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連作集

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#短歌連作

【県新人賞】就活

【県新人賞】就活

「あなたには中身がないように見えますね」電車の固い座席で泣いた

三年が経った今でも身が震う「圧迫面接」の棘抜けぬまま

十二月ピストル音が鳴り響き内定掴めと駆け出す学生

玄関の鏡に映す完璧な笑みを貼り付け今日も就活

「女性はねぇ賢いけれど出産が…」男女平等の限界を知る

何十回言っただろうか寝言にも出そうな自己の長所と短所

星占い一位の朝に届きたり不採用通知優しい言葉の

敵だけど仲間でも

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【短歌8首】南国吐息

【短歌8首】南国吐息

退屈で窮屈な世を抜け出していざ向かおうかボルネオ島へ

艶やかなブルードレスに身を包みショール纏いてバカンス気取る

穏やかな南国吐息に包まれて明後日まではゆっくり歩こう

よく喋るボンさんの実家はバナナ農家 夏季限定でガイドをするらし

イスラムの人も笑えばギター弾きふざけて海にも落とし合うのね

豊かとう言葉の意味を探している名も知らぬ村の川辺のテラスで

結局は暗記したコーラン出番なく静かに

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〖 短歌12首〗名も知らぬ誰かにとって

〖 短歌12首〗名も知らぬ誰かにとって

「じんしんじこ」とうオブラートに包まれて気付かぬふりするこれが日常

また遅れとんかと心で舌打つ現代人あまりにも死は身近で日常

突然の人身事故にも乗客は溜息もなく動揺もなく

人々の記憶に残るは延滞時間 理由なんてのはすぐに消えてく

今人が自殺しましたとう事だけどあえて気付かぬ電車の遅延

名も知らぬ誰かにとって死ぬほどに嫌でたまらぬ今日だったのだ

他の道はなかったのだろうか本当に もう助

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【短歌十首】この世のありとあらゆる幸福

【短歌十首】この世のありとあらゆる幸福

青々と緑輝く式場に両家の親族そっと集まる

さよならの靴音が鳴る花嫁をエスコートするその背中から

幼き日ふと振り向けば瓶底の眼鏡をかけた兄がいたのだ

その眼鏡いじめられぬか心配ではらはらしていた転校前夜

母の日にお手伝い券ボックスを夜中に二人作りあげたね

将太くん将太くんと追いかけて付いてくんなと蹴られた日もあり

「妹よ」を聞かされて育ったはずなのに先に家を出ていく兄よ

思い出は走馬灯

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〖 短歌十首〗女性失格?

〖 短歌十首〗女性失格?

所詮吾は異端児なのだ女子会で笑ってパスタのトマトを潰す

あの子ならもっと良い人いたんじゃない他人に向けた刃物に刺される

好きだから離れたくなる人並みの幸せをきみにあげられないから

パーツひとつ足りないリカちゃん人形のようだわたしの母性の無さは

「旦那さんの弁当作らないってあの人は」共働きでも妻が作るの?

共働きしても夫婦の家事比率フェアにならないアンフェアな日本

じゃあ聞くけど妻の弁当

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