あっという間に読める、超ショートショート「結婚式 Ver.∞・・・」
人は誰も求める物を徐々に大きくしていくもの。
求め続ける女の結婚にまつわるお話・・・
『結婚式 Ver.∞(バージョン無限大)・・・』
「あなたったら、まるで出世魚ね」
親友の真由美に、嫌味ったらしく言われた。
「やっかんでるのかしら」
と夫に言ったら
「まあ。仕方ないんじゃないか。
俺だって、最初聞いた時は、ちょっと引いたよ」
と笑って答えた。
確かに仕方ないか、
一人目の夫と結婚式は、都内で質素に。
二人目の時は少し奮発して北海道。
三人目はグアム。
四人目になる今の旦那との結婚式は、地中海で挙げた。
「もうこれ以上はない、というくらい最高の式にする」
過去の亭主たちに当てつけるように
夫は贅沢なサプライズをたくさん用意してくれた。
おかげで、本当に忘れられない結婚式を挙げることが出来た。
でも、毎回付き合わされている真由美にしてみれば
皮肉のひとつも言いたくなるのも無理もないことだろう。
「じゃあ俺は先にベッドに行ってるよ。可愛いお魚の新妻さん。」
慣れない土地で式を挙げ、少しお疲れ気味だった夫は、
私の唇に優しくキスをして寝室に入っていった。
「おやすみなさい。私はもう少し片づけてから寝るわ」
「あんまり根を詰めるなよ」
「大丈夫。こういうの好きだから」
夫の後ろ姿を見送って、私は、バッグの荷物を整理し、
その底からパンフレットを取り出した。
「世界の果て。南極への旅」
と書かれたパンフレットを。
ホント、私は、結婚式が好きなんだな・・・。
おわり
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