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何度でも読み返したいnote3

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何度でも読み返したいnoteの備忘録です。こちらの3も記事が100本集まったので、4を作りました。
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2022年7月の記事一覧

0.2カラットの野望

「ダイヤモンドは永遠の輝き」 有名なキャッチコピーだ。この世でもっとも成功したコピーなんて言われることもあるそうだ。 ダイヤモンドに魅了される女性は多い。私もその一人。年を重ねるとともに物欲は薄れてきているものの、ダイヤモンドに惹かれる心はまだ残っている。 もちろん、たくさんのダイヤモンドを所有しているわけではない。気に入ったものを、何かの記念に、一つずつ買い足してきた。 ふだん身に着けているのは、0.5カラットのダイヤモンドネックレスだ。30歳の記念に、自分で購入し

私は無印良品の女の子になれなかった

1月末に東京に引っ越してきたとき、確固たる決め事を作っていた。 それは「家に関する全てを無印良品で揃えるぞ」というものだった。 家に関する全てとは、ベットやテーブルといった家具から、カーペット、ベットのシーツ、枕、カーテン、さらにはキッチン用品、整頓用のボックス、スポンジ、シャンプーの容器、歯ブラシ、扇風機、鍋、皿、カトラリー、そういう生活を作る全てのこと。 色は、白かグレーか、ベージュで揃える。森とか花とか、そういう植物の匂いを部屋からさせたい。"清潔さ”をこの部屋で

夕方の散歩にて

昨日、夕飯の前に散歩をしました。 持ちものは携帯と鍵と、スマホだけ。 いつもならバッグに、本に、財布にとなにかしら持って出かけるので、 身軽に歩けるのが散歩のいいところ。 散歩に一人で出かけるのも随分久しぶりな気がします。 普段、私は休日になると、ほぼほぼルーティンのように時間を過ごします。 スーパーで買い物をして、作り置きを作って、 書きものをして、英語の勉強をして、ヨガや筋トレをして、掃除をして。 だから何も考えずに、ぼーっと歩いて、近所を歩くことで、リラックスできる

小指1本分の余裕

昔は良かった、と過去を美化するのは好きではないのですが、最近、本屋で働いていた頃のことをよく思い出します。 本好きな自分にとって、書店員の仕事はとても楽しいものでした。気の合う同僚と、本に埋もれる幸せな毎日。 でも、書店員としての短いキャリアの中で、今も役に立っていることって、正直、あまりないかもしれません。 やたら出版社の名前に詳しかったり、紙で、きれいにブックカバーを折ることができても、実生活で必要とされることはほぼないのです。 ひとつだけ、役に立っていることがあると

好きをおかわりする

先日、久しぶりに友達と旅行に行った。 行先は小さな島。自宅から在来線を乗り継いで港に行き、そこから船に乗る。片道1時間と少しの小旅行だ。 いつもとは反対方向の電車に乗って、窓を覗く。 だんだんとビルが消えて、街並みが消えて。自然が多くなってきたな と思ったと同時に、窓の奥に海が見えた。 私の住む町がこんな景色と繋がっていたなんて。 線路の延長線の知らない世界にわくわくが止まらなかった。 直前まで雨予報で 毎日天気予報とにらめっこしていたが、当日は暑いくらいの晴天で。 島を

いとしのビール

私が初めてビールをおいしいと思ったのは、父と居酒屋で飲んだときだった。 どこにでもあるような駅の近くの居酒屋で瓶ビールをコップに注いでくれた。 勢いよく飲むと、炭酸の強い刺激が心地よく、ビールの苦味がとてもおいしかった。「甘くない炭酸、めちゃくちゃおいしい!!」と思った。そこからビールと私の人生がスタートした。 学生時代、あまり人とつるまなかった私はそんなにお酒を飲む機会がなかった。 たまにゼミの飲み会がある時にはガッツリ飲んでいた。飲み方などは何も知らず、あるものをひたす

ジョーマローンの感想4

職場のインターンに来た学生がめちゃくちゃ香水臭くて、今どきこんな中世フランス人みたいなつけ方する人珍しいなと思いながら、この甘く作り物っぽい花の香りが何なのか必死に思い出そうとしていた。当たり障りない世間話をしながら ①いい香りですね、何の香水ですか?と聞く ②記憶を頼りに自力で特定する の狭間を揺れ動いていると、なんと目の前でボトルを取り出しタッチアップし始めた。人の目の前で香水つけることなんてある? っていうかジョーマローンじゃん!! ラベルの文字は読めないが間違いなくワ

毎日スーパーのパックのお寿司を食べて乗り切った日々があった

noteの更新が久々になった。 たべもののはなしをしようとアプリを開くといつもなんだかこう、呑気な気持ちになって良い。 食べ物ありがとう、noteありがとう、 読んでくださる皆様ありがとうございます。 ここのところ人生史上でもかなり上位に食い込むハードさの日々を過ごしていた。 1日の活動時間が長い日だと20時間に迫るようなときもあり、ア〜いつかこの日々が何かのあれで良きものなってくれ〜とフモフモ不毛な願いが脳裏によぎることもしばしばであった。眠気と疲れと使命感がバトルしてい

これ以上わかりたくない、キュウリの味

ここ最近は人生で一番キュウリを食べている。 ぬか漬けにどっぷりハマってしまった。 袋にぬか床が入っていて、すぐに漬けられるというタイプの商品をスーパーで購入。 このきっかけはまた別の機会に、「38歳はじめたシリーズ」で書こうと思う。 毎日キュウリのぬか漬けをぽりぽりと食べているうちにあることに気づいた。 キュウリってモノによって味が全然違う! おいしいものはまず香りが違う。 なんというか、メロンのようなフルーティーな香りがするのだ。 これがぬか漬けになると風味が増し

私はあなたのいない世界で幸せに生きていきますので、あなたもお幸せに。

ふと、考えるときがある。 もう会うことはない、私の人生を通り過ぎていった人のこと。 その人達は好きな人もいれば嫌いな人もいる。 小学生の時に憧れていた近所のお兄ちゃん。 中学生の時に毛嫌いしていた社会科の先生。 高校生の時に私をいじめようとして自滅したあの子。 大学生の時になんとなく付き合ってしまった美容師の彼。 すごく大切で、それがずっと続くものだと思い込んでいたあの人。 良くも悪くも色々な思い入れのある人や、特にそんなに深い思い出もないのに、ふとした時によみがえるもう

思い詰めた友人の悩みを最後まで聞いてやる事ができなかった話

友人が非常に深刻な声で、相談したい事があるので会えないかと電話をしてきたので、 なりふり構わず即待ち合わせ場所の駅前へ向かう事となった。 何かイベントでもあるのか、道は駅に向かう人々で大変混雑し思うように進めなかった。 前方の待ち合わせ場所を見ると、既に到着していた友人と目が合った。 私の目にはいつもと同じ友人が映ったが、友人の目にはいつもの私ではなく女装したオカッパのダウンタウンの浜田が映っていた。 散髪に失敗したのだ。 しかも、花粉症で目が充血していた為、唯ならぬ迫力

年忌法要に抱く、不謹慎なこころ

 法事の日が嫌いではない。仕事や学校をお休みして、家族そろって朝から出かける。故人を思うと寂しくもなるけれど、特別ないちにちだ。  お寺に到着すると、控え室へ通される。そこでおとなたちは再会の挨拶を交わし、お茶を飲みながら近況を語る。日ごろ顔を合わせない親戚が集まるのだから、話題には事欠かない。だれが結婚した。かれが引っ越した。あれのローンが終わった。それが入学して、これが就職した。そういった話だ。 どれも近くはなくとも身内の話である。お互いに、ほどよく興味があり、ほどよ

好きな食べ物はなんですか?そう聞かれて気づいたこと〜一人ぼっちなんかじゃなかった、充分愛されていた〜

昨日、ランチ後の何気ない会話の中で 「好きな食べ物はなんですか?」 そう聞かれて、一瞬言葉に詰まった。 しばらく考えて、 「そうですね、なんでも食べられるし、大好物というとぱっと思いつかないけど、強いて言えば、人と食べるゴハンが好きですね」 口をついて出たこの言葉。 午後になってふと蘇ってきた記憶があった。 すでに定年している父。 現役の頃、会社から昼食補助として、オフィス近隣のレストランで使用できる食事券が支給されていた。 父はお弁当を持参するなどして、そ

写真と自愛

僕の体感だと「写真を撮られるのが苦手」というひとは、とても多い。「きれいに撮れる」ことに大きな価値が生まれ、スマートフォンでさえも一級の撮影機材となったいま、誰もが手軽に鮮明な写真を撮れるからこそ、写真に撮られたくないという心情が高まることも事実だと思う。僕にしたって、できれば高性能なカメラでは撮られるのは避けたいと思ってしまう。それほど価値があるとも思えない、じぶんの姿をまざまざと見ることへの抵抗があるからだ。容姿への恐怖というのは動かし難くそこにあり、どんなに親しいひとが