川の駅に着き、タクシー乗り場を探した。意外にも駅のロータリー奥の方に有り、わかりにくい。
こんな煌びやかな駅の隅の方にタクシー乗り場を追いやるなんて、歩く事が辛い人のことを考えていないのだろうかと、今は母の方が心配なのに敢えて他人を心配して、自分の心を癒した。
昔の二子玉川駅の、庶民的な感じの方が良かったと、たまにではあるが 来る度に残念な気持ちになる。
「瀬田の日産玉川病院にお願いし
塞翁が馬、佳き道へ。6
まず、さきちゃんが驚き過ぎないように…意識は有り電話で話せたこと、身体が轢かれてしまったということは無いことをハッキリ述べた上で、病院に向かっていることを知らせた。
「ちよっ!!え!!大変じゃん!!私の方が病院に近いから先に駆け付けようか?!」
コロナ渦で病棟への見舞いも気楽にできていないと言われている昨今、意識不明などで本当に緊急事態ではない状態…
事故直後、母がとっさに電話で私に 来なく
塞翁が馬、佳き道へ。5
「交通事故に遭った母に駆け付けるのに私も交通事故に遭ったなんてことになったら笑い話だよな…」
電動自転車のお陰で それほど力を掛けなくてもスピードがあがってくれるが、その独り言の通りになってしまわないように いつもよりも安全運転で自宅に帰った。
搬送された病院に直行するならば、利用者さんの家から自転車でほんの少しのところに最寄駅は有ったが、スマホふたつと仕事の記録紙、最低限の現金しか持って出て
塞翁が馬、佳き道へ。4
いつも通りに無事にマンションの1階に到着…デイサービスの送迎車を待つ。
早く上司に連絡をしないと 9時から私が行くはずだった利用者さんのお宅に代わりに誰が入れるか決まらない。
何度も言うが、もちろんこれは【母の搬送先がまだ決まっていなかった・意識も有り命に別状は無い】からのことで
その逆であれば、こんなことをしている場合ではないのだ。事情を話し、早急にその場を去れば良い。
ここまで来ると母
塞翁が馬、佳き道へ。3
「おはようございます!今日も宜しくお願いします!!」
私の直前の出来事は、知られても気を遣われるだけなので、ご多分に漏れず仕事人として普通通りに振る舞った。
私の対応する利用者さんは いつものようにおしゃれに支度を済ませ…娘さんとソファーに座って待っていた。
実はさっき、母が交通事故に遭ってしまってなんて言いながらのヘルパーが来たら
私が利用者だったら「帰りなさい!」って言うに決まってるし
塞翁が馬、佳き道へ。2
「えー?!何処ですか?母の意識は有るのですか?!!」
あと15分で【私が行かないと下に降りられない=出掛けられない人】の家に着かないといけない私に、その電話連絡は…酷過ぎた。
それも、機械操作をしないとマンション4階から降りられない方なので、その免許を持つスタッフは限られているし、そんな間際に誰かが駆け付けるにしても遅すぎる。
私が8時25分までにその方宅に行けないと、デイサービスを休むこと
塞翁が馬、佳き道へ。1
3月27日土曜日…朝8時7分。
6階から下に行くために、エレベーターを待っていた。
今日は休日出勤が2件。
8時25分からデイサービスへの送り出し介助、9時から排泄介助。
1件目は8時40分には終わるから、9時までの20分で?相武台から東林間まで行くのか…
電動自転車なら飛ばせばなんとかギリギリ間に合う…にしても、タイトなスケジュールにされたなぁ。
トイレ行く暇も無いな~と思いながら、苦笑い
最終回) 作文は呼吸・瞑想
「こやまさん…ちょっと来て 」
勤務時間終わり、フロアの主任に違う部屋…狭いエリアに呼ばれ、扉を閉められ、少し怒っているようでした。
入居者の記録ファイルを数人分、ひらいて私に差し出し
「これは何なの?正式な記録はあなたの日記帳やお遊びのノートでは無いよ!おかしいところを今すぐここで書き直しなさい!!」
おかしいところって…なにそれ?
別に全て自分の文章が正しいとは思いません。しかし私の
続続) 作文は呼吸・瞑想
「西田さんの記録は読みやすいし面白いし、字が綺麗でスッと頭に入ってくるよね~…」
西田さんは、私が同じフロアで様々な意味で一番お世話になっている先は輩スタッフです。他のスタッフからも人望が有ります。
ひとりのスタッフが、私にそんな話を持ち掛けてきました。別に私に対して意地悪でも嫌みでも、私にもっと頑張れ!とハッパを掛けてきたのではないと、わかっています。
こやまさんの書いたの【も】面白いよね
続) 作文は呼吸・瞑想
二十代~三十代…10年間、私は特別養護老人ホームで夜勤付きの仕事をしました。拘束17時間の中ではもちろん戦場の様な時間帯も有りますが、真夜中は特に何もすべきことの無い時間もそれなりに多くありました。
こんなに長い時間、仕事だ仕事だ!と気が張っていたら疲れてしまいます。ぼんやりする時間では、誰かと電話やメールをしたり、本や雑誌を読んだり、趣味の手作業などもしていても、誰も咎められませんでした。