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会社の成長を支えるナンバー2の育て方 vol.86 ナンバー2は一人がいいのか?複数がいいのか?

ナンバー2は複数いたほうがいいのかという問題

社長をされている方との会話で多いのは、「ナンバー2は一人ではなく複数いた方がいいと思っている」というご意見です。

そう考える理由をお伺いした結果を大分類するとこんな感じになります。 

①一人の人間に頼り過ぎて、辞めてしまうと事業運営への影響が大きい
②一人の人間にあらゆることを求めるのは現実的でない
③多様な視点が欠如してしまう可能性がある

全くその通りだと私も思います。

①一人の人間に頼り過ぎて、辞めてしまうと事業運営への影響が大きい
この場合、例えば、そのナンバー2が売上の多くを作っている、事業全体や個々のプロジェクト推進の中心的存在といった場合などでは顕著に影響が発生すると思います。

②一人の人間にあらゆることを求めるのは現実的でない
この考えにも納得感があります。営業が得意であってもマーケティングが苦手、企画や開発が得意でも営業や財務が苦手といったように、一人の人間が高水準で複数の専門性を持つのは簡単なことではありません。

③多様な視点が欠如してしまう可能性がある
この視点にも頷けます。ナンバー2は社長の考えや方針に共感していると、ともすると社長と同じ視点で物事を考える傾向があるのを否定できないからです。

こうした観点に基づくと、それぞれの分野において専門性を持ち、各部門を統括し、チームとして活動し、連携して成果を出して欲しいという考えに至ると思います。社長の右腕的存在が部門ごとに存在するというスタイルですね。

実際に、多くの会社ではCOO、CFO、CHRO、CTOといった肩書もよく見かけるようになりました。

そのうちの誰かが辞めても欠員を埋めれば大勢に影響がありませんし、各分野から専門性の高い意見を取り上げた方がより正しい意思決定ができるので、事業運営の観点では合理的で安全と言えます。

ナンバー2は一人がいいのか?複数がいいのか?

一人のナンバー2 VS 複数のナンバー2という軸で、いずれの組織構造がより優れているかを論じるのは不毛だと思うので、優劣をつける考えは私にはありません。

なぜなら、その会社にとって最適な組織構造は、社長の考え方や方針、会社の規模、リソースの内容と多寡、抱える経営課題、会社がいるステージ、業種、業態などで全く異なるからです。そして、成長に応じて組織構造は柔軟に変わっていくものでもあります。

ただ、物事には必ず表裏一体でメリット、デメリットがありますし、それらを考慮して自社の状況に応じて選択しなければならず、また理想と現実も無視できません。

また、資金もあり、有能な人材を採用することも中小企業ほどには困っていなくて、明確な組織設計プランや育成計画がある大企業と中小零細企業とでは条件や環境などの前提がまるで違います。

中小企業で専門性の異なる優れた人材を揃えようと思って求人を出してもなかなか期待通りの人材の応募は難しいでしょうし、育てる余力やノウハウがあるのか、そして能力が高ければ相応の年収支払いができる状況であることも必要です。

そして、大企業であっても経営チームとして連携して欲しいと期待しても、専門性が高いだけで経営目線がなければ各々がその立場で意見を述べるだけで、対立が起きてしまうかもしれません。

<ナンバー2が一人の場合と複数の場合の対比>

繰り返しになりますが、どちらのスタイルがより優れているということでは決してありませんが、最終的にはナンバー2が複数いる体制の方が安心感が増すでしょうから、複数体制を望まれる社長も多いと思います。ただ、いきなりそこに到達することは難しいので、先ずは一人をしっかり育てるという段階を踏むことが順当だと思います。

私のナンバー2時代を振り返って

私のナンバー2時代の経験をお話すると、全国10拠点、100人規模の企業で営業、マーケティング、人脈作り、業務管理、拠点管理、取引先・協力会社との各種折衝、採用、教育、ITインフラの整備、トラブル対応といったものを一人で対応していました。

ここに書いていない雑多なことも含めると日々目が回るほど忙しかったですし、全てにおいて完璧だったかと言えば、もちろん疑問符があります。ただ、常に目標と課題を意識して全体を見て、取り組むことの優先順位をつけ、メリハリと目標達成を意識して仕事をしていました。

個人的な考え方としては、経営陣の一人として「知らない、できない」という言葉を吐くのがたまらなく嫌で、事業運営で必要となる知識は貪欲に吸収し、実践していましたが、もちろん自分でできないことは社内外の協力を得ることで対応していました。ですので、一人であらゆることを実務レベルでこなすことはもちろんしませんし、できません。

理想としては、中小企業なら社内で頭一つ抜き出る2つ以上の専門性を持っている人材がナンバー2に適任だと思っています。2つ以上の専門性を掛け合わせて、かつ、経営目線を持つことが肝要です。

コンサル業の方などを例として例えるとイメージがわきやすいかもしれません。必ずしも業界や個々の実務に精通していなくても、課題とやるべきことを明確にし、問題解決の道筋を示す能力ですね。

こうした能力や目線を持ち、他人のスキルを借りることで、私のように一人であらゆる課題に対応するというスタイルもあることを申し添えておきます。

まとめ

経営陣として求められるのはある特定分野での実務対応力だけではありません。会社全体を俯瞰して、限りある資源を組み合わせて、文字通り全体最適での視点を持ち合わせ成果を出す高度なゼネラリストであることも要求されます。この視点は経営チームを作るうえで重要です。

ある意味、経営者もゼネラリストだと言えます。数字に強く、理想を高く持ち、構想やアイデアを出し、営業し、人材育成し、適切なオペレーション体制を回すことがトップの責任だからです。

もちろん、経営者であってもそれらのうち得手不得手がありますから、社長が抱える事業運営上の役割、責任を補佐する体制を築くために、一人に多くのものを求めるか、分散させるかという着眼点に基づいて現状の会社の事情に応じて、体制を選択していくということです。

先ずは一人を育てるのであれば、その人材の専門分野を活かしつつ、大局的な視野とディレクションのスキルを身につけさせるアプローチが大切です。

複数メンバーを機能別に配置し、経営チームとするならば、チームとしての目標設定と相互の役割の認識を深め、協働する意識を持たせることが必要となります。

最後に声を大にしてお伝えしたいことは、中小企業には優秀な人材がいないということは絶対にありません。

学び、考える、実践する機会を与え、段階的に権限移譲をすることで必ず社長のお眼鏡に適う人材となります。諦めずに人材育成して欲しいと思います。

ナンバー2育成について悩まれている経営者の方の参考になりましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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