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テニス関係者の法律相談室~弁護士の視点~

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テニス関係者に損をして欲しくない!そんな思いから、テニスバカな法律関係者が、テニス関係者が遭遇する様々な場面を法律的な面から解説します!
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記事一覧

★スポーツ選手支援契約書(ひな型)の解説★

こんにちは。スポーツ法研究会です。

私たちは、スポーツ選手の継続的なサポートを目指して活動しています。

これまで、スポーツ選手を取り巻く「契約」は、選手の側自らがきちんと内容をチェックする機会が乏しく、また、相手方の提示した条件を多少変更したくとも、どうやって変更すればよいか分からないということばかりでした。

とはいっても、弁護士を頼むとなるとなんだか高そうで敷居が高いなぁとなってしまいます

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テニスにおけるオリンピック代表選手決定の方法③紛争事例の紹介

テニスにおけるオリンピック代表選手決定の方法③紛争事例の紹介

 前回の投稿で、オリンピックにおけるテニス競技の国別代表選手の決まり方について解説しました。

 今回は、実際に紛争になった2つの事例を紹介します。

 一つは、2008年の北京大会のものです。スポーツ仲裁裁判所(CAS。スイスのローザンヌにあるスポーツ紛争の解決組織です)のアドホックディヴィジョン(オリンピックの時だけ設置される特別部)の事例です。
 この事例は、シングルスのドイツ代表が誰になる

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テニスにおけるオリンピック代表選手決定の方法②テニス競技の「決まり」を見てみる

テニスにおけるオリンピック代表選手決定の方法②テニス競技の「決まり」を見てみる

前回の投稿で、オリンピック代表選手の決定方法は、IF(国際競技連盟)が定めるOlympic Qualification System(以下、「OQS」といいます)によって決められているという話をさせていただきました。

では、テニスにおける代表選手決定の方法を見てみましょう。
東京五輪において、テニス競技のIFであるITFが策定したOQSは、こちらです。
まず、これを見ると、代表選考の方法は「(T

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スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第2回)

スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第2回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

一般的な民事事件・刑事事件全般のほか、スポーツ選手・団体の法務や、SNS利用のコンプライアンス講師、テニス練習会の主催なんかをしています。

今日は、スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第2回)というお話をします。

前回の復習契約とは、2人以上の人が、裁判所に訴えられるような類型の権利や義務について、合意することを指します。

合意が有りさえ

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スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第1回)

スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第1回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

一般的な民事事件・刑事事件全般のほか、スポーツ選手・団体の法務や、SNS利用のコンプライアンス講師、テニス練習会の主催なんかをしています。

今日は、スポーツ選手・フリーランスが知っておきたい契約とは(第1回)というお話をします。

「契約」の勘違いあなたは、「契約とは?」と質問されたら、何と答えますか?

私は、色んなところでこの質問をしますが、良くある回答

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法律家ってどんな専門家?③テニスのルールを題材に

法律家ってどんな専門家?③テニスのルールを題材に

前々回↓
https://note.com/lawyeryamamoto/n/nb12fe3765daa
と、前回↓
https://note.com/lawyeryamamoto/n/n47d56c6fbd3b
の続きです。

事例のおさらいをしておきましょう。
私が、かみおひろみち@Kamy1126先生とテニスのシングルスのゲームをしていました。しかし、ゲームの途中、かみお先生が「山本がボール

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法律家ってどんな専門家?②テニスのルールを題材に

法律家ってどんな専門家?②テニスのルールを題材に

前回↓の続きです。
https://note.com/lawyeryamamoto/n/nb12fe3765daa

前回は、テニスのルールを題材に、法律を事実に適用するというのはどういうことかを考えてみました。

今回も、同じようにテニスの事例を思い浮かべます。
私が、またかみおひろみち@Kamy1126先生とテニスのシングルスのゲームをしていました。しかし、かみお先生はなかなか本調子が出ない様

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第8回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第8回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

ここまで、一般スポーツ団体向け(NF以外の団体向け)のGCの原則を1〜6まで見てきました。

改めて並べてみましょう。(原則横の一言は筆者)

【原則1 対象・遵守事項】
法令等に基づき適切な団体運営及び事業運営を行うべきである。
(1) 法人格を有する団体は,団体に適用される

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第7回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第7回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

と、その前に。
昨日、記事をアップするのを忘れていました。そのため、今日アップした「第6回」の記事は、昨日分で、5月4日分はこちらの記事です。
ごめんなさい。

あと、なぁなぁになってしまうことが多いので、記事をアップする時間帯を7:30前後と固定しようと思います。

さて、本

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第6回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第6回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

これまでの講義は、末尾にリンクを掲載したので、そちらをご確認ください。

さて、今日は原則5をご紹介します。
早速見てみましょう。

原則5

法令に基づく情報開示を適切に行うとともに,組織運営に係る情報を積極的 に開示することにより,組織運営の透明性の確保を図るべきである。

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第5回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第5回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

【第1回 全体像(NF向けと一般向けがある!)】

【第2回 一般向けGC原則1 対象となる団体】

【第3回 一般向けGC原則2 基本計画】

【第4回 一般向けGC原則3 コンプライアンス】

さて、今日は原則4です。

原則4
公正かつ適切な会計処理を行うべきである。

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第4回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第4回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

まずは、ここまでの振り返りを。

第1回
全体像

第2回
一般スポーツ団体向けGCの原則1

第3回
一般スポーツ団体向けGCの原則2

と、こんな感じで進んできたので、今回はGCの原則3を解説します。

原則 3
暴力行為の根絶等に向けたコンプライアンス意識の徹底を図るべ

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第3回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第3回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今日もスポーツ団体ガバナンスコード(以下「GC」といいますね)のお話の続きです。

第1回では、全体像を、第2回では、一般スポーツ団体向けGCの原則1を解説しました。

まだ読んでない方は、ぜひ見てくださいね!

さて、今日は、一般スポーツ団体向けGCの原則2以下を見ていきましょう。

原則 2
組織運営に関する目指すべき基本方針を策定し公表すべきである。

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今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

今更聞けない、スポーツ団体ガバナンスコードって何?の話(第2回/全8回)をします。

第1回を読みたい方は、ぜひこちらをタップしてみてください!

前回、スポーツ団体ガバナンスコード(以下、「GC」と略しますね。)には、大きく2種類あり、①国内統括団体(NF)向けと、②一般スポーツ団体向けがあると説明しました。

本日は、②について見ていこうと思います。

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