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東京での日々をぽつぽつ

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#11 眠れない理由

 なかなか一筋縄ではいかない。  昨日、自分の中ではほぼ完璧な休日を過ごした。昼間に体を動かして、帰って来てからすこし昼寝をし、夕方から夜になるくらいの時間に家を出て、餃子屋へ。そこで軽く飲みながら餃子をつまむ。隣に座ったおばあさん二人組のうちの一人が店員に「私たち、今年で90歳よ」と言いながら餃子をバクバク食べているのに感心し、銭湯に行ってのんびり。帰ってきてからドラマを見たり、映画を見たり。もう、これで大丈夫。  そう思っていたが、今朝起きると、しっかり憂鬱だった。昨

    • #10 村上春樹の本を読んだら走りたくなる

       このところ、ずっと気分が晴れないような、何をしていても楽しくない、ひどいと何もないのにイライラする、そんな日が続いていた。だから、まず朝起きるのがつらい。別に起きたところで楽しいこともないし、起きたら起きたで面倒なことをこなさなければいけない。そんな面倒ごとに追われているうち、どうせまた一日は終わる。軽い鬱のような、とにかくやる気が出ない日が続いていた。  こういった気分に陥り、それが幾日か続く、といったことは年に何回か訪れる。そのときに僕が行う対処法は規則正しい生活を送

      • #9 もうこれだけでいいような気がした

         2月の三連休の中日。雨が降ったりやんだりという日が何日か続いていたが、この日は久々に青空が広がった。こういう日に外へ出ないのは何だかもったいないような気がするので、散歩へ。  街には多くの人が歩いていて、近所のカフェにも列が出来ていたりした。のどかな雰囲気にこちらの気持ちも穏やかになる。  僕は燃え殻さんの「BEFORE DAWN」というラジオ番組をradikoで聴きながら代々木公園を目指す。この番組はいつも番組の冒頭で燃え殻さんがエッセイを朗読するのだが、今回の内容が

        • #8 2月に初夏の風が吹いた

           いつも通りの朝、ストレッチをして窓を開けると、ぬるい風が吹いた。鼻から息を吸い込むと、春っぽいにおいがした。陽も出ている。目の前の豪邸を建てる工事は相変わらずうるさい。  リモート会議をするときはいつも白湯を飲む。それが、今日は水が欲しくなった。会議中、ロンTしか着ていないのに部屋が暑く感じる。何かがおかしい。2月でこんなに暑くなるなんて、熱でも出てきてしまったんじゃなかろうかと思った。  昼過ぎに外へ出て、すこし歩くとうっすらと汗をかき始めた。人通りの多い場所に出ると

        #11 眠れない理由

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        • 日々の記憶、断片
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          #7 赤羽

           一昨年の年末、仕事でお世話になっている方の提案で、僕らは赤羽で飲むことになった。2人だけの軽い忘年会だ。予定時刻よりも数十分早く、僕がまだ電車に乗って移動しているときに、その方から「ちょっと早めに来られる?」というLINEが入った。どうやら、もう既に赤羽に着いているようで、その文面から、一刻も早く街に繰り出して飲みたいという思いが伝わって来る。  集合時刻の5分前くらいに到着し、僕はその方と合流した。お店が連なる通りへと歩を進めると、次第に賑やかになり、それだけで徐々にテ

          #6 静謐な朝に踊る心

           朝五時、起床。頭が上手く回らず、ベッドの中でしばし目を瞑り、意識を整理。ゆっくり体を起こし、カーテンを開くが、外はまだ真っ暗。窓を開ける。今日はあんまり寒くない。いつものストレッチをしながら、今日のこれからを頭の中で整理していく。  朝食を済ませ、七時からの仕事のため、身支度を整えて六時十五分に家を出る。外は、ほんの少しだけ明るくなり始めている。  人のいない住宅街はとても静かで、なんだか贅沢な時間を過ごしている気分にすらなる。すこし進んで、駅に向かう道に出るとぽつぽつ

          #6 静謐な朝に踊る心

          #5 こんな日があるから生きていられる

           最低だ。朝、ベッドの上で目を開き、昨夜、ベッドの中に入るまでのことを思い返して、まずそう思った。ベッドの下には、昨日着ていた服が雑に放られている。ため息をつきながらトイレに立つと、シンクが目に入る。洗っていない食器が置かれていた。普段、まずそんなことが無い分、何もかもが面倒に感じる。  用を足しながら、ストレッチをしてから風呂に入って、歯を磨いて、洗濯をし、メシを食べてまた歯を磨いてと、これからすべきことを考えだしたら、それは途方もないことに思え、トイレを出ると、またベッ

          #5 こんな日があるから生きていられる

          #4 一生付き合っていくのかもしれない

           2020年4月7日。東京に、初めての緊急事態宣言が出された。それを僕は、広尾にある日本赤十字社医療センターの病室に着いたとき、スマホで知った。  その数ヶ月前から便がほとんど出ず、食べた物を吐いてしまうという症状が続き、近くのクリニックで診てもらった。胃カメラをした結果、十二指腸潰瘍の疑いがあり、日赤医療センターを紹介された。十二指腸潰瘍の場合、手術をするケースは稀で、大抵の場合は薬で治すといった説明を受けていたし、日赤医療センターでの検査までも一週間後くらいで予約をされ

          #4 一生付き合っていくのかもしれない

          #3 今できることをやるしかない

           昨夜、寝る前にふと、なぜだか夜勤をしていたことを思い出した。  はっきりとは思い出せないが、二十代中盤の頃だ。当時僕は週に五日、十時から十八時半まで昼のバイトをしていた。  一応やりたいことはあったが、どうしたらいいか分からず、完全に行き詰まっていた。そして、途方もなく貧乏だった。給料が入っても、家賃や光熱費を払うと残りは三万円くらいで、ひどいときは三万円も残らなかった気がする。今思うと、その頃どうやって暮らし、何を楽しみとしていたのか分からないが、それでもどうにかこう

          #3 今できることをやるしかない

          #2 セルフレジとの距離感

           少し前、実家に帰ったときに弟とスーパーへ行った。食べたいものをカゴに入れ、会計をしようとレジへ進むと、弟は迷わずセルフレジへ向かった。夜も遅かったので、有人レジ(こんな言葉むかしは無かったよなぁ)もセルフレジも別にお客は並んでいなかった。どちらに並んだって構いはしないのだが、商品を自分でスキャンさせ、それをせっせと袋に詰めるという作業がどうにも面倒な自分は、一人だったら絶対に店員のいるレジに行ってしまうため、弟の行動にすこし驚いた。 「これ、自分でレジやるの面倒じゃない?」

          #2 セルフレジとの距離感

          #1 修行だと思うことにした

           ここ一ヶ月くらい、日記とは違う形で日々のことを書こうと思っていたが、なかなか思い腰が上がらず、“文章の書き方”のような本ばかりを読んでいたら、時間ばかりが過ぎていった。  何冊かそういった類の本を読んだが、決まって書かれているのが、「とにかく書き始めてみよう」ということ。当たり前だ。書かないことには始まらない。  そんなこと、頭では分かっているのに、どうにも気分が乗らない。いや、もはや何を書いていいか分からなくなっていたのかもしれない。  でも、これは無理にでも書き始めない

          #1 修行だと思うことにした