見出し画像

Hameeの創業者 樋口敦士に聞いてみた。 あなたのミッションは何ですか?

2021年4月16日、Hamee株式会社代表取締役社長の樋口敦士が同社の代表取締役社長を託し、会長に就任することが明らかになりました。
この発表は、社外はもちろんのこと、Hameeで働く社員にとっても大きな衝撃でした。

樋口が大学在学中に創業し、築き上げてきたHamee。
現在、44才の樋口。まだまだ現役で社長を続けていくものだと当たり前のように思っていた中での発表でした。

23年間、必死に事業・組織を進化させ、IPOも果たしたHameeの社長をなぜこのタイミングで「交代すること」を選択したのか、そして樋口のミッションは何か聞いてみました。

13年間一緒にやってきた水島くんにHameeの社長を託したい

画像1

こんにちは、樋口です。

リリースの通り、今まで取締役だった水島くんがHameeの取締役会にて選任され、新社長になります。

彼は入社以来、管理部門のトップとして、2015年に東証マザーズへのIPO、2016年に東証一部への市場変更を達成しました。

これは彼がリーダーシップをもって、みんなの協力を得て、一丸となって成し遂げたひとつです。まじめにコツコツと、愚直に強い気持ちを持って彼が取り組んだ結果だと思います。

上場までの準備はとても大変で、水島くんをはじめ、準備をしているメンバーが何か月も朝早くから夜遅くまで休日もなく働く様子を見ていました。私は彼がいなかったら、上場も諦めていたんじゃないかと思っています。

決めた目標に向かって、コミットしてグリット(やり遂げる)する。彼のすごいところは、そういうところです。「やり遂げる」力を誰よりも持っているんじゃないかと思います。

そんな水島くんが、体制変更により2018年からコマース事業のトップになりました。3年前と比べてコマース事業も進化しており、iFaceをはじめ、しっかりといいプロダクトを出し続けています。

売上・利益といった事業成長はもちろん、組織もいい状態です。これもみんなの協力あってですが、彼がリーダーシップを発揮して、Hameeを支えているコマース事業で、実績をあげているおかげです。

そんな様子を見て、私が代表取締役社長をやっていくより、水島くんに託したほうが間違いなく上手くやってくれると確信したので、ぜひ継いでくれないかとお願いをしたところ、承諾してもらいました。

かしこまった場で話したわけではなく、執務エリアの真ん中の「KOEN」と呼ばれているスペースで、PCを広げながら、いつも通りの1on1の時間に伝えました(笑)

水島くんも「はい」と返答してくれたので、このことに関して実は特に議論をしていません。

画像2

▲KOEN

タイミングは予定より早くなりましたが、「クリ魂の火をつけ続ける」ためにHameeをどう変化させていくのかベストか、長い時間をかけて取締役たちと議論してきており、今回の体制にいずれなることはみんな認識していました

20年以上成長を続けてきたHamee

4月16日のIR発表の後、社外の方に「社長職を辞めてしまった」「何かあったのかもしれない」と、私に何と声をかければいいかわからなかったと言われることもありました。

確かに、急な発表で驚かれた方もたくさんいらっしゃるかもしれません。
しかし、どこかのタイミングで誰かにバトンを渡すことは長年考えてきたことです。

また、引退するわけではなく、現役の会長。これまでも主力事業の意思決定は各事業の取締役に任せていましたし、今回の体制変更により役割を明確にし、さらに大きな価値を生むHameeをつくれるのではないかと考えています。

世の中の多くの企業が生まれては消えていく中で、Hameeはこれまで20年以上成長を続け、今も事業・組織を進化させながら、大きくし続けることができています。ベンチャー企業の生存率は5年後は15%、10年後6.3%、20年後はたったの0.3%などと言われているので、これはすごいことです。

創業当時、起業するぞ!という切磋琢磨した仲間も周りにいましたが、いま生き残っている人はほぼいません。
今いるHameeのみんな、そしてこれまでHameeに関わったみんなで成し遂げた偉業です。

画像3

▲これまでのHameeの事業成長

最近のHameeの売上グラフを見ると、成長が加速しています。このままの状態でいくと、さらに10年後はどうなっているでしょうか。企業としての体力もついているので、より良い状態になっているのではと予想します。

一方で、EC市場の中で同時期に創業した大手プラットフォーマーと比べると、社会的なインパクトは小さいと思います。

Hameeを振り返ると、あの時ああしておけばよかった、こうしておけばよかったと思うことがたくさんあります。
「よくやった、すごい!」と思う一方で、もっとやりようがあったんじゃないかなと同時に強く思っています。

ここまで成長市場の中で、Hameeはしっかり伸びてきましたが、私のジャッジ一つで、もっともっとチャンスを掴むことができていたかもしれないと考えることもあります。

しかし、もうチャンスないかというと……そうではないと思っています。
EC市場の本格的な伸びは、これからだと予想しています。市場規模が30兆、40兆と考えると、ECがこの20年で成長してきたよりもこれからの10年のほうがさらに伸びると考えられます。そんな市場にHameeはいます。

画像4

▲EC市場の成長と動向(日本市場)

画像5

▲EC市場の成長と動向(世界市場)

今までの20年でコツコツ足場を固めてきたHameeなので、やりようによってはものすごく大きなチャンスがあると思っています。
ここで、今回の体制変更に繋がります。

私のミッションは「クリエイティブ魂に火をつける」です。

画像6

Hameeそして私のミッションは、「クリエイティブ魂に火をつける」です。そのために、「Hameeに関わる人が持っている最大限の能力を出す」そういう環境をつくることがいま一番必要なんじゃないかと思っています

色々な能力を持った人たちのクリ魂ファイヤーを最大化できる環境をつくる、そうするとその人たちに関わる人もクリ魂ファイヤーしていく、そんなことが続くとすごい世の中になると思いませんか。

今回の体制を皮切りに、起業家がたくさん生まれ、継続的に新しい価値を生み出すクリ魂が大きく燃える基盤を作っていこうと思っています。

おそらく今のままの延長線でも10年後には倍のインパクトを出せるのではないかと想像しています。
しかし、先ほどお伝えしたように、今ものすごく大きなチャンスがあります。せっかく社員もHameeを選んで働いてくれているので、そんな社員にもチャンスを掴み、さらにクリ魂ファイヤーしてほしいと思っています。

1つのHameeがどんどん細胞分裂のように分かれて、いろいろな会社や起業家が生まれ、HameeのDNAが増えていく。

中にはドーンっと大きくなる細胞もあるかもしれません。
クリ魂の思いを共有している次世代に経営を託し、既存事業の進化と同時に新規事業を創出していく、そしてさらに次の世代へそれを繋いでいく。

「大チャンスが目の前にある今」
「事業が順調で、企業体力がある今」
「創業者兼オーナーとして強いリーダーシップが発揮でき、大胆な意思決定のできる今」
「そして私と取締役が思いや戦略をしっかりと共有できている今」
であればできるので、「思いっきり」しようと決断しました。

私のこれから

画像7

数年先を考えるだけなら、現状維持でも成長は続くと思いますが、10年後もその先もクリ魂を大きくファイヤーをさせるには、変化・進化を起こす積極的な動きをするのが今の正解だと思っています。

見ている先が人それぞれ違いますが、会社も、社会も、人生も長期・短期の両方の視点が必要です。

私は新体制のもと、より丁寧なコミュケーションを行いながら、重要な経営判断、新たなことへ挑戦するカルチャーの醸成を行っていきたいと思っています。

この大きな変化の中で、自分はどう挑戦するか、何を成し遂げたいか、チームにどう貢献するか……常に考えながら、行動していくことが未来につながるのではないかと思います。

会長という新領域ですので、日々自問していきます!

さいごに

実は今回の取材を行うまで、「本当は樋口はもっとHameeの代表取締役社長を続けたいのでは?」と思っていました。

しかし、取材を進めるにつれ、
「取締役をはじめ、Hameeで働くみんな、能力も高いし、センスもいい」
「私がリードしてここまで来たけど、自分より能力が高い人たちにバトンを渡したら、もっとクリ魂の火は大きく、そして世界に広がる」
「だから寂しさとか不安は全くない」
「もっといいHameeになるよ」

と誰よりもワクワクしながら、Hameeの未来を語る樋口の姿がとても印象的でした。

5月よりHameeの第24期が始まりました。
Hameeのみんなも最初こそ戸惑いはありましたが、すでに新しい体制をポジティブに受け入れ、新しい体制の中で何をすべきか考え、一丸となって走り始めました。

Hameeは燃え盛るクリエイティブ魂が、世界をより良くすると信じています。そして信じて集まってくれた仲間と共に、さらにクリエイティブ魂に火をつけてイノベーティブな挑戦をし続ける会社であり続けたいと思っています。

各自が自問を繰り返し、今後も変わらず「クリエイティブ魂に火をつける」を目指してまいります!

note_記事を書いた人_テンプレ_1524x492 (22)