出口の目線・47
「お義母さんから電話が掛かってきて聞きました。ようやくお義母さん精神科に行けたようでよかったです。内科では診るのも薬を処方するも限界も有りますし、今の症状ははもう、内科ではなく精神科ですね 」
医療従事者として働いている葉子さんは仕事中に毎日、母のような症状を何人も目の当たりにしているから、言葉に重みが有る。
そこで話が本題に入った。
「それはよかったですが、ちょっと何を言ってるんですか!どんな形にしろ、お義母さんがお義父さんの為に考えたことなんだから…それを覆すことを今からすべきじゃないですよ。それの方が逆にお義父さん失礼ですよ!」
母は葉子さんにも、今からでもお坊さんを家にでも呼んで お経をあげてもらった方が良いかもしれないと相談をしたのだ。
私もそれに賛同していたので、葉子さんのピシャリな発言…心が痛い。母のことを話題にしながらも、密かに私にも渇を入れているに違いない。
「見えない世界を信じる気持ちは大切です、でも、その時に一番考えるべきのお義母さんが お坊さんを呼ばない形でお義父さんを送り出す!と胸を張って決めたのだから、これで良かったのですよ!お義姉ちゃんも援護射撃してください!大丈夫!少なくてもあのお義父さんがそういうことであの世で怒るはずがないです!」
確かにそうかもしれないけど…
ここまで来て父が骨になってようやく落ち着いたところでまた、ガチャガチャと色々と起こして行事を行うのは面倒なんだろう。
もともとは葉子さんを斜めに見ない私であったが、疲れている私は嫌な気持ちで 彼女のその返事を聞き流すのであった。
「今さらめんどくさいことをやりたくないだけでしょ、あなたは…」
一所懸命に考えてくれる、葉子さんに対してこんな闇の気持ちを感じてしまうなんて…
嫌な自分を改めて認識した。
【【続く】】
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