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「ご挨拶」・・・実体験から作った作品。

「ラジオde怪談」の企画用に用意した作品ですが、実は自分の実体験を元にした作品です。


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「ご挨拶」 作・夢乃玉堂

「○○銀行からご挨拶に伺いました」

インターフォンから聞き覚えの無い声が聞こえてきたのは、午後2時過ぎだった。

「今度転勤になりまして○○支店から離れますので・・・」

とカメラ越しに話す男の顔に見覚えは無かった。
だが、流ちょうに話す言葉によどみは無く、
見た目と声の印象では、とても信用できそうな良い人に見えた。

本当に挨拶をしに来ているようだ。
しかし、私は結局ドアを開けなかった。

インターフォンを鳴らしている男の肩越しに見える
もう一人の男が、我が家の品定めをしているように、
ふらふらと周りを眺めていたからだった。


気持ち悪かった。

そして、挨拶をしたのは最初に名乗った男だけだった。
最後まで肩越しの男は、名乗らなかった。

果たしてそいつは本当にいたのか。
詐欺や泥棒の下見だったのか。それとも・・・。

彼らが帰った後、郵便受けを確認したが、名刺一枚入っていなかった。

男の正体は今も分からない。

ただひとつ覚えているのは、その後ろの男の影が・・・薄かった事だけだ。

                  おわり


さて、この作品は読み取り方で全く違って見えます。
ホラーになったり、日常の一コマになったり。
本当に怖いのはどっちでしょうか。




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