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エンタメ・コーギ/連載エッセイ vol.16

※初出:知事認可・岩手県カイロプラクティック協同組合発行、「ほねっこくらぶ通信 vol.18(2003年8月)」掲載(原文ママ)。

世間は夏真っ盛りである。
私は「古き良き夏休み」を体験した最後の世代かもしれない。

ラジオ体操の音が響く広場まで、朝露を弾いて幼なじみと駆けっこ。
(オイオイ、そりゃ遅刻だよ!)

渇いた喉を潤そうと、御近所の宅配牛乳をチョット拝借。
(オイオイ、そりゃ窃盗だよ!)

朝の一仕事を終え、すっかり満足して就寝。
(オイオイ、そりゃ寝太郎だよ!)

ビバ夏休みである。

思えば、教員としても「最後の古き良き夏休み」を体験させて頂いた。

私が教員の頃は、普段の超過勤務分を長期休暇時に積極的に埋め合わせるよう指導された。
つまり学校が夏休みに入ると、教員は日直でもない限り(もちろん学校によっても事情は異なっていたが)、昼過ぎに帰る事ができたのだ。

クラブ指導を終えて戻った自室で、真昼間から窓を開け放って爆睡するのは、夏の醍醐味であった。
(結局寝るんかい!)

もちろん「学校週5日制」が導入されてからは、長期休暇時であっても教員はしっかり定時勤務だそうだ。

教員として過ごした夏よりも、カイロプラクターとして過ごした夏の方が多くなってしまった。

以前よりも教員時代の事を思い出さなくなっていたが、
最近また事情が違ってきた。
後進の育成の為、専門の学校や研究会などで講義を担当する機会が非常に多くなってきたからである。

私の講義スタイルは一言でいうと「サービス精神」。
受講する側の満足あっての講義である。

貴重な時間とお金をかけて来てくださっている相手に、100%の満足を感じてもらって、やっとスタートライン。
それからの上乗せが講師の力量と信じてやっている。

教員時代は、この考え方を「契約」と捉えていた。

生徒を取り巻く事情は知っての通り「過酷」である。
だからこそ、授業1コマ分の時間だけは自分に預けてくれ、その代わり自分も全力でやるよ、という具合。

制服を強制するなら、ネクタイは緩めるな。
(いませんでした?不思議ファッションの先生?)

規律を重んじるなら、授業の時間は厳守しろ。
(いませんでした?チャイムが鳴っても来ない先生、終わらない先生?)

この「契約心」が教員時代の自分を支えていた。

「生徒に夢を説く教師自らが夢を追うべきである」というこの考えが、最終的に今の道を選んだ原動力となったのは、皮肉といえば皮肉であったが…。

私を教員時代から知る患者さんの「センセイは先生辞めてもやっぱり先生になっちゃうんだね」というツッコミに苦笑いしつつ、講義を受けた人が、こんな感じで患者さんに向かい合えるカイロプラクターになってほしいなぁと、講義のネタを捜す毎日である。


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