続) 作文は呼吸・瞑想

二十代~三十代…10年間、私は特別養護老人ホームで夜勤付きの仕事をしました。拘束17時間の中ではもちろん戦場の様な時間帯も有りますが、真夜中は特に何もすべきことの無い時間もそれなりに多くありました。

こんなに長い時間、仕事だ仕事だ!と気が張っていたら疲れてしまいます。ぼんやりする時間では、誰かと電話やメールをしたり、本や雑誌を読んだり、趣味の手作業などもしていても、誰も咎められませんでした。

きっと今の時代なら、器用な人はスマホやパソコンで情報発信したりさまざまなことができた時間も有るでしょう。そこに居れば良い、コールで呼ばれたら行けばよいという時間です。

しかし私は…忙しい時間が終わると殆ど全ての時間を…利用者方の日々の様子を…専用のファイルに綴っていました。他のスタッフに

「あんたら夜勤中ひまな時間とはいえ、遊んでんじゃないよ!ちゃんと利用者の日々の様子を観察してこの夜勤中にでも記録を書きなさいよ!怒!」

という気持ちはサラサラ有りませんでした。私は兎に角、人を見て日々の様子をダラダラと書き記すことが好きだったので、趣味と仕事を一緒にやってる、気持ちの良い時間でした。

国だか都の監査にも出す正式な書類ですから、嘘は書けません。しかし支障の無い程度に面白おかしく書いたり、読む人が読みやすいように、本来なら必要の無い工夫をしました。

すると…本来ならその利用者の担当として書くべきスタッフから

「こやまさん!私の担当の◎◎さんのことまで書いてくれたのね!そしてとても面白い!あまり強く言えないけど私の担当の利用者だから…でも、続き楽しみにしてる!」

などと言われてしまうのです。嬉しいですが、本来なら正式な書類に、面白いもへったくれもありません。

体調の変化やそれにまつわる会話を端的に、ご家族の面会など有ったら記入するとか、入浴のことや検温や排泄の記録を記せば、十分なのです。

手書きの文字も我ながら綺麗だし、この書類は保管期間5年の決まりと言うけど…著作権は何処に帰属するのだろう…などと真剣に考えていた時に、ライバルが現れました。

続く♪

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