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読書と書き物をする生活に憧れています。哲学修士。趣味は紅茶。夢は世界平和。3年半のアメ…

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読書と書き物をする生活に憧れています。哲学修士。趣味は紅茶。夢は世界平和。3年半のアメリカ駐在帯同を経て日本に戻ってきました。3歳と0歳の息子を育てています。 #一人じゃ気づけなかったこと コンテストで賞をいただきました。

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あなたにとって簡単なことは、誰かにとっての難しいことかもしれない

自分がどうしようもなく無力に思えるときがないだろうか。 才能がない、かといってそれを埋めるほどの努力もできない。自分に一体何ができるというのだろう……。 幼いころの、根拠のない全能感を背負って生き抜くには、世界は広すぎる。自分よりも才能がある人、努力ができる人に出会って自信を無くして、それでも何か自分にできることを探して生きてゆくのが、大多数の人には精一杯の生き方だ。 小学校までの私は、自分のやりたいことはこれからすべてできると思っていた。部活に夢中になった中学時代は、勉

    • 「誰のせい?」は、あなたが決めるしかない 〜4歳とのかかわりから見えた、おそらく真理

      息子が、ことあるごとに「誰のせい?」と聞いてくるようになった。 4歳になった、小さくて大きな彼は、「あなたのせいじゃないよ」とママに言ってもらいたいのだろう。 「昨日、おっきな声で泣いちゃったんだよねー」と息子が言う。 「誰のせい?」 私は、うっと言葉に詰まった。 昨日は息子の友だちと、そのお母さんと一緒に遊んでいた。そのうち子ども2人がおもちゃを取り合い始めたので、お母さんが2人をこちょこちょして、別の遊びに誘おうとした。息子が体をよじらせて笑っていたら、頭をどこかにぶ

      • 週1図書館通いの記録 その3

        ●借りていた本・加納朋子『七人の敵がいる』 →読了、返却 PTA小説、とでもいうのだろうか。多忙を極める敏腕編集者の陽子が、地域の自治会・保育園の保護者会・少年スポーツ団の父母会・小学校のPTA等々をぶった斬っていく話である。 作者はミステリの一種である「日常の謎」の妙手として知って、駒子シリーズは一通り読んだ。人が死ぬ話が苦手な私はミステリが読めないのかと思っていたら、「日常の謎」というジャンルを知って「こういうの、すごく好き!」となった。 本書に「謎」は出てこないのだが

        • 週1図書館通いの記録 その2

          ●借りていた本・本多さおり『暮らしは今日も実験です』 →読了、返却 本多さんの本はいくつも読んでいるけれど、ふたり兄弟の年齢が我が家と近いこの本が1番参考になった。おもちゃを増やしすぎないとか、サイズアウトした服を弟が使うまでどうするか、とか。 ・『暮らしの定番365』(エイムック) →流し読み、返却 日用品がひたすら載っている本。こんなものがあるのか〜と欲しくなったり、持っているものを見つけて嬉しくなったり。鉄瓶、鉄分摂取のためにいつか欲しいと思っていたのだけれど、

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        あなたにとって簡単なことは、誰かにとっての難しいことかもしれない

        • 「誰のせい?」は、あなたが決めるしかない 〜4歳とのかかわりから見えた、おそらく真理

        • 週1図書館通いの記録 その3

        • 週1図書館通いの記録 その2

          週1図書館通いの記録 その1

          ●借りていた本 梨木香歩『岸辺のヤービ』→未読、返却 昔から大好きな作家さん。思索が深いところまで降りていくので、没入できる時間と気持ちの余裕があるときでないと読めない。本作は児童向けファンタジーのようだったので、その世界に入るのは体力がいるなあと思い、未読のまま返却。いつか読みたい。 この本とは関係ないけれど、『からくりからくさ』の続編が連載中だそう。(ファンサイトを逐一チェックしている。)あの4人が好きすぎて、作者が続編を書かなければ登場人物たちの未来は存在しない…とい

          週1図書館通いの記録 その1

          週1図書館通いの記録 〜図書館に通うと、読書量が増える

          ここ3〜4か月、週1で図書館に通う習慣ができている。図書館最高!である。 私はもともと紙の本を買うのが大好き。電子書籍も便利なのでよく利用する。それでも、図書館に通い出してから読書量はかなり増えたと思う。図書館の本だけでも週に3〜10冊はコンスタントに読むようになった。 図書館が好きな理由を書いてみる。読書量が増えた理由にもなるかもしれない。 1.気軽にカゴに入れられる。 本屋で買うときは、お金や置き場所のことを考えてしまうけれど、ここでは気兼ねがいらない。「ちょっと気

          週1図書館通いの記録 〜図書館に通うと、読書量が増える

          健康から考える、「何のために生きるのか」

          「読書はよくないですね。料理やそうじも。スマホももちろん悪いです」 そう言われたのは、今日歯医者で検診を受けているときだった。 歯を食いしばる癖があるから歯に負担がかかっている。だから夜用のマウスピースを作りましょう、という話だった。 前傾姿勢でいることの多い現代人は、必要以上に歯と歯が触れ合ってしまっているらしい。 眼鏡を新調したときも、「読書も本当はよくないんですよねえ」と言われた。 人間の目は本来、遠くを見る用にできているから、近くを見続けると目が疲れてしまって、視

          健康から考える、「何のために生きるのか」

          むかつくのは、あの人じゃない、何もできない自分だ

          泣くほど嫉妬したことがあるだろうか。 ある学びの場で一緒だった方を、最近、メディアで見かけた。 私がやりたかったこと、もっと言えば、仕事にしたいと思っていたけれどもどのように形作っていけばいいかわからなかったことを、うまくビシネスとして軌道に乗せているようだった。 どす黒い感情が激流のように渦巻いて、でも流れる先がなくて、同じ場所でごうごうと回っているだけだった。 彼女の書いた文章を読んで、一読者として感銘を受けた。そのことに泣いた。 うらやましい。 そういうふうにやれ

          むかつくのは、あの人じゃない、何もできない自分だ

          もう一度、書きたい 〜時間を決めて書こう

          毎日、いや毎日とは言わなくても定期的に、noteを更新している人はすごいと思う。 前回の記事公開からまるっと半年。本帰国が決まり、引っ越しをし、新しい生活を立ち上げて……。自分と家族が、文字通り生きてゆくために、必死な半年間だった。 4月から始まった新生活もようやく落ち着いてきて(とはいえ引っ越し荷物の半分以上はまだ届いていないのだが)、また何か書いてみようという気になった。 私は書くことが好きだと思っているし、実際こうやって書き始めてしまえばキーボードに向かうこともまっ

          もう一度、書きたい 〜時間を決めて書こう

          シンプルに暮らしたい〜価値観の大転換

          実家の私の部屋は、いわゆる「汚部屋」だった。 床が見えないから、いつも何かを踏んでしまう。リングノートはリングが歪んでうまくめくれないし、CDケースはバキバキに割れている。 母は「少しは片付けたら?」と言うだけだったが、祖母は我が家を訪れるたび、せっせと私の部屋の片付けをしてくれた。わざわざ飛行機に乗ってやってきたのに、背中を丸めて大きなゴミ袋に向かう姿を見ると申し訳ない気持ちになり、「そんなことしなくていいのに」といつも言っていた。 自分でも、たまに片付けはしていた。年

          シンプルに暮らしたい〜価値観の大転換

          暮らしという哲学

          2人目の子どもが生まれて2か月。2人育児にも慣れてきた。それでも家族の誰かの体調不良などイレギュラーな事態が起きたり、じゅうぶん眠れなかったり(つまり子が寝てくれなかったり、ということだが)すると、魂が抜けたようになってしまう。なんとか毎日をやり過ごしている感じ。 先ほど上の子がお昼寝を始めて、下の子は起きているが泣かずにご機嫌。確認したら9月末の下書きがあったから、2か月半ぶりにキーボードに向かったことになる。隙あらば横になっていた日々から1歩、ステップアップだ。 何か

          暮らしという哲学

          「完璧な存在」が完璧でないことへの安堵 〜『西の魔女が死んだ』再読

          この世には2種類の人間がいる、と思う。1度読んだ本を読み返す人間と、読み返さない人間だ。 私は気に入った本を何度も読み返す人間である。単に忘れっぽいだけかもしれないが、そのたび新鮮な感動がある。 6月に庭のジューンベリーでジャムを作ったあたりから、久しぶりに『西の魔女が死んだ』を読み返したいなあと心の片隅で思っていたのだが、昨日ようやく本を手に取った。 学校に行けなくなってしまった中学生の女の子・まいが、ひと月あまりを田舎の祖母のところで過ごす、というお話。ふたりが庭の野

          「完璧な存在」が完璧でないことへの安堵 〜『西の魔女が死んだ』再読

          結論が出なくても、とりあえず書いてみよう

          このところ全然書けていない。もやもや。 書きたいテーマはたくさんあって、キーワードを書いた記事だけがnoteの下書きにどんどんたまってゆくのだが、一本にまとめあげることができない。 いつもエッセイというよりは、短い論文のような文章を書いてしまうので、とても時間と精神力がかかる。 気になること、気づいたこと、もっと考えてみた方がよさそうだと思ったこと。メモしてあるのはその程度のテーマなので、自分の中で結論までは出ていない。書いているうちに結論が出てくることもあるし、出てこな

          結論が出なくても、とりあえず書いてみよう

          息子が教えてくれた3つめの愛

          両親から無償の愛を与えられて育った。けれど私は、それが不満だった。 両親だけではない。両方の祖父母にとって初孫だった私は、祖父母、ひいては曽祖母までを虜にした。 もちろんかわいがってもらうのは嬉しい。だが心の中では、なんで、という思いが消えなかった。 だって、私が「この私」じゃなくても、この人たちはきっと私が好きなんじゃないか。私の何が好きなのか? 私の中に流れる、あなたたちの血ですか? それって結局、自分がかわいいってことなんじゃないの? 例えば漢字テストでがんばって

          息子が教えてくれた3つめの愛

          考えごとがやめられない私の入眠法 〜私とポッドキャスト

          昔から、眠りに落ちるのが苦手だった。 大学生のとき、バイト先の更衣室で「どんなふうに眠りに落ちますか?」といろんな人に聞いていた記憶がある。 答えはさまざまだ。 何の苦労もなく、「気づいたら寝てますね」という人が結構いたのには驚いた。音楽を聴きながら寝るという若い子も多かった。「真っ白な部屋にいる自分が、どんどん沈んでいく感覚を想像するんです」と教えてくれた後輩もいた。 音楽も落ちてゆくイメージも試してみたが、なかなか眠れなかった。 もちろん好きな音楽を聞くわけだが、静か

          考えごとがやめられない私の入眠法 〜私とポッドキャスト

          香りは生活の楽しみだ 〜嗅覚が失われる、ということについて

          始まりはハンドクリームだった。 1週間前、友人から「渡しそびれていたクリスマスプレゼント」とハンドクリームをもらった。 夜さっそくつけてみると、夫が「いい匂い!」とうっとりしている。だがその「グリーンティーとジャスミンの香り」はとてもか弱くて、自分の手を鼻に近づけてすんすんすんと3回大きく嗅ぐと何かしらの匂いがある気がする、という程度だった。「おしゃれなハンドクリームは香りもお上品なのかな」「少し古いから匂いがとんじゃったのかな」と思っていた。 ちなみに「お上品」とは、われ

          香りは生活の楽しみだ 〜嗅覚が失われる、ということについて