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【北欧:教育の旅2019③】最適な関係性作り、感情表現の基礎 ~フィンランドの保育現場~


ヌークシオの森を後にして、Kastenvuoren(カステンヴオリ)保育園へ。

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Päiväkotiは「保育園」を意味します。

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▶前回記事:
【北欧:教育の旅2019②】いつも心に、自然とのつながりを はこちら


保育園:外観

首都ヘルシンキからほど近い郊外にある保育園。
周囲には雪の塊がちらほら。

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保育園の入り口には、下駄箱の他に濡れた手袋を乾かしておくコーナーが。

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※フィンランドでは、室内では靴を脱ぐ習慣があります。
脱ぎ捨てられた防寒着や手袋、帽子がそっくりそのまま床に放置されていました。かわいい… 笑

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木のぬくもりにあふれた、可愛らしい空間です。

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「保育園」の機能

ここは、1980年代に建てられた、フィンランドとしては古い建物。
けれど、きちんと「保育園」として機能するように建てられているからこそ、昔のデザインであっても十分今でも現役とのこと。

フロアから階段を上がって、多目的スペースへ。なんだか秘密基地みたい。

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保育園の時間は、朝の6時半から17時まで。(中には、24時間保育をしている所もある)
3交代制のシフトで、スタッフさんが子どもたちを見ているとのこと。
8時始業・16時退社というスタイルが一般的なようで、共働き夫婦が多いということだから、始業前に子どもを預け、定時退社して迎えに行く、という家庭が多いそう。


自己肯定感を伝える

先生たちは子どもたちに対し、様々な感情があることを、あらゆるものから(掲示物など)でも学べるように工夫しているとのことです。
様々な感情があることは、自己肯定感を伝えるために必要。その言葉が、とても印象的でした。

例えば、子どもが何らかの理由で、友達に手を上げてしまった時。
「やってはいけない」ということをただ伝えるのではなく、こういうことが起きたのにはこんな理由・背景があって…ということを客観的に伝える


君は今どんな気持ちかな?叩かれた子はどんな気持ちだと思う?
とことん、「感情」に働きかける。それは、個々の感情のコントロール、いろんな感情を知るために、また他者と暮らしていくために必要なモノ。
他者へ及ぼす(及ぼしうる)影響を、一言で終わらせずに、子どもに考えさせる機会をつくるのです。


こちらは『kulttuurien juhlakalenteri』(お祝い事などのカレンダー の掲示物。

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感情表現に重きをおいているからこそ、保育園のいたるところにカードや掲示物など、自身の感情を表現するためのツールが用意されています。


アルファベット、数字などのお勉強ツールも。

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室内に砂場コーナーもありました。
マイナスの気温でも外遊びをするフィンランドですが、屋内でもこのような遊びができる環境を整えているのですね。

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法律での取り決め、保育事情

保育園への預け入れも、申請して3ヶ月以内に見つかるように(提供できるように)法律で決められているとのこと。

日本だと、少子化にもかかわらず待機児童は多いという実情。
きちんと法律で定められていないために保障がなされていない、ということ。
働くために子どもを保育園に入れたいのに、特定の基準をクリアできないために預けることができない…という問題もあります。

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フィンランドでも少子化の傾向が見られ、また国外からの移民も増えています。
当初は移民が増えることを良しとしない声も多かったそうだが、教育や諸々の保証制度を整えることで、移民を長期的な「国力」として受け入れているとのこと。

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こうした「他を受け入れ、生かす」考え方が、保育だけでなく国の在り方に繋がっているのでしょう。

ちなみに、フィンランドから海を挟んで向かいにあるエストニア。
こちらでは、育児手当を配給したら実際に出生率が増えたという例も。
フィンランドに比べ物価が低い等、様々な理由により実現できたことのようです。

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勿論、それぞれの国にあった考え方・対策は必要。
日本の現場も、何か学べること繋げられることはないだろうか。
楽しそうに遊ぶ子どもたちの姿を見ながら、考えさせられた時間でした。


子ども・先生・保護者の連携

三者懇親の時間を設けて、子どものことを記録したカルテに三者それぞれサインをするそう。子どものことだから本人も一緒に参加する(サインする)という考え方は、子どもを「個」として扱っているのがよくわかります。

18歳で成人とみなされ、成績や遅刻履歴などあらゆるオンライン管理システムが、本人のID/PASSでないと閲覧できなくなる。保護者は子どもが18歳以降、子どもの個人情報に関与できなくなるというのは驚き。けれど、だからこそ幼少期からの「個」として扱う保育が重要視されるといえます。

保育園で勤務する保育士は、身辺介護士のような資格を保有する人(この資格をとる時に、最終的に子ども専攻か高齢者専攻かを選ぶらしい)、教育学的知識を有する人とがいるそうで、それらはどちらが劣っているということはなく、互いに補い合って保育園を運営しているのだそう。
多方面からのフォローは、子どもだけでなく働く側にとってもプラスになるはず。


保育園:内観

シンプルだけど、一つ一つが可愛らしい。そんな空間です。
このまん丸の明かり、いいなぁ。

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多目的・運動スペースには、木製の吊り輪や収納ができるベンチが。
使い込まれた、すてきなアイテム。

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その他の保育園事例

以前(2018年)、別の保育園を訪れた際の記録はこちら。
こちらでも、遊び方ひとつをとっても工夫されていて、それがまた面白く 興味深かったです。お裁縫なども積極的に行っているのが、印象的でした。


どうもありがとう!お邪魔しました~!

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