塞翁が馬、佳き道へ。6

まず、さきちゃんが驚き過ぎないように…意識は有り電話で話せたこと、身体が轢かれてしまったということは無いことをハッキリ述べた上で、病院に向かっていることを知らせた。

「ちよっ!!え!!大変じゃん!!私の方が病院に近いから先に駆け付けようか?!」

コロナ渦で病棟への見舞いも気楽にできていないと言われている昨今、意識不明などで本当に緊急事態ではない状態…

事故直後、母がとっさに電話で私に 来なくていいからと言った心境と同じだろうか。なるべく大事になりたくない気持ちも込めて

「ありがとう!まず色々と検査も時間が掛かるみたいだし、フタコからはタクシーで行くので着いて様子伝える、心配掛けて申し訳ないけど事実なので、伯母さんにもここまでのことを伝えておいてもらえる?!」

伯母からすれば ひとり暮らしをしている妹である 母のことは心配にはなるだろうが、意識は有るししっかり話せたから大丈夫!とだけ伝えておくよう念を押しておいた。

急いでいたので不安な材料…例えば、今は良くても頭を打っていると、脳内に出血が始まっている可能性もある、CT検査で発覚するかもということを、本能で忘れきっていた。

緊急事態なわりに、飄々とできたのは…心配のし過ぎで余計なエネルギーを使って恐くなって動けなくなることを凌いでくれたのだと、いまなら振り返って思い出せる。

中央林間で田園都市線の急行が出発する間、夫に電話を掛けた。仕事中で一度は繋がらなかったのでラインで一先ず報告しようと打ち始めると、折り返しが有った。

向こうも仕事中に電話だなんてよほどの事が有ったのだと驚いたようだ、声がいつもよりも焦っていた。

とにかく瀬田の玉川病院に向かっている、家に帰れるかはまだわからないので逐一ラインで伝えるとだけ言って、急行に乗り込んだ。

続く。。



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