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マレイ・アイズ/連載エッセイ vol.67

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.69(2012年・第2号)」掲載(原文ママ)。

この通信表面にあるように、実はワタクシ、1月14日に開催されたCCIAP(オーストラレイジア・カイロプラクティック教育連合)の会議に参加する為、マレーシアはクアラルンプールというトコロへ出掛けていた。

そう…熱心な読者の方であればお気づきかもしれないが、前号で特集されていた『アメリカ研修』の直前に、別の海外出張へ既に旅立っていたというワケ。

(具体的には、まず高速深夜バス往復で横浜にて1日講師を務め、翌日クリニックに入り、その翌日にマレーシアへ旅立ち、帰国の翌日クリニックへ入り、そして翌日アメリカへ向かった…という『強行日程』!!)

さて、私にとって初めてとなる『東南アジア』、そして『イスラム圏』への出張。

若干の緊張を覚えながらも、飛行機で揺られるコト、7時間程度。
時差が少ないので、身体的には負担をさほど感じないまま到着したのが、巨大で近代的なクアラルンプール国際空港。
さすがは大手LCC(格安航空会社)の『エアアジア』を生み出した国である。

空港から、会議会場であり宿泊場所ともなっている『インターコンチネンタル・クアラルンプール』までは、チケット前金制となっている空港タクシーで直行。

ここで最初の驚きが!! 
タクシーの運転手がトゥドゥン(ベール)を被った女性だったのだ!! 

聞けば、確かに女性運転手は珍しい存在のようだったが、『イスラム圏=女性はあまり表に出ない』という勝手なイメージを持っていた私にとって、それは意外な光景であった。

やっぱり、何事も自分の眼(まなこ)で見ようとする姿勢は大切である。
特に、キーボードを叩けば、欲しい情報がすぐに手に入るこの時代においては。

空港周辺の森林地域を抜けると、これまた驚きの光景。
漆黒の夜空にまばゆく輝く、高層ビル群と、この街自慢の高さ452mを誇るオフィスビル・『ツインタワー』、おなじく300m程の高さの『KLタワー』などが見えてきた。
こりゃもう…『近代都市』である。

ホテルにチェックインして、一息ついたのも束の間、その日の深夜から早速、会議の事前打ち合わせ開始!! 

そこからはもう…会議前日にIMU(国際医科大学)の見学ツアーへ出掛けた以外は、一歩も外へ出られず…。朝から夜中の2~3時まで、ミーティングの嵐と相成った…。
(まぁ…その為に行ったので、仕方がないといえば仕方がないが…。)

そして遂に滞在最終日。

日本に戻るには『深夜便』しかない為、日中は前日に終了した会議の報告書まとめ。

…が、しかし!!

このまま終わってしまっては、あまりに切なすぎる…というコトで、なんとか街歩きするための時間を捻り出し、3~4時間程度なら出掛けられそうな流れに!!

早速、危なく使われずに終わるトコロだった、日本から持参した某大手ガイドブックを開く。

海外での『街歩き』の基本は、治安が許す限り、現地の公共交通機関を利用したいワタクシ、まずは最寄りの電車の駅を探す。

探すが…そもそも…このホテルの場所がわからない!! 

何故だ?? 
何故にこんな大きなホテルの名前が地図にない!! 

…と思いきや、どうやら少し前にホテルの名前自体が変わった様子。
でも…明らかにこのガイドブックが出版されるだいぶ前らしく…使えないヤツめ!!

見ればどうやら、すぐ近くに駅があるらしい。
ホテルから出て、周辺を歩いてみる。

歩いてみるが…見つからない!! 
そもそも目印になるようなものの記述がまったくなく、東西南北ですら怪しい。
困った…使えないヤツめ!!

1度、ホテルの前まで戻り、現地の人に尋ねる。

すると駅の場所を丁寧に教えてくれた上に、タクシースタンドの方へ歩いていき、トランクの奥からナニやら取り出してきた。

どうやらワタクシ、タクシー運転手に駅の場所を訊くという『失態』を演じてしまったようで、申し訳ないやら恥ずかしいやら、リアクションに困っていると、差し出されたのは、現地発行の観光パンフレット(コーヒーだかお茶だかのシミ付)。

これまた微妙にリアクションに困りながらも礼を言い、駅の方へ歩きながら、くっつき気味のパンフレットを、ペリペリと剥がしつつ開く。

すると…これはイイ!! 

街の全体像やら電車の路線図やら観光ポイントが、簡潔にまとまっていて見やすい!! 
まったく…使えるヤツめ!!

駅にて、『こども銀行』のようなプラスチック製の(恐らくICチップ内蔵の)コインチケットを購入し、ヒヤヒヤしながら改札にかざし、電車に乗り込む。
車体は天井が低く、幅も狭い。

というのも、マレーの方々は、総じて小柄。身長177cmの私であれば、大柄な部類に入る。
車内を見回すと、マレー人の他には、中華系やインド系の方々が目立つ。

また、住みやすいその気候と後述する言語の関係から、欧米人の移住者も多いらしく、白人の方々も散見された。

つまり…同じ場所に、例えば女性でも、トゥドゥンに身を包んだ方と、眉間にビンディを付けている方と、タンクトップで肌を露出している方が『同居』している状態。
いやはや、これぞ『多民族国家』である。

さて電車で最初に向かったのは、『チャイナタウン』。

駅近くのセントラルマーケットでお土産品を物色したら、今度はメインストリートであるブタリン通りへ。

ハン・ルキル通りとの交差点にある人気屋台で『豆腐花(トウファーファ・温かい柔らか豆腐に蜜をかけたデザート)』を買ったら、韓国・南大門をはるかに超えるスケールの『パチモン(偽ブランド品)出店』で埋め尽くされた通りを南下し、時には路地に入り込んで、香辛料と魚醤の香りが充満する食堂の脇を通り抜け…

(あの調理台の上の、籠の中の猫は、ペットだったのか…食材だったのか…!?)

…同じ通り沿いの中華仏教寺院とヒンドゥー寺院を参拝し、通りの南端にある名店で、漢方たっぷりの『亀ゼリー』を食して、ここはおしまい!! いやはや、これぞ『カオス(混沌)』である。


続いて、電車とモノレールを乗り継いで向かったのが、この街きってのオサレエリアである『ブキッ・ビンタン(星が丘という意味)』。
巨大なショッピングセンターが、これでもかこれでもかと立ち並ぶ様は、ある意味、日本の銀座よりスゴイかも!?

(そんな中、日本の某ファストファッション店も健闘!! 品揃えから…掛け声のトーンまで、まさしく『日本仕様』でした!!笑)

立ち並ぶビルには、主だったハイブランドのショップが軒並み入居し、でも途中で、『全てのビルに全ての主だったブランドが入ってるんじゃあ…1カ所行けば万事OKじゃん!!』などと気づいたりして…。

とにかくすごい活気と人の波で、いやはや、これぞ『大都会』であった。

今回、短時間ながらも街歩きできて感じたのは、『格差ありき』で拡大急成長を遂げるこの国の経済的勢い、そして、多民族国家ならではの、英語の浸透率である。
まさに、『アジアンパワー炸裂』といった感じ。

それと同時に、今後の日本の行く末を案じずにいられなかったのも事実。

確かに日本は、『内需』がそれなりに見込める為、過度に『グローバル化』へ反応する必要はない、という意見もわかるにはわかるのだが…。

外の状況を理解した上での、『客観的な内向き』という姿勢が必要なのではないだろうか?? 
その為にも、自分自身の眼でもっともっと世界を見てみなくては…!!

…というワケで、ワタクシこれから、今年2回目となるアメリカ出張へ行って参りま~す!!(←イロイロな意味で…大丈夫か…ワタクシ!?笑)


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