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#15 ディズニーシーに行った思い出はもう僕しか覚えていない

 朝、ラジオを聴いていたらTravis Japanのメンバーの人が出ていて(名前も言っていたが、全然覚えていない)、その彼が、最近の悩みとして、「最近ディズニーシーに新しいエリアが出来たのでそこに行きたいのだが、二十七にもなって誰かを誘うのが恥ずかしい。どうすればいいですか?」といったようなことを言っていた。

 三十を過ぎて男四人でディズニーシーに行ったことのある僕はびっくりした。

 行きたいなら誰か誘えよ。百歩譲って、「ディズニーシーに行きたいが、一緒に行ってくれる人が周りにいない」とかならまだ分かる。

 が、誘うのが恥ずかしいって…。しかもまだ二十代で。

 俺なんか三十六にもなるのに、ついこの間も、十個くらい下の女性に「ディズニーシー行きたいわ~」と、ナチュラルに漏らしてしまった。もうそこに恥ずかしさ何も無かった。

 これは千葉県民で、子どもの頃からしょっちゅう行っていたからなのだろうか?

 

 ディズニーシーといえば、僕は男友達と二人で行ったこともある。記憶は定かではないが、もう十年くらい前になるかもしれない。

 仕事の都合で青森だか石川だか、とにかく遠い地で働いていた友達が、夏休みで千葉に戻って来ていた。

 僕らは浦安駅で待ち合わせをして、近くのダイエーだかユニクロで水着を買い、浦安万華郷という温泉テーマパークへ行った。平日ということもあってかわりと空いていて、水着で入るゾーンをひとしきり楽しむと、温泉に入った。

 そこで、タオルを手摺りのような場所に掛けてお風呂に入っていると、後からおじさんが入って来て、そのおじさんは僕らより早く、友達のタオルを間違えて持って出て行った。その後、友達はおじさんが残していったタオルを使う羽目になっていた。そんなことで僕はゲラゲラ笑っていた。

 温泉から出てもまだ夕方前で、脱衣所で着替えている時、ふとディズニーシーでも今から行く? という話になり、僕らはその場の勢いで急遽、舞浜へ移動した。

 毎回開園から閉園までフルで遊ぶ僕からすると、なんだかやけに大人みたいなことをしているぞ、と思ったことを覚えている。

 園内に入ると、ちょっとした階段で、友達がジャック・スパロウのマネと言って、でたらめな動きをしてくれたのを見て僕はゲラゲラ笑った。何がそんなに面白かったのか今では分からないが、とにかく笑った。

 そして、閉園時間間際にセンター・オブ・ジ・アースの乗り場まで、友達が珍しくダッシュで行くと、その友達の目の前で「ここまでです」と、無情にもキャストのお姉さんがロープを引くもんだから、後から歩いて追いかけていた僕は、やっぱりここでもゲラゲラ笑った。

 そんな彼は、四年前に死んだ。

 この日のことを覚えているのは、もう僕だけになってしまった。

 今となっては、単に僕が見た夢だと言われればそんなような気もしてしまうから怖い。

 そして、僕もいなくなれば、あの日そのものが無くなるのかと思うと、とても寂しい。

 全然意識してなかったけど、だから、こうやって書いたのかもしれない。

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