『三度目の恋』 川上弘美 2020
あなたは何度目の恋をしていますか?
待機中ですか?
待ち焦がれ中ですか?
恋は卒業ですか?
私は……。
古い時代の恋を覚えていますか?
別の時代の恋を体験したことはありますか?
主人公は、スマホの時代に身を置きながら
江戸時代の花魁の恋
平安時代の女房の恋
そして
姫様の恋を
ある意味、身をもって体験します。
主人公が体験していること
現代の女性としての意識・感覚では理解しがたいのに、
古い時代の女性としては当時の生き方に違和感を感じず
そちらの世界にはまっていくこと
も不思議なことですが、
小説の構成も不思議です。
もし過去生があったとしたら
私は江戸時代と
(流石に花魁はないけど長い江戸時代に2度ほど)
平安時代を生きていた気がしています。
この小説でも江戸時代と平安時代に飛ぶので私的にも不思議でした。
タイムスリップものではなく、
主人公は夜、連続物の夢を見続ける。
現代が大変なときに夢を見るので、ある意味逃避かもしれない。
(出産後眠いのに眠れず毎夜連続物の夢を見る。
私もそうでした。そして、ある意味、今の人生が変わる気づきを得た。
私は、ロマンティックな夢ではありませんでしたが。)
でも、夢を見、
別の人生を体験することで
(主人公は現代でも恋をしたり、夫のことで悩んだりしています)
女性として広く深くなり
まったく新しい恋を、
恋というより愛を始める境地へ。
そしてこの小説の主題は、在原業平の『伊勢物語』だ。
私がいた江戸時代と平安時代とは少し時期がずれているので(笑)、
私は在原業平はよく知らない。
わたしは伊勢物語の現代語訳を上梓したのですが、実は伊勢物語を訳しながら、どうにもすっきりしない感じを覚えていたのです。
(中略)
女たちはなぜ、この業平という男にこれほどまでにとらわれるのだろう。そのことがどうにも解せなかったのです。
平安の文化背景を深く掘ってゆかなければ、たぶん女たちの気持ちはわからないのだろうとは、感じていました。異国の文化や歴史を知らなければ、その国の人々の意識の持ちようを想像することが難しいことと同様。
(中略)
業平という男は、結局今もわたしにとっては、魅力的ではあるけれど、謎の男です。けれど、この小説を書き終えた今、わたしはようやく業平をめぐる女たちの、男たちの関係を、少し理解できるようになった気がします。(後略)
『三度目の恋』 川上弘美 あとがきより抜粋
「過去生があったら」と書いたが、「いまここ」にすべてがある。
過去もここにあるので、行き来は可能だ。
また、個人的な過去生というものもない。
すべての人、存在するものすべての記憶・経験であり共有しているのである。
著者がこのことについてどのような見解をもっているかはわからないが、
現代生活を送りながら、夢という設定で過去を体験したり、平安時代の女房と姫様両方を体験することは、小説の中では魔法となっているが、普通のことなのである。
あなたも魔法を使えますよ。
そして
あなたの次の恋は?
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